MotoGP第2戦スペインGPで10位フィニッシュの中上、「フロントの感覚に苦戦」した厳しいレース

 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はMotoGPクラスの初戦である第2戦スペインGPを、10位でフィニッシュした。笑顔はない。決勝レースでまったく変わった路面状況に翻弄された。9カ月ぶりのレースは、中上に厳しい結果をもたらした。

 決勝レース、中上は13番グリッドからスタートした。予選では15番手タイムを記録していたが、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)とカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)が負傷欠場となったことで、グリッドが繰り上がったのだ。

 しかし、スタートから厳しい展開が続いた。ほぼレースをとおして14番手付近を走行。ラップタイムも上がらない。最終的に10位でフィニッシュしたものの、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)を含む5名もの途中リタイアが要因であったことは否めない状況だった。

「厳しいレースでした」とレース後、オンラインでの取材に応じた中上はそう切り出した。決勝レースでは、フロントの感覚が変わってしまったのだという。

「序盤からフロントタイヤの感覚に悩まされていたんです。僕はフロントにハード、リヤには周りと同じようにソフトを選択しました。これは、今日の状況としては正しい選択だったと思っています」

 中上が語るように、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのマーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシを除く全ライダーが、フロントにハード、リヤにソフトタイヤを選択している。

「テストや金曜、土曜、そしてウオームアップセッションではフロントに問題はありませんでした。いい感覚があり、ブレーキングでの安定性もよく、フロントエンドを失うことなどなかったんです。しかし、レースでは最初からまったく(フロントに)自信が持てないという状況でした。ブレーキング、コーナリングでの安定感もなく、両サイド、特に右側のグリップを失っていて、攻められませんでした。これが今日の結果の理由です」

「路面状況はとても難しかったです。温度は高く、多くのライダーが転倒していました。すべてのライダーにとって、簡単じゃない路面状況だったと思います。でも少なくとも、こうしたレースのなかで、5位や6位でフィニッシュしなければならなかったと思います。今日は10位。本当にがっかりしています」

 通常、Moto2クラスのレース後、ダンロップタイヤのラバーが乗ると、MotoGPクラスではグリップが低下する。しかし今回は通常とは違う状況だったという。

「いつもならそれが、リヤのグリップに影響するんです。そして、今回はリヤのグリップは、そう悪くはありませんでした。何が起こったのかわかりません」

「リヤはグリップが低下しましたが、マネージメントできる範囲でした。リヤのグリップについては、誰も不満を言っていませんし、僕もグリップがすごく悪くなるという感じはありませんでした」

「チームとともに、データを確認する必要があります。レースが終わって、まだ5分くらいしかチームと話ができていないんです。何が起こったのか、しっかりと確認して、次のレースまでに解決策を見つけないといけません」

 このコンディションの変化に関して言及しているのは中上だけではない。今大会でMotoGPクラス初優勝を飾ったファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)は「奇妙な感じがあった。フリー走行4回目ではグリップはよかったし、通常、Moto2クラスのレース後にはグリップが低下するけど、ここまでとは思わなかった。約1秒もペースが遅くなったんだ。路面状況を把握するのは難しかったよ」と語っている。

 そしてまた、2位フィニッシュを果たしたビニャーレスは、レース中、何度かマシンが振られるシーンがあった。「6コーナーと最終コーナーでフロントを失った。今日は、フロントがすごく変な感じだった」

 彼らの状況が中上が感じていたものと同じであるかは断言できないが、いずれにせよ、暑さだけではない、厳しいコンディション下でのレースだったようだ。

 次戦も同じくヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトでのレースとなる。

「次のレースも同じような路面状況になると思いますね。もしかしたら、もう少し暑くなるかもしれません。金曜や土曜のフリー走行のときも、レースを考慮したいと思います。聞いたところでは、ミシュランは次戦、違ったコンパウンドのタイヤを持ち込むようです。フロントはもう少しハードよりになるのではないかと思います。ホンダのライダーたちには朗報ですね。フロントのハードが、柔らかいので悩んでいたんです」

 こうした難しいレース、暑さというコンディションのなか、9カ月ぶりのレースとなった中上だが、手術した右肩の具合についてレース中に何らかの問題はなかったのかと聞くと「まったくありません」という答え。

「右肩は何の問題もありませんでした。これは、前向きな材料ですね」

 次戦アンダルシアGPはすぐに幕を開ける。本来のポテンシャルを発揮し、初戦リベンジとなるか。