人馬一体を具現化する「SKYACTIV-BODY & CHASSIS」【マツダ100年史・第31回・第8章 その4】

【第31回・2020年7月31日公開】

軽量化と剛性向上を両立したボディ構造「SKYACTIV-BODY」とシャシー構造「SKYACTIV-CHASSIS」には、マツダの開発コンセプト「人馬一体」の思想が貫かれています。
「SKYACTIV-BODY」は、基本骨格をストレート化して折れ曲がった箇所や不連続な部分を減らすことで軽量化を図っています。また「SKYACTIV-CHASSIS」は、新開発のフロントとリアのサスペンション、クロスメンバー構造によって、背反する一体感と安心感、軽快感を高次元でバランスさせています。

第8章 新生「SKYACTIV(スカイアクティブ)」による挑戦と飛躍

その4.人馬一体を具現化する「SKYACTIV-BODY & CHASSIS」

●マツダが目指す人馬一体

現在もマツダの開発のキーワードとして受け継がれている「人馬一体」は、1989(平成元)年発売の「ユーノスロードスター」の開発から始まりました。
「人馬一体」とは、乗り手がまるで自分の手足のように馬を操り、また馬も乗り手の要求に完璧に応え、馬と人が一体となったかのように、自由自在、思い通りに走り回ることを意味します。
ステアリングを握るドライバーが、クルマのひとつひとつの動きを感じながら、手足のようにコントロールできるクルマを理想とする考え方です。
操りやすい、乗りやすいということを重視して、ボディとシャシーの高剛性と軽量化を図った「SKYACTIV-BODY & CHASSIS」は、従来比で約100kgの軽量化を実現しました。

●「SKYACTIV-BODY」の技術

「SKYACTIV-BODY」は、従来比8%の軽量化と30%の剛性向上を両立した車体構造です。
従来の車体構造は、フロアトンネル両側のフレームが途中で途切れたり、サイドメンバーの床下への延長部分が後部のフレームと折れ曲がって接合されていました。
「SKYACTIV-BODY」では、基本骨格を可能な限りまっすぐに通す「ストレート化」と、各部の骨格を連続させる「連続フレームワーク」によって、荷重を極力骨格全体で支持。また、優れた衝突安全性を確保するため、特定の部位だけで衝撃を受けるのではなく、骨格全体に広く分散させながら吸収していく「マルチロードパス構造」を採用しました。
材料については、軽量で強度・剛性に優れたハイテン鋼板の使用を40~60%の部位に拡大。主要部位の大半にクラス最薄のハイテン鋼板を使用して、大幅な軽量化を図っています。

基本構造のストレート化および連続化。
基本構造のストレート化および連続化。
マルチロードパス。
マルチロードパス。
ハイテン鋼板使用状況。
ハイテン鋼板使用状況。

●「SKYACTIV-CHASSIS」の技術

「SKYACTIV-CHASSIS」は、新開発のフロント・ストラットサスペンションとリア・マルチリンクサスペンション、電動パワーステアリングで構成。従来比で14%の軽量化を達成しながら、低中速域の軽快感や高速域の安定性、乗り心地を向上しました。
フロントサスペンションは、高速域で安定した操舵力を確保するため、キャスター角およびキャスタートレールを拡大。低中速域については、軽快な操舵感が得られるように電動パワーステアリングのアシスト力を増大させ、全域での軽快感を実現しました。
リアサスペンションについては、トレーリングアームの車体側の取り付け点を高い位置に移動。これにより、突起を乗り越えたときの移動軌跡を後ろに傾けることができ、車体への衝撃を小さくして乗り心地を向上させています。
一般的に、軽量化と高い剛性は相反しますが、クロスメンバーの構造を最適することによって、シャシー系全体で従来比14%、約50kgの軽量化を達成しました。
具体的な手法としては、前後のサブフレームで、左右に通すクロスメンバーの前後方向のスパンを拡大し、サスペンションアームの取り付け位置との距離をできるだけ近づけて、アームからの入力を無駄なく受け入れられるようにしています。

キャスタートレールの拡大。
キャスタートレールの拡大。
クロスメンバー新旧比較。
クロスメンバー新旧比較。

(Mr.ソラン)

第32回につづく。