「日本一速いプロボックス、見参」NAメカ仕様で過給機チューン勢をなぎ倒す!

重箱の隅をつつく改造の繰り返しが速さを生み出す!

JPSC初代シリーズチャンピオンを獲得したマシン

JPSC(全日本プロボックス・サクシード選手権)で圧倒的な速さを見せつけ、初代シリーズチャンピオンに輝いたプロボックスの登場だ。

ドライバーは、このプロボックスで四国地区ジムカーナ選手権を2連覇したほどの強者で、そのためマシンメイクは超がつくほどのマニアック仕様となっている。

エンジン本体のチューニングは、純正ECUに対応したJUNハイリフトカムシャフト(IN&/EX252度9.0mmリフト)を組む程度。後はエアクリーナーボックスにダイレクトに接続されるワンオフ吸気ダクトや5ZIGENプロレーサーヘッダー、ビーフリーマフラーなど、吸排気チューンがメインとなる。仕事で使うのに支障が出ないチューニングに留めているのだ。

むしろ注目したいのは足回り。細かく見て行こう。ダンパーはオーリンズ特注品で16段階の減衰力調整機構付き。フロントはヴィッツ用をベースにした特注品となる。スプリングは自由長150mmのKYB直巻きで、バネレートは14kg/mmをチョイスしている。

フロントロワアーム後ろ側のブッシュは、純正のゴム製からピロタイプに打ち替え。これでステアリング操作初期のノーズの入りが良くなり、追い込んでいった時もフロントが粘るため、アンダーステア傾向を改善できるそうだ。

リヤダンパーはプロボックスに合わせたワンオフ品となる。スプリングはフロントと同じくKYBの直巻き150mmが装着される。バネレートは8kg/mmからスタートし、最終的に16kg/mmまで高まった。

リヤトレーリングアーム取り付け部はジュラコン製カラーで左右方向の動きを規制し、バンプトーインによるアンダーステアを抑制。また、純正ブッシュの隙間を『シューズドクター』(クツ底補修用ポリウレタン系接着剤)で埋めて硬度アップしている。

高負荷が続くと、熱膨張によるドライブシャフトブーツ破れやバンド外れなどのトラブルが発生しがち。そこで、シャフトとの間に細い金属製パイプを差し込み、ブーツ内の熱(圧力)を逃がす。さらに、ブーツの端にウエスを巻いて出てきたグリスの飛散を防止。写真はアウター側だが、インナー側も同様に処理される。

フロントのブレーキパッドは制動性能とコントロール性のバランスを考えて、ウィンマックス400を装着。また、スペーサーを使ってフロントのトレッドをできるだけ拡大して、回頭性やコーナリング性能を向上させている。

リヤドラムブレーキのバックプレートはスチールプレートを溶接して剛性アップ。サイドターンを多用するジムカーナで、少しでもサイドブレーキの効きを改善したいというのが目的だ。

ミッションはデューポイントの4速クロスを投入。これはEP82/AW11(NA)用としてラインナップされてるもので、加工して搭載されている。純正は1~2速が離れているが、それが解消されるだけでなく、4速までの繋がりも抜群。5速ギヤはEP82よりもレシオが低いプロボックス純正を組み合わせて5速クロスに近いギヤ比としている。

ファイナルレシオは純正4.0からヴィッツ用を流用して4.3にローギヤード化。クロスミッションとの相乗効果で、切れ目のない加速感と瞬発力を実現しているのだ。LSDはATSのカーボンを組み込んでいる。

ボンネットはFRP製に交換。ジムカーナではもちろん、サーキット走行などでもオーバーハング部を軽量化する効果は大きい。ただし、JPSCでは一切の軽量化が認められてないため、スチール製の純正ボンネットに交換してエントリーしていた。

ステアリングはナルディクラシック360φ。球状のシフトノブと合わせて、走り最優先のパーツチョイスが行われる。ちなみに、ナビゲーションシステムは日産純正品で、オープニング画面で“NISSAN”のロゴマークが浮かび上がる。

スポーツ走行にタコメーターは必需品だが、8000rpmフルスケールの大森製というのがシブイ。また、ステアリングコラム左側にはGReddy水温計も装着される。

南国・高知は雪とは無縁…と思ったら、山沿いでは結構な降雪があるらしい。そのため、冬場はスタッドレスタイヤを装着するわけだが、ホイールは15インチのボルクレーシングTE37で決めて、フロントネガティブキャンバーは夏タイヤ(ディレッツァZIIスタースペック)時と同じ4.5度のままだ。チューニング魂を感じる部分である。

この他、右に左にすばやく切り返すジムカーナに合わせて、ステアリング操作が軽くできるよう、パワステの油圧アシストを強める加工も実行。派手さはないが、速さに直結する改造のみで構築されたプロボックスが放つオーラは、紛れもなくリアルチューンドのそれだ。最速の称号は伊達ではない。