「次回同じ状況なら、今度こそ抜き去る」FIA-F2レース1初優勝の角田裕毅、マゼピンとの一騎打ち語る

 FIA-F2参戦中の角田裕毅(カーリン)がシルバーストンでのレース2優勝に続き、第7戦ベルギー、スパ・フランコルシャンののフィーチャーレース、レース1でポール・トゥ・ウインを果たした。ピットイン中に首位を奪われたニキータ・マゼピン(ハイテック)にレース終盤、果敢にアタックを仕掛け続けたものの2位でチェッカー。しかし、2度にわたって角田をコース外に押し出したことで、マゼピンは5秒ペナルティを科され、角田の優勝が確定した。

「できれば抜き切って優勝したかった」と悔しさを隠さない角田だが、これで選手権3位に急上昇。ポイントリーダーのカラム・アイロット(ユニ・ヴィルトゥオーシ)も11点差と射程圏内に捉えており、日本人初のF2制覇も視野に入ってきた。

 ちなみにマゼピンはチェッカー直後のパルクフェルメでも、角田に向かって2位のボードを跳ね飛ばした行為について審議対象となり、5グリッド降格の執行猶予を受けることになった。

──レース1優勝、おめでとうございます。
角田:
ありがとうございます。スタートは無難にこなしたんですが、フロントロウのマゼピンの方が加速がよくて、1コーナーまでに並びかけられました。ブレーキングで防御して、首位のまま1周目を終えられたのは大きかったです。その後はペースもよくて、ソフトタイヤもマゼピンより1周多く使えた。ただ、ピットストップの際に後ろから来たクルマを待たないといけない不運もあって、そこでマゼピンに逆転されてしまった。無理して行けばペナルティを取られていたでしょうし、そこはメカニックたちの冷静な判断に感謝しています。

──ミディアムタイヤに履き替えてからもペースはよかった。
角田:
はい。すぐにマゼピンに追い付いて、トップを奪い返そうと何度も仕掛けました。ターン5で仕掛けた時には僕の方がブレーキングで完全に前に出ていたし、曲がり切れるスピードも残していました。でも(マゼピンに寄せられて)スペースがなくなって、アウト側に出ざるをえなかった。なので(マゼピンが)ペナルティが取られても仕方がないのかなと。ただ、抜き切れなかった自分もちょっと躊躇したというか、接触を恐れすぎていたかもしれない。そこは次に向けての勉強です。とりあえずは、1位を獲れてよかったです。

──予選後の話ではリヤタイヤのデグラデーション(性能劣化)を警戒してましたが、実際にはどうでしたか?
角田:
意外にニュートラルでしたね(前後均等にデグラデーションが進んで行くこと)。ソフトはたしかにリヤタイヤが先にデグラデーション来ていたし、ミディアムは逆にフロントが先に来た。ただ、それは前にクルマがいてダウンフォースが抜けたからだと思います。それを除けばニュートラルでした。

──マゼピンに接近して走り続けたことで、タイヤへの影響もかなり大きかったわけですね。
角田:
はい。乱流でダウンフォースが抜けてタイヤのグリップを持たせるのは難しかったですね。それでも最後までペースがよかったので、クルマがそれだけいい状態だったのだと思います。

──マゼピンとのバトルについては、彼の走りはフェアではなかったという印象ですか。あるいはさっき言ったように自分も攻め切れてなかった部分があったのか。
角田:
フェアじゃなかったと思います。それはたしかです。でも、その上で抜けなかったのは事実ですし、次回同じ状況に置かれたら、今度こそ抜き去るつもりです。

──チェッカー後のパルクフェルメや表彰台でのマゼピンの振る舞いは、どう感じましたか。
角田:
まあ別に、気にしてないというか。僕がもし逆の立場だったら、もちろんあんなことはしません。欲求不満は感じているだろうし、彼の気持ちもわからないでもないですけどね。とにかく、彼のことは意識していませんでした。最終的にペナルティが取られましたしね。

──レース中、ペナルティが科される可能性は聞いていましたか?
角田:
審議対象になっているというのは最後の2周ぐらいに知らされていました。でも特に気にせず、抜き切ることだけ考えていました。

──今回レース1で初優勝を果たしたわけですが、角田選手自身はどれぐらいのうれしさでしょう?
角田:
完全にうれしいわけではないですね。結果的に1位ですけど、(コース上では)2位でチェッカーでしたし、そこは勝ちたかったなという思いはあります。複雑な気持ちですね。でも、このレースは本当にアントワーヌ(ユベール)のためでしたし、そこで勝てたのはうれしいです。

2020年FIA-F2第7戦ベルギーレース1で表彰台の中央に上がった角田裕毅
2020年FIA-F2第7戦ベルギーレース1で表彰台の中央に上がった角田裕毅(中)、2位のマゼピン(左)、3位のミック・シューマッハー(右)