アルファタウリ・ホンダF1コラム:鬼気迫るものを感じたガスリーの激走。切れ味鋭いクビアトはどこに

 2020年F1第7戦ベルギーGPでは、ピエール・ガスリーが8位に入賞し、ドライバー・オブ・ザ・デーに選出。チームメイトのダニール・クビアトは、入賞まであと一歩の11位に終わった。

 さて今回も、クビアトとガスリーのふたり、そしてチームのパフォーマンスを10点満点で私的に採点していこう。ベルギーGPでの評価は、以下の通りだ。

【ドライバー】
ピエール・ガスリー 予選12番手/決勝8位
 →9/10点満点
ダニール・クビアト 予選11番手/決勝11位
 →6/10点満点

【チーム】
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ
 →7/10点満点

 12番グリッドのガスリーだけが、全20台中唯一ハードタイヤを装着した。周りのライバルたちがミディアムタイヤを履くことを予想し、違う戦略でいく賭けに出たのだった。しかしこの戦略には、ふたつの大きなリスクがあった。

 まず、スタート時のハンディキャップだ。最も固いコンパウンドでは、蹴り出しからの加速でミディアムを履く他車に遅れを取る危険がある。そしてもうひとつが、セーフティカー(SC)だった。ライバルたちが先にピットインする間に、長いスティントを走り続けて順位を上げていく。それゆえその最中にSCが出てしまっては、目論見は潰えてしまう。ガスリー自身、「スタートから20周目までに、SCが出てしまったら失敗」と語っていた。

 スタートは、見事に決まった。ミディアムのクビアト、中古ソフトタイヤのランド・ノリス(マクラーレン)をかわして、10番手に順位を上げた。さらに2周目にセルジオ・ペレス(レーシングポイント)、3周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜いて8番手。すぐ前を行くランス・ストロール(レーシングポイント)も1秒以内に迫り、オーバーテイクのチャンスを窺っていた。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第7戦ベルギーGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

 しかし10周目にアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がクラッシュ、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)が巻き添えをくらい、コース上に破片が散乱したことでSCが導入された。予想より10周も早いタイミングで、ガスリーが恐れていた事態が起きたのだった。ソフト、ミディアム勢が次々にピットに向かうが、ガスリーの選択肢はステイアウトしかない。

 その結果4番手まで上がったものの、フレッシュタイヤに履き替えたダニエル・リカルド(ルノー)、アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)らに次々にかわされていく。26周目にピットインし、コース復帰した時には16番手まで後退していた。

 だがそこからの、ミディアムでのペースは本当に素晴らしかった。早めのピットインでライバルたちのタイヤがタレ始めていたのを差し引いても、チェッカーまでの18周の間に8台を抜き去っていくのは誰でもできる技ではない。先行車に迫れば乱流でフロントのダウンフォースが抜けるし、オーバーテイクの際に走行ラインを外すことで、タイヤはさらにダメージを受ける。それでもガスリーは、最後まで素晴らしいペースを維持し続けた。

 終盤40周目の1コーナー、ラ・スルスの立ち上がりからオールージュへと全開で駆け下りながらのペレスとのバトルも、実に見応えがあった。ペレスにコンクリートウォールに寄せられながらも、スロットルを緩めることなく抜き切った。あのオーバーテイクからは、SC導入の不運を跳ね返してやろうという強い決意が感じられた。

 アントワーヌ・ユベールのことも、何度か頭をよぎったことだろう。そんなことも含め、直接話を聞けないのが本当にもどかしい。いずれにしてもこの日のガスリーのドライビングには、確かに鬼気迫るものがあった。

 一方のクビアトは、11番手スタートで11位完走。ガスリーとは対照的に、周囲と同じ戦略を取った結果、DRSトレインの中で我慢の走りを続けざるをえなかった。その事情は、十分に理解できる。とはいえトロロッソからレッドブルに昇格した頃の、あの切れ味鋭い走りがすっかり影を潜めてしまったのはなぜなのだろう。

2020年F1第7戦ベルギーGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第7戦ベルギーGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第7戦ベルギーGPのレース後、ピエール・ガスリーを迎え入れるアルファタウリ・ホンダのメカニックたち
2020年F1第7戦ベルギーGPのレース後、ピエール・ガスリーを迎え入れるアルファタウリ・ホンダのメカニックたち
ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第7戦ベルギーGP ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)