WTCR:eシリーズ第3戦でLynk&Coが初優勝。エルラシェールとホンダのタッシが勝利

 シリーズ再開を待つ期間、プレイベントを経て全6戦予定で開催されているWTCR世界ツーリングカー・カップの新eシリーズ『Pre-season Esports WTCR Championship』第3戦スロバキアリンクは、Cyan Racing Lynk&Coのヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)がレース1をポール・トゥ・ウインで初制覇。アッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)もレース2でeシリーズ2勝目を飾っている。

 6月28日(日)に仮想空間のスロバキアリンクで開催された第3戦では、ここまでの2戦で速さを披露してきたFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRや新型CUPRA Leon Competición TCR(クプラ・レオン・コンペティションTCR)に加えて、Cyan RacingのLynk&Co 03 TCRがトラックとの相性の良さを見せ、エルラシェールがトップ5シュートアウトを制して自身初のポールポジションを獲得した。

 12分間で争われる決勝レース1では、過去2戦と同様にポールシッターが順当にホールショットを決め、エルラシェールが機先を制すると、2番手に続いた現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)の背後では、5番手発進だった前戦勝者ネストール・ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)が躍進。ターン1のライトハンダーを大外から回ったジロラミのシビックは、ニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS/Comtoyou Team Audi Sport)らを仕留めて3番手に浮上し、ミケリスのヒュンダイにテール・トゥ・ノーズで迫るジャンプアップを披露する。

 続く2周目、3周目にはその攻防劇にチームメイトのエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)も加わると、eスポーツで実績を挙げてきた同郷の実力者を前に出したジロラミは、シビック艦隊を形成してミケリス攻略を狙う。

 その期待に応えたグエリエリは、ターン3でヒュンダイのインサイドに飛び込みパッシングを決めると、ジロラミもおなじラインに飛び込んでいく。しかし、この動きを阻止せんと行く先を封じたミケリスと接触したジロラミはそれでも強引にポジションを奪い、反対にeスポーツ出身のミケリスが姿勢を乱し、ラングフェルド、ミケル・アズコナ(CUPRA Racing)らにかわされる厳しい状況に陥ってしまう。

 4周目には3番手争いが激化し、ジロラミがラングフェルドに捕まると、バトルの余波で車速が削がれ、再びミケリスが3番手を奪還。その後しばらくはポジションを守った王者ミケリスだったが、終盤に来てラングフェルドの逆襲を受け表彰台圏内から敢えなく陥落してしまう。

レース1ではポールシッターのヤン・エルラシェールがホールショットを決めると、その背後ではマルチウェイバトルが勃発する
レース1ではポールシッターのヤン・エルラシェールがホールショットを決めると、その背後ではマルチウェイバトルが勃発する
現WTCR王者ノルベルト・ミケリスを攻め立てたALL-INKL勢だったが、2位エステバン・グエリエリに対しネストロール・ジロラミは8位と明暗が分かれた
現WTCR王者ノルベルト・ミケリスを攻め立てたALL-INKL勢だったが、2位エステバン・グエリエリに対しネストロール・ジロラミは8位と明暗が分かれた

 そのままファイナルラップを走破した先頭集団は、エルラシェール、グエリエリ、ラングフェルドの順でチェッカー。4位ミケリスの背後にはタッシが続き、バトルでの攻防で消耗したジロラミは8位まで順位を下げてゴールラインをくぐっている。

 続くレース2は予選トップ10リバースグリッドで最前列を確保したタッシが好スタートを決め、3番グリッドに着けたベンス・ボルディズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/Zengő Motorsport)がダッシュを見せるも、その前に立ちはだかったのがタッシのチームメイトであるティアゴ・モンテイロ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)。

 バーチャル空間での走行距離は「まだ初心者レベル」というモンテイロは、オープニングの攻防でアズコナに2番手を譲ったものの、その背後にいるライバル勢を押しとどめるかのようにディフェンシブな走行に徹し、2周目に入る頃にはタッシのシビックがマージンを築くのを助け、直後にマット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing Team)、3周目にミケリス、グエリエリ、ジロラミらにかわされるまで老獪なアシスト役を演じて見せる。

 これで楽になったハンガリー出身のヤングドライバーは、2018年TCRヨーロッパ王者アズコナとのバトルに集中できる展開となり、ポジションを守ったまま0.793秒差でフィニッシュ。チームメイトの助けを得てPre-season Esports WTCR Championshipでの2勝目を飾った。

「何よりもティアゴに大きな感謝を捧げたい。今後、必ず彼にビールの一杯でも奢らせてもらわないとね(笑)。ティアゴがボディガード役をしてくれたおかげで、僕は2周目からミスを犯さず100%のアタックをすることができた」と、レース2を振り返るタッシ。

「タイヤのケアをしながら後続との距離を見ていたけど、ミケルとその背後にいたマットが僕に迫っているのも分かっていた。でもギャップは充分だったし、2度目の勝利にはとても満足している。このまま残るeシリーズでもリズムを保っていきたいね」

 この結果、オモラを逆転したグエリエリが4ポイント差で選手権首位に立ち、勝利を挙げたエルラシェールが3位に急浮上。以下ミケリス、タッシと続くオーダーに変わっている。

 続くPre-season Esports WTCR Championship第4戦は、7月5日(日)に仮想空間の中国・寧波インターナショナル・スピードパークを舞台に争われる。

レース2はリバースポールを奪ったアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)が、チームメイトの助けも得てレースを支配
レース2はリバースポールを奪ったアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)が、チームメイトの助けも得てレースを支配
ノルベルト・ミケリスはレース2でも終始、ホンダ勢とのバトルを強いられる展開となった
ノルベルト・ミケリスはレース2でも終始、ホンダ勢とのバトルを強いられる展開となった