「最先端ドリフト仕様の今」これでキミも今日からD1グランプリ博士だ!

「最先端ドリフト仕様の今」これでキミも今日からD1グランプリ博士だ!

そのスペックはスーパーGT車両をも上回る!?

レーシングスペックへと変化を遂げた現代版D1車両のトレンドに迫る!

D1GPも今年(2020年)で20年目のシーズンを迎える。初期は街乗りもできるストリートスペックで参戦していた選手も多かったが、現在は完全に競技専用車両。改造のレベルは恐ろしいほど進化している。そんなドリフト専用機のトレンドを見ていこう。

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●エンジンは2JZ-GTEが最大勢力

タイヤの進化に比例して要求パワーも高まっているが、エンジンはエントリー車両の35台中25台が2JZ-GTEを選択しているという状況だ。制御系まで含めたパワーチューニングが確立されていて自由度が高く、耐久性もすこぶる高いというのがその理由だ。

排気量は様々だが、東名パワードのキットによる3.6L仕様がトレンドの兆し。組み合わされるターボはギャレットのGTX4088RやGTX3584RSなどが多く、最高出力は700馬力後半〜1000馬力が標準的。なお、最近はアンチラグ等を使うために、電子制御スロットルを装着した車両も増えてきている。

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●ラジエターはリヤに搭載して重量配分を改善

ここ数年で増えてきたのが、ラジエターをリヤに移設しているレイアウト。これは前後重量配分を改善してリヤタイヤへの荷重を増やすことを目的としたものだ。ラジエター自体はKOYO製が多く、トラストやHPIなども使われている。

また、レギュレーションの見直しに伴ってボディ前後のパイプフレーム化も促進。軽量化はもちろん、クラッシュした際の修復しやすさなどから、この改造を行うマシンが多い。

●数分でファイナルギヤを変更できるクイックチェンジ

デフは、リヤのサスメンバーを改造して『クイックチェンジ』と呼ばれるタイプを採用する車両が急増。これはアメリカの汎用モータースポーツ部品で、強度に優れる上、デフを降ろさずに後端カバーを開けるだけでファイナルギヤ交換が可能というシロモノ。

慣れたチームだと数分でファイナル交換を終えるほどなのだが、ファイナルギヤの選択肢も非常に豊富で、セットアップの幅を広げる武器でもある。なお、製品自体はデフロック仕様のため、OS技研が販売するクイックチェンジ対応のLSDを組み込むのがトレンドだ。

●リヤに油圧サイド対応キャリパー

ドリフトの進入時や姿勢コントロールなどに使用するサイドブレーキは、効きが安定しない純正のワイヤー式では不安がつきまとう。そのため、独立させたブレーキラインによる『油圧式サイドブレーキ』を導入するマシンが大半だ。

なお、油圧サイド化はリヤに専用のブレーキキャリパーが必要になるが、各メーカーはフットブレーキ用と油圧サイド用の2系統を持つ、コンパクトなドリフト専用キャリパーを開発している。

一方、リヤに比べてフロントブレーキの重要性が低いのもドリフト仕様の特徴。というのも、ドリフトの場合は車体を横に向けてアクセルを踏むことが制動になるからだ。“カキ止め”などと表現されることが多いが、グリップ走行のようなハードブレーキングを使わないのである。

●切れ角アップはナックルやアームで

重要なフロントの切れ角に関しては、ナックル加工がこれまでの定番だったが、ここ数年でドリフト用に専用設計された海外のアングルキット(アーム&ナックルのセット)を投入するマシンが急増。装着率が高いエストニアのワイズファブはその代表例で、アッカーマンアングルを含めた調整範囲が広く、セッティングの自由度が非常に高い。

ちなみに、切れ角をアップした場合は、アームやボディに当たらないようにタイヤを外に張り出させるため、ほとんどの車両がワイドボディ化している。

●軽量化&簡略化されたインパネ

ダッシュボードは軽量化のためにカーボン素材などで作り直された車両が多い。メーターもレース用のオールインワンタイプがよく使われる。機能が豊富でデータロガー機能もあり、軽量だからだ。

トランスミッションは、ほとんどが海外のシーケンシャルドグを投入している。歴史のあるホリンジャー製が人気だが、TTI製やサムソナス製など気鋭メーカーの製品を投入する強者も増えてきている状況だ。

ペダルはドライバーの好みもあるが、チルトンなどのレース用オルガンペダルを使う車両が多い。

●ロールケージはFIA規定

競技車両のため、もちろんロールケージの装着が義務づけられているが、FIAの規定に則ったものである必要があり、この製作はかなり高価なものになる。なお、バケットシートはブリッドが圧倒的なシェア率を誇る。

●リヤタイヤは265幅もしくは285幅

タイヤは、車重が1275kg未満だと265幅まで。1275kg以上だと285幅まで使える。タイヤの溝の面積比率がレギュレーションで決められており、それに適合する各社のハイグリップタイヤが使われている。近年では中国製が勢力を拡大中だ。

D1グランプリ仕様は進化が著しく、最新パーツを取り入れながらシーズン中にアップデートさせていくマシンが多い。それを考えると、20年目のシーズンを迎えた今年、これまでとは異なる新たなトレンドが生まれることになるかもしれない。