WorldRX開幕戦:主役級の競演。元王者クリストファーソンとエクストロームが開幕ウイン

 2020年のWorldRX世界ラリークロス選手権がスウェーデンで開幕。シリーズ史上初の週末ダブルヘッダーとして8月22~23日争われた土曜のオープニングは、2017-18年を連覇したヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)が復帰戦を飾る今季初勝利。続く日曜の第2戦は、KYBチームJCから急きょエントリーの2016年王者のマティアス・エクストローム(アウディS1 RXクワトロ)が制し、チャンピオン揃い踏みの週末となった。

 ラリークロスの聖地“ホーリエス”で迎えた2020年の開幕は、トップドライバーたちのドライビングを堪能するに相応しい豪雨のコンデションでスタートとなり、総勢17台のRXスーパーカーがシーズンの趨勢を占う予選ヒートへと臨んだ。

 その難コンディションで格の違いを見せつけたのが2年ぶりの復帰となるクリストファーソンで、今季はファミリーチームであるKMS(クリストファーソン・モータースポーツ)がオペレートするフォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスのポロGTIをドライブ。ドイツ・ハノーヴァー製のファクトリーマシンとは異なるマシンスペックながら、Q2を除く3セッションでトップタイムを記録してみせた。

 一方、このWorldRXでかつては自らのチームであるEKSを率いて戦ったエクストロームは、その流れを汲む勝手知ったるアウディS1を操って予選ヒートQ2を制し、唯一クリストファーソンの予選パーフェクトを阻止する速さを披露した。

 そのままTQ(top qualifier)となったクリストファーソンがセミファイナル1を、エクストロームがセミファイナル2を制し順当に駒を進めると、引き続きマッド・コンディションとなったファイナルでも両名が予選ヒートどおりのスピードを誇示し、6周のチェッカー。クリストファーソンが自らのシリーズ復帰を祝うと同時に、WorldRX自身通算21勝目と幸先の良い開幕勝利を手にした。

「とても良い気分だ。Q1は少しトリッキーなコンディションになったけど、そこで良い結果を出したことで、その後の展開が少し有利になった。わずかに天候が回復したセミファイナルで、マシンのセットアップを変更したけど機能せず、困っていたらファイナルはふたたび雨になった」と振り返ったクリストファーソン。

 一方、そのオープニングラップでは2019年チャンピオンのティミー・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/チーム・ハンセン)とのバトルで、GCKビルシュタインのルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカーをドライブするアントン・マルクランドに接触によるペナルティ裁定が下り、代わってティモ・シャイダー(セアト・イビーザRXスーパーカー/ALL-INKL.COMムエニッヒ・モータースポーツ)が、自身初の3位表彰台を獲得している。

2020年からホンダ・シビッククーペ・タイプRにスイッチしたセバスチャン・エリクソンだが、セミファイナル進出はならず
シリーズ復帰初戦で、流石のドライビングを披露したヨハン・クリストファーソンが、2年ぶりWorldRX勝利を手にした
「チームにとっても僕にとってもWorldRX初表彰台。ここからが始まり」と、喜びを語ったティモ・シャイダー

■急きょ参戦決定のエクストロームが逆転勝利

 シリーズ史上初の週末連戦として第2戦が開催された日曜は、予選ヒートまで前日をコピーするかのような展開に。しかしセミファイナル2をKYBチームJCのロビン・ラーソン(アウディS1 RXクワトロ)が制すると、ファイナルではそのチームメイトであるエクストロームが躍動。

 2列目からのスタートですぐさまジョーカーラップを消化したエクストロームは、そのままオープニングラップでアンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/モンスターエナジー・GCK・RXカルテル)をパスして2番手に浮上。首位を行くクリストファーソン追撃態勢に入っていく。

 その後も週末のファステストラップを叩き出しながらポロGTIを追ったエクストロームが、最終ラップにジョーカーへと飛び込んだクリストファーソンを逆転し、トップチェッカー。開幕前に急遽エントリーを決めたマルチタレントなドライバーが、WorldRX通算11勝目を手にした。

「ご存知のように急きょの参戦になったけど、ここホーリエスへ来てすぐに競争力が発揮できて最高の週末になった。ヨハンとのギャップを無線でつねに聞いていたから、どれほどのプッシュが必要か分かっていた。我々のマシンを使用し、チームEKSとともに最高のダンパーを開発してくれたKYBの努力にも心からの感謝を捧げたい。JCレーステクニックの今季の成功を想像すると最高の気分だし、ヨハンと勝利を分け合ったのも格別だ」と、喜びを語ったエクストローム。

 一方、2位チェッカーを受けたクリストファーソンはトラックリミット違反で3位に降格し、代わってケビン・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/チーム・ハンセン)が2位表彰台を獲得している。

 また、併催イベントとして初開催を迎えた電動ラリークロス選手権の『Projekt E(プロジェクトE)』は、STARD製のフォード・フィエスタERXをドライブしたケン・ブロック(フーニガン・レーシング・ディビジョン)が、記念すべき初代ウイナーの称号を獲得。同じく併催のヨーロピアン・ラリークロス選手権(Euro RX)では、RX2インターナショナル・シリーズから昇格のオリバー・エリクソン(フォード・フィエスタRXスーパーカーMk.8)が勝利を飾っている。

 続くWorldRX第3戦と第4戦は、隣国フィンランドのコウボラを舞台に、2週連続開催の8月29~30日に争われ、開幕で勝利を飾ったエクストロームが引き続きアウディS1のステアリングを握ることも発表されている。

日曜の第2戦を制し、宿敵と健闘を称えあったマティアス・エクストローム。この勝利を受け、次戦へのエントリーも正式発表されている
マッズ・オストベルグの急遽欠場が惜しまれたProjekt Eは、ケン・ブロックが初代勝者に

昇格組のオリバー・エリクソン(フォード・フィエスタRXスーパーカー Mk.8)がEuro RX開幕戦を制している