WTCR:ハンガリーのゼングー、2020年は3台体制へ。元PWRのミケル・アズコナが新加入

 2020年からのシリーズ本格復帰を決めたハンガリーのZengő Motorsport(ゼングー・モータースポーツ)は、WTCR世界ツーリングカー・カップのシーズン開幕を前に3台体制への拡充を発表。すでに契約発表済みのベンス・ボルディズに加えて、WTCR優勝経験者で2018年のTCRヨーロッパ・シリーズ王者であるミケル・アズコナの移籍をアナウンスし、3台目にはハンガリーの国内選手権チャンピオンであるガーボル・キスマティ-レヒナーの起用を決めている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で開幕が大幅ディレイとなり、欧州域内限定開催となったカレンダーに合わせ、WTCRのオーガナイザーであるユーロスポーツイベントは、FIAとも協議のうえでシーズンエントリーの申請期日延長やエントリー資格の緩和措置などを講じてきた。

 そのうち「チームがルーキー・アワードの対象となるドライバーを走らせている場合、1チームにつき3台のエントリーを許可する」との条項を活用し、今季からシリーズ本格復帰をアナウンスしていたゼングー・モータースポーツは、2020年デリバリー開始の新型『CUPRA Leon Competición TCR(クプラ・レオン・コンペティションTCR)』を一気に3台体制へと発展させる決断を下した。

「我々、ゼングー・モータースポーツは2010年からWTCC(世界ツーリングカー選手権)の一部であり、現在のWTCRに移行してからもその歴史の担い手であり続けてきた」と語るのは、チーム代表を務めるゾルターン・ゼングー。

「2019年は本格参戦プログラムを組むことができなかったが、2020年には再びカムバックできるように願っていたし、そのための努力を続けてきた。私個人の夢や目標は、ハンガリーのドライバーとハンガリーのチームで再び世界タイトルを獲得することだ」と続けたゼングー代表。

「これはノルベルト・ミケリスが、我々とともにWTCCトロフィーを獲得したときに実現した夢の再来だ。しかし、ミケル・アズコナとこの目標を達成できれば、私たちチームは幸せな気分になれるだろう」

2020年は3台体制への拡充を決めたゼングー・モータスポーツ。東欧シリーズではベンス・ボルディズ、ガーボル・キスマティ-レヒナーの両名を走らせていた
2020年は3台体制への拡充を決めたゼングー・モータスポーツ。東欧シリーズではベンス・ボルディズ、ガーボル・キスマティ-レヒナーの両名を走らせていた
「僕はこの機会を“最後のチャンス”だと思って挑戦しなくてはならない」と決意を語ったミケル・アズコナ
「僕はこの機会を“最後のチャンス”だと思って挑戦しなくてはならない」と決意を語ったミケル・アズコナ

■44歳でWTCRデビューとなるキスマティ-レヒナーは「つねに改善し学ぶ準備ができている」

 長年にわたってスペインのマニュファクチャラーであるセアトとの強固な関係性を築いてきたゼングー・モータースポーツだが、待望の新型モデルであるクプラ・レオン・コンペティションTCRのデリバリーは9月の第1週が予定されており、同月中旬の開幕戦までには残された猶予がないため、ゼングー代表も「シーズンの幕開けは難しいものになるだろう」と予測している。

「ロジスティクスに多くの作業が必要な忙しい季節になる。しかし、ほかのチームと競い、激しくレースを戦うために、トラックへ向かうのを楽しみにしている」

 スペイン出身のアズコナは、2019年に北欧系トップチームのPWRレーシングからWTCR昇格を果たし、ポルトガル・ヴィラレアルでの初優勝を含む5度の表彰台を獲得するなど大成功のデビューシーズンを過ごした。

 そして誰にとっても難しい条件となった2020年に向けては、東欧の古豪チームに移籍し、2年目の世界戦を戦う機会を得ることとなった。

「僕はほんの2週間ほど前まで、今季WTCRでのシートを得ることは難しいだろうと考えていた。でもついに、こうしてゼングー・モータスポーツと契約することができて本当に幸せだよ」と、参戦実現の喜びを語ったアズコナ。

「WTCRは非常に優れたドライバーが多く、最高レベルのツーリングカー選手権だ。でも僕はこの機会を“最後のチャンス”だと思って挑戦しなくてはならない。ほかのチームはテスト機会を得ているが、僕らはぶっつけ本番での開幕戦になる」

「でも個人的に、すべてのトラックのあらゆる瞬間に非常に素早く適応するのが得意だし、それほど悪くはないだろう。それにWTCRでの競争力アップを想定して開発された、新型クプラもあるんだからね」

 一方、国内のTC3500スプリントなどでセアト・クプラTCRをドライブしたキスマティ-レヒナーは、モータースポーツ参戦時期を考慮しても遅咲きのキャリアを振り返り「どんなに大きな夢であっても『遅すぎる』ということはない」と、期待の言葉を述べた。

「私は現在44歳だが、ドライバーとしてつねに改善し学ぶ準備ができている。初年度に大きな期待を抱くのは難しいかもしれないが、ベストを尽くして若いアズコナやボルディズをサポートしたいと思っている」

待望の新型モデル『クプラ・レオン・コンペティションTCR』のチームへのデリバリーは9月の第1週が予定されている
待望の新型モデル『クプラ・レオン・コンペティションTCR』のチームへのデリバリーは9月の第1週が予定されている
現在44歳ながら、WTCRデビューを実現させたガーボル・キスマティ-レヒナー
現在44歳ながら、WTCRデビューを実現させたガーボル・キスマティ-レヒナー