テスラを生んだ背景はモーターでの楽しみ方にあり!? 本場アメリカで味わった電動カートは奥深かった

●安全かつ断然速い! そして運営側にとってもメリット多し

電動バイクの取材に訪れたアメリカのカリフォルニア州で、電動カート体験をしてきました。

大型の倉庫内にカートコースを常設し、レンタルカートで楽しめる施設となっています。

K1Speed入り口
レンタル電動カートのK1 Speed入り口 大きな倉庫を利用した施設

滞在していたサンノゼにあったのはアメリカ国内に42施設を展開をしているカートサービス「K1  SPEED」。ここで貸し出しているのは電動カートのみ。カートも遊びで楽しむので電動カートのお手並み拝見です。

受付で会員登録をして、走行回数(パッケージなどもある)を選んで、順番待ち。

K1 Speed 店内
広い店内にはレストランやアーケードがあり、待ち時間や走行後も楽しめる

平日の昼間ということで混んではいませんでしたが、自分の順番の前には10歳前後の子供10人ぐらいが走っていました。お母さんたちはレストランコーナーで食事とおしゃべりを満喫。大人も子供も一緒に遊べる施設なので、家族でも週末に思いっきり楽しめそうです。

電動カートコース
電動カートのコースレイアウト

自分は電動カートについて未知なので(エンジンカートは日本のいくつかのカート場で体験済み)、カートの動きやマナーなどを観察してました。

子どもたちの中でも速い子と遅い子がいるので混走の安全性も気になっていたのですが、なんと!カートの速度を係員がリモートで管理しています。

スピンや接触などで追突の二次事故が起こりそうな状況になると走行中のすべてのカートの速度が一斉に落ちます。どうやらリモコンのようなもので全車の速度を抑制できるようで、全車を低速、もしくは完全停止させることで不要な事故を防いでいます。

カードの速度はというと、見ているとイマイチというか遊園地のカート程度でしょうか。

自分の順番が近づくとまずは車両の説明。通常のカートと同じく右アクセル、左ブレーキは変わらず、非常停止用の赤い大きなボタンが目の前についています。

乗車してペダルの位置を調整してもらって子どもたちが全員コースアウトするまで待機。

電動カートハンドル周り
電動カートのハンドルとスイッチ類

エンジンカートと違うのはRevボタン(Reverse)でバックが簡単にできること。バリアに突っ込んでもバックすることで簡単に脱出できます。

一緒に走るのは若者とそのお父さんと思われる初老の男性の合計3人。コースはそこそこ広いのでお互いのペースで走ることができそうです。

緊張のコースインをしてからアクセルオンするもやはり遊園地のカートぐらい。

やっぱりこんなものかと思っていたのですが、とりあえずコースを覚えながら2〜3周丁寧に走っていると、

グンッ!

とカートの速度が上がりました。

どうやら走り方を見極めてから出力を上げていくようで、ドライバーの能力と資質をカートから見極められます。速度が乗ってきたところでコーナーをアクセルオフのみで曲がりながら限界を探っていると更に速度がアップ!

「腕が認められたな」なんて、鼻が高くなりそうですが、本領を発揮した電動カートはエンジンカート(レンタルカート)を凌ぐ加速です。

タイトなコーナーが続くレイアウトなのでなかなか忙しくハンドルを切りながらブレーキも使ってコースを攻めます。

一緒に走っている男性二人は経験がまだ浅いのか2周ぐらいで追いついてしまうのですが、抜きどころを間違えなければお互いに邪魔にならないので不快な思いもなく、思い通りに電動カートを操って楽しみました。

電動カート駐機場
待機中は電源に接続され充電が行われる。全部で4列、2列を走行、2列を充電で使い分けていました。

慣れてくるとブレーキもいらず、かつ強引にアクセルを踏んだまま曲がっても曲がりきれるコーナーが多いことに気づき、最後はほぼフルスロットルでの周回でした。(注:私の後の順番で走っていたタイムの速い人のライン取りを見てもインベタでヘアピンを曲がっていくのでエンジンとは違う走り方なのか、カートの出力自体が制御をかけられているのか)

独走状態で楽しんでいたところでチェッカーフラッグで走行終了の合図。最後に試したかったドリフトに挑戦。

カクンと姿勢を変えてドリフト〜、と思っていたら車両がスローダウンして停止。あれ?変な負荷かけて制御が掛かったのかと少し不安に。アクセル踏み直しても反応せずに完全停止状態。

コースのど真ん中だったので後続に気をつけながら手を上げて振っていると、係員の人が近寄ってきて「なんでやったんだ?」とつめよられます。

K1 Speedの電動カート
思ったよりもスピードも性能も高かった電動カート

最初はなんのことだか分からず、「何が???」となっていると「なんでドリフトした?」と言われ、「試したかったから」と素直に答えると「危ないだろう、他車のことも考えろ」と。

「他車は周りにいないのは知っていたし、危険はなかったはず」とちょっと反論。すると「なんでそれが分かるんだ?」と詰め寄られ、「いや、一番速かったし、他車を抜いてるから他車がどの辺りを走ってるか分かるから」と言い返すと

「じゃあ、もうここで走れなくなってもいいんだな」と更にお叱り。

ここで揉めても意味ないので、(いやいや、コースのど真ん中に停止させられてるこっちの方が危険だよ!)とは言い返さず、「分かった、もうやらない。気をつけるよ。sorry」と謝ると「ドリフト専用の日があるからその時は好きなだけドリフトしていいから」と。

カートでドリフトを楽しむための専用の時間帯を設けているとは、新鮮でした。

レジャー施設として仲間や家族での参加を目的としている施設なだけに、すべての人が安全に楽しめることに重きをおいている強い姿勢に刺激を受けました。

常に危険と隣り合わせのモータースポーツなだけに少しでも危険があると思えば毅然とした態度で対応。確かにちょっと速いからって調子に乗りましたが、それは独りよがり。施設が運営を続けられる上で、安全が第一です。

リモコンで危険を察知してカートをコントロール、かつ危険なドライバーがいればその車両だけを停止できるなど、電動カートであることで運営側の管理が強くなります。無謀な走行も防ぐことで初めての人やゆっくりの人でも安心してスポーツドライビングを楽しめるというのはとても大事だと思いました。

そして何よりも電動だからエンジン音がなく、静かです(スキールはします)。この施設にはカートが約40台あり、20台が走行、20台が充電という使い方でした。

混んでくれば割合は変わると思いますが、コースの大きさを考えると同時に走れるのは20台以下。十分に交代式でカートを提供できそうです。ガソリンという危険な燃料を必要とせず、オイルのような汚れる要素もなく、サスペンションもないので交換が必要なのはタイヤのみ。

そして会員登録をすると自分のタイムをオンラインで確認でき、他のドライバーとの比較もできます。(因みに私のタイムはその週のベスト10位に入ったのでちょっと満足しました)。

施設にはレストランも併設してあり、会社の余暇にも使われるようで、楽しむことに最も重きを置いている印象でした。

カート場はどうしても走ることにストイックな人が集まってしまいますが、ここでは走ることが楽しむことの一つの要因であるだけで、誰でもが楽しめることを大切にしていました。

こうした施設が増えることでドライビングを楽しむ層が厚くなると思いました。そして騒音も排ガスもないだけに、市街地でも周りに迷惑をかけることなく運営が可能です。

ぜひ、繁華街の中心にこうした施設ができることを望みます。

(電動バイクライター:Hiromi Kinukawa)