スポーティ度の高さが世界で評価される新型アコード。日本デビューが遅れたワケは?

■右ハンドル仕様はタイで集中的に生産され、左側通行圏にデリバリーされる

ホンダの伝統的なクルマであり、グローバルには主力モデルに位置づけられている「アコード」に日本の公道で乗ることができました。

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日本では2020年2月に発売開始となった10代目アコード。モノグレードでメーカー希望小売価格は465万円

2019年秋の東京モーターショーにて日本導入がアナウンスされ、市販予定モデルがお披露目されたのち、2020年2月に発売開始。その後、新型コロナウイルスの影響で試乗の機会を逃していましたが、緊急事態宣言も解除された6月後半になって公道でハンドルを握ることができたのです。

ようやく、というのには二つの意味があります。ひとつは、緊急事態宣言の発出を受けて試乗などの行為を自粛していたことの影響から解放されたということ。もうひとつは、海外では10代目アコードはとうに販売されていたからです。

最初にローンチされたのは北米市場で、それは2017年10月のことでした。つまり、日本導入は2年半ほど遅れたのです。

ところで、10代目となる新型アコードは輸入車であることはご存知でしょうか。

アコードといえば、過去に北米で生産されたステーションワゴンやクーペを輸入したこともありましたが、今度のアコードの生産国はタイ。同国にあるホンダオートモービル(タイランド)が製造事業者で、本田技研工業が輸入販売元となっているのです。

なぜなら、新型アコードにおいては世界中の右ハンドル仕様の生産をタイ工場に集約しているからです。

右ハンドルの左側通行圏は東南アジア・オセアニア地域に多く、立地的にタイで生産するのがデリバリーの効率から有利というのが、その主な理由。結果として、北米では2017年10月にデビュー、ついで中国では2018年4月にローンチされ、その後右ハンドル仕様を担うタイ工場を立ち上げるという生産スケジュールになりました。

新型アコード室内
グローバルモデルのアコード。主戦場は左ハンドルの北米や中国。右ハンドル仕様が遅れてしまうのは資本経済の道理に従ったゆえといえる

タイ工場でのアコード生産が軌道に乗ってから日本仕様やオーストラリア仕様が作られるということで、日本での販売開始は2020年2月になったのです。これは計画通りということで、けっしてトラブルから日本導入が遅れたわけではないそうです。

かつて、生産技術の確認などマザー工場的な位置づけから日本での生産が欠かせないという時代もありましたが、新型アコードの日本における販売計画は月間300台。この規模では日本で生産するというのはあまりにも無駄が多いのも事実。

10代目アコード。
2年以上遅れて日本導入されたアコード。目標月販台数は、日本のセダン市場縮小を象徴するかのような300台。

日本導入が遅れたのは、日本市場を軽んじているわけではなく、タイで生産して日本に輸入するというのは、経済合理性から真っ当な判断といえます。

ところで北米では販売から2年以上を経過しているので様々なユーザーボイスが届いてるそうですが、新型アコードは意外にも若い世代に評価されているといいます。とくにミレニアル世代のうちの25~30歳あたりからの評判がいいそうで、その理由は「スポーティだから」ということ。

10代目アコード北米仕様2018年モデル。
10代目アコード北米仕様2018年モデル。全体スタイルや細部は同じ。
10代目アコード北米仕様2018年モデル。
同じく2018年北米向けアコード。リヤガラスからトランクまで、ルーフの延長面のようになだらかに下がるクーペ風フォルムがアメリカの若者の目を惹いている。サイドガラスの6ライト処理はアコード史上、この10代目が初だ。

日本ではアコードのようなミドル級セダンは、べテラン層くらいしか求めていないという印象がありますが、一周回って「セダンがスポーティでイケている」という評価を受けているというのです。はたして、こういった市場トレンドの変化は日本でも見られるのでしょうか。

もちろん、クーペ的なシルエットを与えられた新型アコードのスタイリングもミレニアル世代に評価されているのでしょう。実際、新型アコードのハンドリングは、そのスタイルから想像する以上にスポーティです。そうした走りには低重心・低慣性の新世代プラットフォームを採用した成果といえます。

プラットフォームを一新したことで、運転席のヒップポイントは従来モデルから25mmも下がっているのは、その証。いかにもスポーティなドライビングポジションは走り出す前からハンドリングへの期待を高めるのです。

(山本晋也)