超小型モビリティとは?地域の手軽な足となる超コンパクトカー【自動車用語辞典:次世代モビリティ編】

■高齢者や地域住民、観光客の移動手段として車速80km/h以下の超コンパクトカー

●自動車メーカーも取り組むが、課題は法整備が進まないため価格が高いこと

電気自動車(EV)とCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング/サービス、電動化)を活用した地域交通のモビリティとして、グリーンスローモビリティ(車速20km/h以下)と超小型モビリティ(車速80km/h以下)があります。

地域が抱える交通に関する課題と温暖化ガスCO2抑制を同時に解決する超小型モビリティについて、解説していきます。

●超小型モビリティとは

超小型モビリティとは、軽自動車よりもコンパクトで小回りが利いて、環境性能に優れた地域の手軽な足となる1人~2人乗りの3輪および4輪自動車を指します。

背景には、温暖化ガスCO2排出量の削減要求、地域経済と市街地の衰退、高齢化社会の移動手段の制約などの課題解決に対する超小型モビリティへの期待があります。

また日本の自家用車の使用実態が、約6割が距離10km以内で乗車人数は1~2名が中心となっており、多くの自家用車が利用実態に対しオーバースペックとなってます。

国交省が認定する超小型モビリティの要件は、次の通りです。

・長さ、幅および高さがそれぞれ軽自動車の規格内(全長:3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下)

・乗員定数は2人以下

・定格出力は8kW以下(内燃機関の場合は、125cc以下)

・高速道路を運行せず、地方公共団体等によって交通安全と円滑を図るための措置を講じた場所で運行

超小型モビリティ
超小型モビリティ

●超小型モビリティのメリットは

超小型モビリティが普及することによって、4つの大きな成果が期待できます。

・CO2の削減

超小型車で基本的にはEVなので環境負荷が小さい、温暖化ガスCO2が削減できます。

・新たな交通手段

公共交通機関が十分でない地方都市や過疎地域の生活交通、通勤通学の足として活用できます。

・観光と地域振興

超小型で小回りが利くので、観光周遊や地域住民のさまざまな活動や交流を活性化します。

・高齢者、子育て支援

運転操作が簡単で低速なので高齢者の移動手段として最適です。また、子育てママさんの幼児の送迎も、手軽にできます。

●超小型モビリティの普及の障壁となっているのは

超小型モビリティは、軽自動車規格の道路運送車両法・保安基準を遵守する必要がありますが、基準緩和認定制度を適用しています。また、運転には普通免許が必要です。

高速道路は走行しないこと、交通の安全と円滑を図るための措置を講じた場所において運行することなどを条件に、安全および環境性能が低下しない範囲で一部の基準を緩和して、公道走行ができる認定制度を設けています。

高齢者による事故が社会問題になっていますが、車速を落した超小型モビリティであれば、万一事故を起こしても死亡事故の割合が大きく減少する可能性があります。

なお、超小型モビリティの最高速度は80km/h以下ですが、最高速度を30km/hまで引き下げれば、要求される安全機能と装備が大幅に簡素化でき、第一種原動機付自転車扱いになります。

●各社が開発している超小型モビリティ

2012年以降、自動車メーカーは積極的に超小型モビリティを開発し、限定された用途の公道走行や実証試験を行っています。

・ホンダ 「MC-β」

4輪の前後2人乗りで最高速度70km/h、満充電航続距離80km、特定地域での実証試験を実施

・日産 「ニューモビリティコンセプト」

4輪の前後2人乗りで最高速度80km/h、満充電航続距離100km、横浜市で「チョイモビ ヨコハマ」というカーシェアリングサービスを運行中

・トヨタ 「i-ROAD」

3輪で1~2乗りで、全幅を0.87mに縮小してほとんど2輪車に近いコンセプトで実証試験中

・トヨタ 「コムス」(トヨタ車体)

4輪の1名乗りで最高速度60km/h、満充電航続距離50km。道路運送車両法上は第一種原動機付自転車(4輪)扱いで、すでに多くの法人や自治体で活用中


超小型モビリティは、基準が緩和されているとはいえ、法規上は軽自動車と同等の扱いのため運転免許も普通車用が必要です。

超小型モビリティ独自の規格や法規が存在しないため、コストが上がり超小型特有の特長が十分生かせていません。これが、期待に反して普及しない最大の要因です。

(Mr.ソラン)