TOYOTA GAZOO Racing、2020年のニュル24時間参戦見送りを決定。2021年再挑戦を目指す

 5月21日、TOYOTA GAZOO Racingは2007年以来挑戦を続けているADACトタル24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)について、新型コロナウイルス感染拡大の影響にともなうチームメンバーの渡航制限、現地での走行テスト自粛、メンバーの安全確保などの理由で、2020年は参戦を見送ると発表した。

 ニュルブルクリンク24時間は、多くの自動車メーカーもテストに使用するドイツのニュルブルクリンクを舞台に、グランプリコースとノルドシュライフェ(北コース)を組み合わせたコースで争われる耐久レース。クルマのポテンシャル自体が問われる非常に過酷なコースに加え、アマチュアやプロが混在する多数の参戦台数、変わりやすい天候など、難攻不落のレースとして知られている。近年は総合優勝争いを展開するドイツメーカーはもちろん、各国のメーカーのマシンが参戦し盛り上がりをみせている。

 TOYOTA GAZOO Racingにとっては、数多くのモータースポーツ活動のなかでも非常に重要視されているレースであり、『もっといいクルマづくり』のために、『人とクルマを鍛える』べく、トヨタ自動車の社員メカニックやエンジニアが自ら製作した、市販車をベースとした車両で挑戦。将来の市販車に応用できる実験的な技術が盛り込まれており、レースでの勝敗を競うというよりも、己との戦いの場として活用されてきた。

 また、ドライバー“モリゾウ”として自らステアリングを握り、2007年のプロジェクト当初から関わってきたトヨタ自動車の豊田章男社長にとっても、非常に思い入れが強いレースでもある。モリゾウのドライビングの“師”で、亡くなった成瀬弘マスタードライバーと二人三脚で進めてきた取り組みであり、2019年も実際にレースでドライブしている。

 そんなTOYOTA GAZOO Racingのニュルブルクリンク24時間への挑戦だが、2020年に向けて石浦宏明/佐々木雅弘/大嶋和也/蒲生尚弥がドライブするレクサスLCで参戦する予定だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大によってレースは9月へ延期されたが、チームメンバーの渡航制限や現地での走行テスト自粛など、車両の開発に甚大な影響を受けているという。

 また今季投入するレクサスLCについては、初投入のエンジンと周辺技術の導入が予定されており、この状況下では安全に完走し得る保証が困難であるだけでなく、参画する多くの社員、関係者の安全確保にも課題があると判断。2020年の参戦を見送るという決断が強いられた。

 ただTOYOTA GAZOO Racingとしては、ニュルブルクリンク24時間参戦の重要性は変わっておらず、2021年に向けて参戦を継続していくとしている。今回の決断によって生まれた時間を有効活用し、早い段階から2021年の準備を進めていく。

「先日ニュルに住む友人から、今年も変わらずきれいな花を咲かせた“ニュルの桜”の写真が送られてきました。毎年、その桜の前でチームも私も安全を祈り、もっといいクルマづくりを誓って、レースに臨んでおりました。今年はそれをできず残念で仕方ありません」と語るのは豊田社長。

「遠く離れた日本からではありましたが、その写真を見ながら、この逆境のなかでも“もっといいクルマづくり”を続けていくことだけは誓いました。本年は参戦を見送ることになりましたが、社員メカニック、社員エンジニア、そしてプロドライバー、サプライヤー、スポンサーパートナーの皆さまとともに、“もっといいクルマづくり”の挑戦は続けてまいります」

「ファンの皆さまにも、引き続き、我々の活動を見守っていただき、そして応援いただければと思います。よろしくお願いいたします」

2019年ニュルブルクリンク24時間 レクサスLCとGRスープラの2台体制で挑むTOYOTA GAZOO Racingには、ドライバー“モリゾウ”が加わった。
2019年ニュルブルクリンク24時間 レクサスLCとGRスープラの2台体制で挑むTOYOTA GAZOO Racingには、ドライバー“モリゾウ”が加わった。
2019年のニュルブルクリンク24時間を戦ったレクサスLC
2019年のニュルブルクリンク24時間を戦ったレクサスLC
モリゾウがドライブしノルドシュライフェを駆けるTOYOTA GAZOO RacingのGRスープラ
モリゾウがドライブしノルドシュライフェを駆けるTOYOTA GAZOO RacingのGRスープラ