スーパーGT:山下健太にも引けを取らないバトルの強さを見せたWAKO’S ROOKIE坪井翔の底力

 新規チームながら、チャンピオンマシンのリバリーを受け継いだTGR TEAM WAKO’S ROOKIE。阿部和也エンジニアと大嶋和也という組み合わせも継続となったが、山下健太はWECに注力するため今シーズンはスーパーGT参戦を休止することに。

 その後釜として、新たに坪井翔が加わった。昨年のタイトル獲得に大きく貢献し、いまや国内最速ドライバーのひとりである山下の離脱は、WAKO’S 4CR GRスープラにとって大きな痛手になると思われた。

 しかし、山下は後任の坪井を「彼は本当に速いからまったく問題ないと思います」と高く評価し、阿部エンジニアも「最初のテストですぐに安心しました」と、全幅の信頼を置いていた。

 ところが、開幕戦富士のQ1を担当した坪井は、8番手とわずか0.05秒差の11番手タイムに沈み、Q2進出を逃してしまう。坪井は大きく落ち込み、責任を痛感していたというが、阿部エンジニアは「Q1落ちは自分の責任です」と、坪井を擁護した。

「日曜日の予選は雨だと思い、その前提で土曜日の練習走行でタイヤを運用してしまったんです。決勝のことも考えると、Q1は土曜日に1回アタックしたタイヤを使うしかなかった」

「Q2にはスクラブのハードを残していたけど、ユーズドでもQ1を通るのではと、欲をかいてしまった部分もある。あと、予選に関してはクルマの仕上がりもあまり良くなかったし、ドライバーに申し訳ないことをしてしまった」

 一方、大嶋は「Q1に臨む前から厳しいだろうと思っていたし、坪井には『もし通ったらお前の実力だから思いっきり行け』と言いました。あのタイヤであの順位、タイム差ということは、クルマに速さはあったということなので、決勝に向けては自信を持てましたね」と話す。

 果たして、決勝ではまず大嶋が序盤に大きく順位を挽回し、坪井にバトンタッチ。車種とチームが変わっても昨年のチャンピオンマシン譲りの「抜く力」は健在で、坪井はARTA NSX-GTをはじめとしたライバルたちを次々とパス。

 その抜きっぷりの良さは、前任ドライバーである山下にまったく引けをとらず、バトルの際の安定感も非常に高かった。

 終盤、2番手を走るau TOM’S GRスープラの関口雄飛にも追いつき、さらなるオーバーテイクが期待されたが2位浮上はならず。それでも11番手スタートからの3位表彰台は望外の結果であり、坪井はスッキリとした表情でレースを終えた。

「Q1は、0.05秒という微妙な差で通過できずへこみましたが、決勝ではバトルの強さを発揮できたと思います。最後はタイヤが終わっていたので、36号車(au TOM’S GRスープラ)を抜かす余力は残っていませんでしたが、予選でもう少し上に行ければ優勝争いをできていたと思います」と坪井。

GT500は今回で10戦目、3度目の表彰台だった。

「良いレースだったとは思いますが、はやく1勝したいです」と、坪井。彼の走りを見る限り、そのチャンスは今年中に巡ってきそうだ。

2020年スーパーGT第1戦富士 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)
2020年スーパーGT第1戦富士 WAKO’S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)