「娯楽」としてクルマが流行る方法を若者目線で考える【第1回・現状理解】

●これまでの娯楽要素が減りつつある今日のクルマ

「娯楽」としてのクルマの価値は以前よりも低くなりました。

それはカーラインアップを見ても明らかで、変速機はAT・CVTが主流となり、電気自動車の台頭、さらにはアクセルペダルだけで加減速ができるクルマなど、昔あの頃のクルマ好きが楽しんでいた操作(ダブルクラッチ、ヒール&トゥ、ドリフト etc)は技術進歩とともに最適・効率化されたことで刻々とフェードアウトしています。

より優れた(高水準の技術力が取り入れられた)速いクルマを求めることは当然であると歴史を振り返ればわかりますが、それが趣味としてユーザーに娯楽性を与えるかどうかは別の話です。

こういうクルマの楽しみ方をする人が圧倒的に多かった。
こういうクルマの楽しみ方をする人が圧倒的に多かった。

80〜90年代の勢いがあった頃の日本であれば、メーカー間の熾烈な開発競争やモータースポーツへの取り組みなども数多くありましたし、それは当時のカーラインアップを振り返っても明らか。

近場から遠いところまで簡単かつ楽に移動できるという「ツール」としての役割に加え、個性豊かなデザインや思わずスピードを出したくなるエンジンやコックピットのような「娯楽・趣味」として大きな役割を果たしていたのです。

●増える税負担と増えぬ平均年収

ここでちょっとお金の話を。国民所得に対する国民負担率(社会保障負担と租税負担の合計)は、令和2年において44.6%で、GDP比は32.5%、1989年では国民負担率が37.9%でGDP比は29.2%となっており、増加していることがわかります。

高齢者人口割合がピークに達すると予測される2040年問題が示すように、社会保障負担割合もこれまで以上に高くなることが明らか。国民負担率増加は加速することでしょう。

平均収入もチェックしてみると下記の通りです。

昭和57年:3,197,000円
平成元年:4,024,000円
平成7年:4,572,000円
平成30年:4,407,000円

平成7年ごろまではいい感じに増えていたのですが、何がどうなったのか平成30年では平均収入が23年前よりも10万円以上低くなりました。

ところで「最近のクルマやバイクはとても高い」とよく指摘されます。確かに一昔前と比べれば車両価格が高くなっていることは感覚的にわかりますが、それと同様に年収が増えていれば気にならないはず。クルマの進化に年収が追いついていないのです。

●娯楽の選択肢が増えた

冒頭ではクルマの娯楽性低下を指摘しましたが、クルマやバイク全盛期と比べて娯楽が多様化したことも事実です。スマホゲーム、インテリア、ファッション、海外旅行etc。クルマのように任意保険や税金などの固定費をかけることなく、欲するときに遊べるものが多数存在しています。

ゲームもあるし動画視聴もできる。そして固定費もかかる。
ゲームもあるし動画視聴もできる。そして固定費もかかる。

インターネットの普及も重要ファクターの1つ。ツイッターやインスタグラムといった各種SNSが台頭したことで自宅にいながら友人・知人や好きなアーティストの最新情報を辿ることもができますし、ネット通販を利用すれば外出することなく物品の購入できます。

娯楽が多様化し、なおかつ家の中でもまるで外出しているかのように過ごすことができるようになっている昨今。絶対的ではなく相対的に判断されるようになっています。

●「他を我慢してでもクルマにお金を使いたい」と思える魅力を発信する価値

車両価格が高くなった割に年収が増えず、税負担もこれまでの世代より増加、そして娯楽の多様化が進んでいるなど、クルマをとりまく状況はこれまでと比べ大きく変化しました。

そうなれば残る道はただ一つ。クルマならではの魅力を発信して他の娯楽よりもクルマにお金をたくさん使いたいと思ってもらうことです。つまりは他の娯楽との生存競争。どうすれば生き残れるのか、多角的に見ていきます(第2回へ続く)。

(ジョン・スミス)