F1が人工知能が導き出した史上最速ドライバーを発表。トップ20の意外な顔ぶれに物議も

 1ラップにおいて史上最速のF1ドライバーは果たして誰なのか? F1とアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が協力し合い、1983年以降のデータを利用して、1周に関する各ドライバーたちの速さを分析、その結果割り出されたトップ20ドライバーを発表した。

 F1とAmazon Machine Learning Solutions Labは、約1年をかけて『最速ドライバー』を導き出すためのアルゴリズムを構築。AWSの機会学習によって、各ドライバーの予選パフォーマンスをチームメイト同士で比較、そのデータを利用して、マシンの力、クラッシュ、マシントラブル、天候といった条件を除いてドライバー自身の力を評価し、ランキングを作り出した。チームメイト比較の際には、その時のふたりの年齢も考慮に入れられた。

 今回のランキングでは、純粋なスピードのみが評価対象となり、タイヤマネジメント、レース技術といったものは含まれていない。

■1ラップにおけるF1最速ドライバーランキング(トップ20)

※1983年以降のデータを使用(F1およびAWSが分析)

順位 ドライバー タイム差
1. アイルトン・セナ 0.000秒
2. ミハエル・シューマッハー 0.114秒
3. ルイス・ハミルトン 0.275秒
4. マックス・フェルスタッペン 0.280秒
5. フェルナンド・アロンソ 0.309秒
6. ニコ・ロズベルグ 0.374秒
7. シャルル・ルクレール 0.376秒
8. ヘイキ・コバライネン 0.378秒
9. ヤルノ・トゥルーリ 0.409秒
10. セバスチャン・ベッテル 0.435秒
11. ルーベンス・バリチェロ 0.445秒
12. ニコ・ヒュルケンベルク 0.456秒
13. バルテリ・ボッタス 0.457秒
14. カルロス・サインツJr. 0.457秒
15. ランド・ノリス 0.459秒
16. ダニエル・リカルド 0.461秒
17. ジェンソン・バトン 0.462秒
18. ロバート・クビサ 0.463秒
19. ジャンカルロ・フィジケラ 0.469秒
20. アラン・プロスト 0.514秒

1988年のアイルトン・セナ(マクラーレンMP4/4・ホンダ)
1988年のアイルトン・セナ(マクラーレンMP4/4・ホンダ)

 この『ファステストドライバー』企画の責任者でF1のディレクター・オブ・データ・システムズを務めるロブ・スメドレーは、「予選でのスピードは、明確に示すことができるものだ。レースペースには、微妙な意味合いが多数あり、評価するのが難しい場合がある」と語った。

「一方、予選ラップは1ラップであり、同じマシンでふたりのドライバーが1周を走り、優れた方が優れたタイムを出す。そのデータポイントにはあいまいな点がそれほどないので、それを使用した」

 しかしこのランキングには意外なメンバーが含まれ、含まれて当然と思われるドライバーが入っていないなどとして、疑問を投げかけるファンが多数いたと、後にF1のモータースポーツ担当マネージングディレクターのロス・ブラウンが明かした。ブラウンは「これは、1周において最速のドライバーが誰かを特定しようという試みだった」と強調し、説明を行っている。

「皆さんは、ひとりかふたり、驚きの名前を見ることになった。しかし、掘り下げてみれば、ある程度理にかなっている」

「多くの議論を呼んだようだが、方法論を知れば、(このランキングが)理解できるようになるだろう」

「我々が行ったのは、チームメイト同士のふたりを比較することだ。同じ日、同じ状況、同じ機会における時間の増分を割り出し、それを集計していく。ドライバーAはドライバーBより速かった。ドライバーBは他のチームに移った時、ドライバーCより速かった。その場合、ドライバーAはドライバーCよりも速いということができる」

「十分な情報と分析のなかで、そういったデータを積み重ねていけば、誰が速いドライバーであり、誰がどのぐらいチームメイトを上回ったかが見えてくる。大きな課題だったのは、膨大な情報を分析しなければならなかったことだ。個々に処理することは不可能である。ソリューションに到達するためには、アマゾンが用意するテクノロジーが必要だ」

 スメドレー率いるチームは、アマゾンの技術を利用し、「仮想ペアリング」を作り出し、実際に組んだことがないドライバー同士のラインアップを作成して、検証し、精度を上げていったということだ。