【気になる一言】不振が続くフェラーリ陣営。「(ティフォシからブーイングを受けても)僕は観客を入れてレースがしたい」とベッテル

 歴史的惨敗に終わった今年のベルギーGPのフェラーリ。レース後に開かれたフェラーリの会見では、我々が想像しているよりもメンバーに落ち込んだ様子はなかった。それはこのような結果になることは覚悟していたかのようだった。

 昨年、優勝したにも関わらず、今年は予選で2台そろってQ3進出を逃し、レースでも入賞圏外でフィニッシュすることとなったフェラーリ陣営。理由を尋ねられたマティア・ビノット代表は、次のように回答した。

「スパはパワーサーキットであると同時に、効率の良い空力が必要なコースでもある。そのコースで我々のマシンは昨年と今年で大きく変わった。そもそもF1マシンというのは非常に複雑で、良いところだけを取り出して、新しいマシンに搭載すれば、すぐに機能するというものではない。ただし、今週末の我々の不調はそれだけでは説明がつかないことも事実だ。まだ我々が理解できていない理由があるかもしれない」

 つまり、フェラーリはベルギーGPが厳しくなることは覚悟していたものの、その対策はまだ模索している最中のようだ。

 だから、隣に座っていたセバスチャン・ベッテルも「まだしばらくこの状況に耐える必要がある」と長期戦を覚悟している。ベッテルは今シーズン限りでフェラーリとの契約は切れるが、それでも「このチームで自分ができることを最大限発揮するというモチベーションは最終戦まで変わらない」と語る。

 ところで、なぜシャルル・ルクレールは、タイヤを自由に選ぶ権利がありながら、ソフトを選択したのだろうか。

「自分のポジションや、目の前にクルマが並んでいてオーバーテイクするチャンスがあまりないことを考えて、ギャンブルに出た。2度目のピットインもそうだった。でも、それはうまくいかなかった。要するに自分たちには絶対的なスピードが欠けていたということだ」(ルクレール)

 今週末に予定されているイタリアGPはフェラーリにとって母国グランプリとなる。ただし、そのイタリアGPまでは無観客でのレースが続く。そのため「ティフォシがいない無観客レースはあなたたちにとって歓迎すべき状況ですか。というのも、無観客ならティフォシからブーイングを受けなくて済みますよね?」と、少し意地悪な質問を受けたベッテルは、次のように大人の対応を見せた。

「もし、どちらか選ぶとしたら、僕はそれでも観客を入れてレースがしたい。でも、それは僕たちが決めることじゃないからね」

 そして、こう続けた。

「ただし、この世界で奇跡なんて期待してはいけないから、モンツァでも僕たちが厳しい戦いになることは、ベルギーGPの結果から考えれば、覚悟しておかなければならないだろう。でも、ベルギーGPで何かヒントがつかむことができれば、今日のレースは決して無駄にはならないはずだ。少しずつでもいいから、前進することが大切なんだ」

 新たなエースとしてフェラーリを牽引すべきルクレールの前で、フェラーリドライバーとしてメディアとしっかりと対峙していたベッテルの姿が印象的だった。

2020年F1第7戦ベルギーGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2020年F1第7戦ベルギーGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)