新型ロールス・ロイス ゴーストを詳細解説! 最新ロールスはドライバーのためのスイートルームだ

Rolls-Royce Ghost

ロールス・ロイス ゴースト

ファントム、カリナンと車台を共有

ロールス・ロイスは2020年9月1日に、初のフルモデルチェンジを敢行した新型「ゴースト」を発表した。

独自のアルミニウム製スペースフレーム、及び6.75リッターV型12気筒ツインターボエンジン(N74B68型)を、現行のファントム、そしてカリナンに続いて採用。4輪操舵と4輪駆動を組み合わせ、ドライバーズカーに相応しい操縦性を重視した。

新型ロールス・ロイス ゴーストのフロントイメージ

魔法の絨毯を備えた最高のドライバーズスイート

英国の名門「47パーク・ストリート」は、ロンドンでもっともコンシェルジュが暇なホテルと言われる。なぜなら「あまりに快適すぎて部屋から出ないから」(『最高のホテル 極上の部屋』新潮社刊、美野 香著)だという。

一度乗ったらもう外に出たくない。新型ゴーストもそんなクルマになるようだ。なにしろロールス・ロイスの新時代を告げるキャビン空間に最新のメカニズム、一層進化した“魔法の絨毯”、ゴーストならではの操縦性、そこに比類のないV12エンジンが載っかっているのだから。

新型ロールス・ロイス ゴーストのオンライン発表会イメージ

前後重量配分は50:50へ

ボディ寸法は、全長が5546mm(先代比+89mm)、全幅1978mm(同+30mm)、全高1571mm(同+21mm)。ホイールベースは変わらず3295mmとなっている。

4輪駆動と4輪操舵システム、最新の「プラナー サスペンション システム」を搭載するべく、二重構造のバルクヘッドとフロアの構成を大幅に変更。フロントの鋳造製サスペンションマウント アッセンブリーをなるべく前方へと配置することで、V12エンジンをフロントアクスル後方へ移動。50:50の前後重量配分を実現したという。

屈強な執事のように、静かに存在をひた隠しながらも速やかに主のリクエストに応えるV12エンジンは、563hp/850Nmを発生。新型ゴーストでは、吸気システムの口径を拡大することで、キャビンに伝わる音も低減したという。ちなみに0-100km/h加速は4.6秒と、先代比で0.3秒タイムを縮めている。

新型ロールス・ロイス ゴーストのオンライン発表会イメージ

ボディをひたすらフラットに保つ最新のアシ

10年かけて開発したというサスペンションシステムには「プラナー=平面」の名が与えられたとおり、路面スキャンなどを用いた緻密な制御により姿勢を常にフラットに保つ先進の機構だ。

ダブルウィッシュボーン式のフロントでは、無段階に可変する電子制御ショックアブソーバーとセルフレベリング式大容量エアサスペンションを改良し、市販車世界初となる「アッパー ウィッシュボーン ダンパー」を開発。

5リンクのリヤアクスルにはセルフレベリング式大容量エアサス、そして後輪操舵システムを搭載する。前後アクスルの司令塔はプラナーソフトウェアが担い、4輪駆動や4輪操舵、スタビリティコントロール、ブレーキなどの各システムを統合制御する。

新型ロールス・ロイス ゴーストのコクピットイメージ

路面スキャンやGPSデータも活用

フロントガラスに配備したステレオカメラで路面状況を検知し、サスペンションを事前調整する「フラッグベアラーシステム」も採用した。ちなみにフラッグベアラー(Flag bearer)とは、かつて自動車草創期に義務づけられていた、赤い旗をもってクルマを先導する旗手を意味する。

さらに、同社の衛星GPSデータを活用してカーブなどでのギヤ段変速をアシストする「サテライト・エイデッド・トランスミッション」も組み合わせる。最新のサスペンションとトランスミッションの組み合わせにより、ショックレスで滑るような乗車感覚、いわゆる「魔法の絨毯」を思わせる乗り心地をさらに進化させた。

最新のモデルらしく、ADAS(先進運転支援機構)やコネクティビティも進化。とくにゴーストの顧客はグローバルに活躍する起業家が多いというから、デジタル面の充実は必須要件だろう。照射距離600m以上のLED/レーザーヘッドライトや、野性動物や歩行者も検知する昼夜ビジョンアシスト、全方位の視界を助ける4カメラシステム、ACC、衝突警告、トラフィックアラート、車線逸脱警告、高解像度ヘッドアップディスプレイなどを用意。Wi-Fiホットスポットや最新のエンタテインメント機構も装備する。

新型ロールス・ロイス ゴーストのフェイシアイメージ

車内の空気環境やドアの開閉にも目配りを

「ロールス・ロイス史上もっとも技術的に進歩したモデル」と謳うゴーストに投入した最新機構は枚挙に暇がない。

「マイクロ環境浄化システム(Micro Environment Purification System)」は、キャビンの粒子やバクテリアのほとんどを2分以内に除去する空気ろ過機能。高感度の不純物センサーが空気中の汚染物質が許容レベルを超えたと判断すると、自動的に外気導入から内気巡回へとモードを切り替え車内の空気を清浄化する。

ロールス・ロイスといえば、コトリと閉まるイージークロージャードアの厳かな“ふるまい”でお馴染みだが、新型ゴーストでは開く際にもパワーアシストが作動するようになった。車載の前後、横方向に装着したセンサーと、各ドアに搭載する重力加速度センサーにより、傾斜のある場所で停車していてもドアは常に同じ速さで開閉する。

新型ロールス・ロイス ゴーストのリヤエンタテインメントイメージ

キャビンへの音の侵入を徹底的に排除

もうひとつ、ロールス・ロイスといえば「60マイルで走っている車内で、一番の騒音は電子時計の音」と謳われたほどの静かさが身上。新型ゴーストでは静粛性の質もさらに一歩前進した。

そもそもアルミニウム製スペースフレームは音響インピーダンス(音の伝搬のしやすさを数値で表したもの)が従来のスチール製モノコックと異なるうえ、平らではない複雑な面構成により反響の面でアドバンテージがあるという。

さらに、二重構造のバルクヘッドとフロアセクションには複合素材製のダンピングフェルトを注入。ドアやルーフ、合わせガラスの中間層、タイヤ内部など、合計100kgを超える防音素材を搭載している。

新型ロールス・ロイス ゴーストの加飾パネルイメージ

ボディ全体が巨大なサブウーファーに

とはいえ完全な無音というのは存在しない。そこでロールス・ロイスの音響スペシャリストが目指したのは、低く柔らかくほのかな「ささやき」。

ロールス・ロイス独自のささやき声を作り出すべく、各コンポーネンツの共振周波数をチューニング。シートフレームの減衰ユニットやキャビンとラゲッジコンパートメント間の孔に至るまで、手を入れられる部分には全て手を入れた。

シアタールームにビスポークのサウンドシステムが必要なように、新型ゴーストの車内空間にも専用設計のオーディオが誂えられた。出力1300W、18スピーカー、18チャンネルのシステムに、マグネシウム-セラミックの複合材を用いたスピーカーコーンを採用。ボディのシルセクションに共鳴チャンバーを仕込んで車両全体を巨大なサブウーファーとして機能させるうえ、ルーフライナーにもエキサイターと呼ぶ振動子を利用したスピーカーを搭載し、天井自体もスピーカーとして働くようにしている。

新型ロールス・ロイス ゴーストのスターライトヘッドライナーイメージ

これからの高級車のカタチ

新型ゴーストのテーマは「ポスト オピュレンス(脱 贅沢)」であり、車内外のデザインは徹底的にミニマルを追求している。

飾りたてないということは、それだけ誤魔化しもきかないということ。だから新型ゴーストの内外装のクオリティは圧倒的だ。

凪いだ湖面のようなボディパネルはどこにも歪みや破綻が見当たらないし、インテリアの革にも木目には毛ほどのシワも傷も存在しない。一台あたりに使われる最高品質のハーフ ハイドのレザーは20枚。磨きに磨き上げたパネルの数は338枚に及ぶという。

新型ロールス・ロイス ゴーストのリヤビュー

虚飾を排しミニマリズムにあふれた新時代の「高級」を体現

色々と装飾類を盛るよりも、パンテオングリルにダウンライト照明を仕込んだり、ダッシュボードへ“星空”を嵌め込む加飾パネルなど、LEDを活用したシンプルなライト演出を採り入れている。

ロールス・ロイスが示す、新しい時代の「高級」。それが虚飾を排したミニマリズムであったことは、大きな意味がある。これからの高級車の姿をいち早く示唆した2代目ゴーストの発売時期や価格については、まだ公表されていない。

【SPECIFICATIONS】

ロールス・ロイス ゴースト

ボディサイズ:全長5546 全幅2148 全高1571mm

ホイールベース:3295mm

車両重量:2490kg

エンジン:V型12気筒DOHC48バルブツインターボ

総排気量:6748cc

最高出力:420kW(571ps)/5000rpm

最大トルク:850Nm/1600rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン/エアスプリング 後5リンク/エアスプリング