新フォーマットで変わるアプローチ。国内四輪最高峰カテゴリーで初のコロナ禍での観客イベント、土曜3500人が来場

 金曜に合同テスト、土曜午前に専有走行、そして土曜午後に練習走行と、3セッションが行われたツインリンクもてぎでのスーパーフォーミュラ。3月に開催された富士合同テストからの持ち越しタイヤがドライバーそれぞれで異なり、ニュータイヤの有無もドライバー間で分かれたことで一概には言えないものの、関口雄飛に平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、石浦宏明(JMS P.MU/セルモ・インギング)、中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、山下健太(KONDO RACING)、山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)といった実力者たちがタイムシートの上位を占め、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が土曜午後のセッションでトップタイムをマークしたものの、ルーキーたちには厳しい状況が伺える内容となった。

 「去年このもてぎで勝ったときの速いクルマのセットアップをもとに、3月の富士テストの要素を付け加えているので、クルマはまあ、悪いハズないと思っています」と話すのは、昨年のもてぎ大会を制した平川。

「暑さはまったく問題ないです。レース距離も短いですし、去年はレースでかなり暑い思いをしたので、暑さに慣れるためにいろいろ対策してきました」と平川。その暑さ対策は「内緒です(苦笑)」とおどけるものの、このもてぎとクルマ、そしてドライビングの相性に手応えは十分のようだ。

 それでも平川は「今回はタイヤの使い方、前回から持ち込みのタイヤの状況もドライバーによって全然違うので、難しすぎますよね。他のドライバーの状況がまったくわからないですよね」と、ライバルたちの動向に首を傾げる。

 金、土曜の走行はこれまでの持ち越しタイヤでの走行になり、ニュータイヤを持っているドライバーと持っていないドライバーがわかれ、さらに今季はこれまでの4セットから3セットに日曜日から供給されるニュータイヤが1セット減ったため、ドライバーやエンジニアからは「有利不利が生まれてしまう」と懸念する声も少なくなかった。

 ニュータイヤのセット数をドライバーが気にする要因として、レースフォーマットが昨年のもてぎ大会の51周から今年は35周と少なくなり、給油やタイヤ交換といったピット作業の義務もなくなったことが挙げられる。予選での順位がこれまで以上に大きなウエイトを占めることになるのだ。

 さらに今年は予選ポールポジションには3ポイント、2番手2ポイント、3番手1ポイントと今年、予選にもポイントが付与されることも、タイヤ運用とともにチャンピオンシップに大きな影響を与えることになる。

「予選前に一度、練習走行でニュータイヤを履いて試せるのは大きい。昨日と今日でも、タイヤの感触は全然違った。だけど予選Q3に行くことを想定すると、予選前の練習走行でニュータイヤを入れるわけにはいかない。そうなると予選前の20分の練習走行はユーズドタイヤで何をすればいいのか・・・」と、平川も困惑する。

 あるエンジニアは「ヨコハマタイヤの特性として、コンディションに敏感というのがあります。昨日と今日、今日の午前と午後でもかなり違ったので、予選前にニュータイヤを履いて微調整で予選に臨むのと、ユーズドタイヤしか装着していなくて推測でニュータイヤのグリップを想定してセットアップをするのでは、ギャンブル的な要素が大きくなってしまう」と説明する。

 また、とあるエンジニアも「予選前の20分の練習走行、本当にやることがない。ブレーキの焼き入れも今はそんなに必要ないし、朝8時からなので路面温度も40℃くらいで50℃オーバーになる予選、決勝とはコンディションが違いすぎて参考にもできない」と、頭を抱える。

 今回の開幕戦もテストからの持ち越しタイヤの差があるが、今回の結果次第で第2戦以降のドライバーごとの持ち越しタイヤ&ニュータイヤの保持数は今まで以上に予選順位、そしてレースの勝敗に大きく関わってくることになる。

 また、新フォーマットでは日曜日の予選Q3終了から13時30分からの決勝スタート進行までの約2時間20分も大きなポイントになる。

 予選セットから決勝セットへの変更はどこまで可能なのか。あくまで予選重視のセットアップで決勝ロングランは妥協するか・・・などなど、エンジニアとメカニックがどこまで物理的に対応可能なのか、タイヤの運用と新フォーマットへのアプローチは、チームとしては悩ましいところだ。

 ストップ&ゴーの性格が強いもてぎだけに、特に予選順位が重要になることはもちろん、レースではスタートが最大のクライマックスになる。スタートの動き出だしと加速、そして冷えたタイヤでオープニングラップをどのように周回するのか。ピットストップが必要ないだけに、オープニングラップの攻防がレースの大きな見どころになる。

 以上のように、ドライバー、そしてエンジニアからレース距離やピット作業についていろいろな声が聞かれたが、それでもまずはこのコロナ禍で感染を拡大させることなく、無事にレースを終え、シーズンを進められることが今は重要なミッションになる。

 今回のスーパーフォーミュラ第1戦もてぎでは、国内四輪モータースポーツとしては5000人限定ながら、コロナ禍での観客の入場が認められる最初の国内最高峰カテゴリーとなることも忘れてはならない。

 専有、練習走行が行われた土曜日から、S字上の土手やスタンドの上部に一眼レフを構えた観客やテントを張って応援する観客の姿が見られ、この日はツインリンクもてぎの発表では3500人の観客が訪れた。昨年までとはいかないまでも、序々にこれまでのレースの姿が戻りつつあることを感じさせた。

 スーパーフォーミュラを主催するJRP(日本レースプロモーション)、そして開催サーキットのツインリンクもてぎ側はコロナ感染拡大対策として観客側とレース関係エリアを隔て、チームやメディアの人数を制限し、メディアルームでもソーシャルディスタンスが意識されたレイアウト運営を行った。今回のもてぎ大会では、スーパーフォーミュラ・ライツでレース後に熱中症で倒れて医務室に運ばれていることからも、日曜の決勝もコロナ対策、そして熱中症対策を万全に、観客とともに無事にレースを終えられることを願いたい。

2020年スーパーフォーミュラ第1戦もてぎ土曜日の平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
土曜日午前の専有走行でトップタイムをマークした前年もてぎウイナーの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

2020年スーパーフォーミュラ第1戦もてぎ土曜日の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
地元栃木出身ながら、もてぎでなかなか好結果が残せていない山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)