角田裕毅「今後も勝ち続けたい」入れ替わりの激しい選手権は覚悟の上。ホンダF1山本MD、レッドブル首脳陣も太鼓判

 2020年FIA-F2第7戦ベルギーのレース1で、見事に優勝を遂げた角田裕毅(カーリン)。しかし翌日のレース2では、不条理とも思えるペナルティを科されたこともあってノーポイントに終わった。

 選手権では3位をキープしたものの、レースごとに順位が入れ替わりうる状況に変わりはない。「次戦モンツァ以降も、勝ち続けたい」と語る角田のこの週末の戦いぶりを、ホンダの山本雅史マネージングディレクターはどう見たのだろうか。

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──レース2は、なかなか厳しい展開でした。

角田裕毅(以下、角田):スタートはまあまあよかったのですが、アウト側にしか行けなかった。そこで押し出されるのは承知の上だったのですが、順位を落としてしまいました。

 その後の7コーナーの追突はコースオフしたクルマが戻ってきて、前のクルマが急減速した状況でした。とても避けるのは無理で、5秒ペナルティはちょっと厳しいと思いました。

2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース2 スタート直後、ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)と並ぶ角田裕毅(カーリン)
2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース2 スタート直後、ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)と並ぶ角田裕毅(カーリン)

──カラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)との接触は、角田選手自身が特にプッシュしていたわけではなかったのですか?

角田:違いますね。1周目から当たりたくないと思っていたし、あそこは攻められるようなコーナーでもない。普通に走っていました。ただぶつけたのは事実なので、認めざるを得ない。次回のドライバーミーティングとかで、その辺はアピールしたいと思います。

──あの種の裁定は、両ドライバーの話を聴いてから出してほしいのでは?

角田:そうですね。実はチーム側に話があったそうなんですけど、アイロットも「あれはコースオフしたクルマを避けようとして急ブレーキしたからだ。角田に責任はない」と言ってくれたそうです。それは、感謝してます。

──今季のF2は例年以上に激戦で、レースごとに選手権順位が入れ変わる。その辺り、角田選手はどう考えながら戦っていますか。

角田:そこは開幕時から覚悟の上で、そのなかでベストを尽くしてきたつもりです。今回のベルギーもポールとレース1での優勝を獲れました。次のモンツァ以降も勝ち続けたい。レース2に関しては、スタート直後の混戦をどう切り抜けるか。そのあたりを勉強しながら、戦っていきたいです。

2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース2 角田裕毅(カーリン)
2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース2 角田裕毅(カーリン)

■「マルコさんは嬉しそうで、表彰台に行こうと誘われました」

──山本雅史マネージングディレクターは、ベルギーでの角田選手の戦いをどう見ましたか。

山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):レース1はポールからのスタートに始まって、しっかりタイヤマネージメントもできていて、いいレースでした。チームオーナーのトレバー・カーリンからは、「ピット作業でもたついて、申し訳なかった」と、謝罪してもらいました。

 しかしそこから角田くんが頑張って、ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)に猛烈なアタックを仕掛けた。全部で4、5回繰り返したでしょうか。特にケメルストレートからのフルブレーキングでは、非常にアグレッシブな走りを見せてくれた。観ている私たちを、ワクワクさせてくれました。アグレッシブだが決して接触しない走りを続けて、結果的にそのしぶといチャレンジが、マゼピンのペナルティを誘発したのだと思います。本人は「自分で抜きたかった」と悔しがっていましたが、これもひとつのレースとして、いい経験をしてくれたと思います。

 ここまで様々なコース、状況に対して、柔軟に対応して結果を出している。今季後半の戦いも、非常に楽しみです。昨日の走りは、そんな思いをいっそう強く感じさせてくれましたね。

2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース1 角田裕毅(カーリン)とニキータ・マゼピン(ハイテックGP)
2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース1 角田裕毅(カーリン)とニキータ・マゼピン(ハイテックGP)

──レース2はいかがでしょう?

山本MD:スタートはよかったのですが、スパの1コーナーは非常に危険な場所で、それ以降もいくつか順位を落としてしまった。直後の接触事故も、ペナルティはまったく不条理だと思いました。その意味ではちょっと残念なレース2でしたが、まあ総じていえばレース1で優勝できて、新たな一歩を踏み出せたと思っています。

──表彰台の下にはヘルムート・マルコ博士(レッドブルのモータースポーツアドバイザー)と一緒にいましたが、どんな話をされたのですか?

山本MD:マルコさんは本当ににうれしそうで、向こうから「表彰台に行こうよ」と誘ってきました。チームバブルもあるので大丈夫かなと思ったのですが、他チームの人たちも行き出している。それで、じゃあ行きますか、と。マルコさんは1戦ずつ角田くんが成長していることに、非常に感動していますね。「ホンダも継続して、(角田選手を)サポートしてね」と言われてます。

──今回が初めての、生の表彰台だったんですね。

山本MD:そうなんですよ。前回のシルバーストンは、チームバブルで止めとこうと。でも今回は、レース1での優勝でしたしね。そこで勝ったのは、やはり大きい。クリスチャン(ホーナー/レッドブルのチーム代表)からも、「ヘルムートと一緒に表彰台に行かなきゃ」と言われました。表彰台下で直接君が代を聴くのは、やはりいいものですね。

2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース1表彰台 角田裕毅(カーリン)&ミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)
2020年FIA-F2第7戦ベルギー レース1表彰台 角田裕毅(カーリン)&ミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)