DTMが模索している生き残りの方法。理にかなっているオプションは“スーパーGT化”

 2020年4月、アウディが突如、今シーズン限りでDTMから撤退すると発表した。これにより、2021年シーズンにコミットするメーカーはBMW一社だけとなり、ドイツの“ハコ車”最高峰シリーズの未来には暗雲が垂れこめている。

 DTMは近年、スーパーGT GT500クラスと技術規則を統一することを目指してきた。2014年以降はモノコックなど両シリーズ共通のパーツが採用され、2018年にはClass 1レギュレーションが完成。

 2019年はDTMで、2020年からはGT500クラスでも同規定に則した車両が走りはじめている。さらに、昨年11月には富士スピードウェイで『スーパーGT×DTM特別交流戦』も開催。日独両国の最高峰シリーズは密接な関係を築くことができた。

 ところが、アウディが今季限りでDTMから撤退し、フォーミュラEやカスタマーレーシングカテゴリーに集中することを受け、BMWも「新たな状況に直面して、自分たちの姿勢を見直す必要がある」と表明。

 仮にBMWも今季限りでDTMでの活動を休止することになれば、シリーズそのものが立ち行かなくなることは想像に難くない。

 DTMを統括するITRは、2022年からのハイブリッドシステムの導入、そして早ければ2025年からの完全電動化という構想を持っているようだが、シリーズそのものがなくなってしまったら元も子もない。

 また、DTM消滅ともなればスーパーGT、とくにGT500クラスに影響が出てくるに違いない。日本側としては嫌でも気になる。

 7月31日発売の『オートスポーツ』本誌(No.1534)では、こうした事態を欧州側がどうとらえているのか迫っている。

 長年ドイツに住み、DTMを追いかけ続けているオランダ人ジャーナリスト、ルネ・デ・ブール氏によると、ITRは現在、2021年以降のシリーズをどうするか、GTEやGT4といったグランドツーリングカーからTCRなどのツーリングカーまで、あらゆる可能性を模索しているという。

 数ある生き残り策のなかでも「理にかなっているオプション」とされるのが、Class1マシンとGT3マシンの混走だ。

 これは同氏が「あくまで自分個人の予想」として挙げたもので、BMWが来季もシリーズに残留することが前提となるが、このフォーマットは日本のモータースポーツファンを熱狂させるスーパーGTと同じだ。この場合、GT3マシンは現状よりもパワフルになるようチューニングされると見られる。

 新たなマシンや技術規則を一から作り上げるのは、お金も時間もかかる作業。しかし、有りモノを有効活用できるレースフォーマットに変更するだけであれば、比較的手間はかからない。

 DTMの“スーパーGT化”でシリーズが存続できるなら、日本のファンとしても喜ばしいことだろう。

 それでも、いま現在決定していることは何もなく、危機的状況に陥っていることは間違いない。「DTMは何があっても生き残ると言われているから」という楽観的な見方がある一方で、「今年で終わりだろう」と悲観的に語るジャーナリストもいる。

 ドイツの誇る最高峰シリーズは今後どうなってしまうのか。日本側からでは分からない“何か”が、ドイツにはあるのだろうか。日本側はことの成り行きを注視していく必要があるだろう。

2019年に富士スピードウェイで行われたスーパーGT×DTM特別交流戦。いつまたこの光景が見られるか。DTMの存続にかかっている。
2019年に富士スピードウェイで行われたスーパーGT×DTM特別交流戦。いつまたこの光景が見られるか。DTMの存続にかかっている。