F1 Topic:オーストラリアGP中止の翌日、地元紙が伝えたこと。フードロスも問題に

 F1のオーストラリアGPの中止は、地元オーストラリアの人々には、どのように受け止められていたのか。中止が発表された翌日の3月14日(土)の地元紙の報道をもとに、探ってみたい。

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オーストラリアの地元新聞

 まず、全国紙の『ジ・オーストラリアン』。この新聞は、オーストラリア唯一の日刊全国紙で、昨年の秋に政府による秘密主義と報道の自由に対する弾圧強化に抗議するため、1面を大幅に黒塗りにした朝刊を発行するなど(このときはほかの全国紙も同様の措置をとっていたが)、オーストラリアを代表するオピニオンリーダー的存在だ。

 14日はその土曜版である『ウィークエンド・オーストラリアン』が発行され、その3面にフェラーリのスタッフがサーキットを後にする写真とともに、「危機的な状況の中で、事故が起きた」という見出しで、次のように報道している。

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全国紙の『ジ・オーストラリアン』の土曜版である『ウィークエンド・オーストラリアン』

「主催者は『事態は流動的だった』と説明したが、金曜日の朝にサーキットのゲートの外で待ちぼうけをくらった数千人のファンには何の情報もなく、ただ引き返す羽目となった。しかも、握りしめているチケットが今後どうなるのかもわからないまま……」

 さらにジ・オーストラリアン紙は入場を許可されなかった複数のファンの声を掲載している。

「私は25年間ここに通い続け、今年は25周年の記念大会だった。もし中止にするのなら、もっと早い段階で決定し、発表すべきだった」

「何も中止しなくてもよかったんじゃないのか。だって、インフルエンザでも年間多くの人が命を落としていて、これはインフルエンザより少し強いウイルスだと聞いているからね」

 ちなみにジ・オーストラリアン紙によれば、オーストラリアGPにビクトリア州が支払っている開催権料は約6000万オーストラリア・ドル(約38億円)ともいわれ、中止による観光産業への経済的な損失は少なくとも2億5000万円にのぼるだろうとのこと。

 オーストラリアのメルボルンで発行されているタブロイド紙の『ヘラルド・サン』も概ね同じ内容で、中止発表までの対応の遅さをファンの怒りの声を引用しながら、書き綴っていた。ただし、中止という決定そのものに対しては、当然の判断という見方を行っている。というのも、F1以外にもその週にはオーストラリアで多くのイベントが延期や中止、または無観客で行う決定が相次いでいたからだ。

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メルボルンのタブロイド紙『ヘラルド・サン』
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『ヘラルド・サン』ではF1の中止について当然の見方を行っている

 ヘラルド・サン紙で興味深かったのは、この中止が開幕直前となったことで大きなフードロスが生じたことを紹介していたことだ。ヘラルド・サン紙によれば、「餃子4000個、牛肉2000枚、じゃがいも300kg、パスタ100kgが売れ残り、さまざまな慈善団体と福祉施設へ寄付される」という。

 だが、どの新聞もオーストラリアGP中止を一面で大きく報じているところがなかったのも、現実である。その理由は、すでにオーストラリアは3月に入ってから、新型コロナウイルスの影響でスーパーマーケットで、パニック買いによるトイレットペーバーや食料品などの品不足が社会問題となっていて、モータースポーツ・ファン以外にとっては、それどころではなかったからだ。

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トイレットペーパーの買占めなどが問題となっている
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パニック買いによるトイレットペーバーや食料品などの品不足が社会問題

 本来、オーストラリアGPのレースが行われるはずだった15日の翌日には首都特別地域とメルボルンがあるビクトリア州が、新型コロナウイルスの感染拡大抑制に向け、非常事態を宣言。14日の新聞も、どちらかといえば、新型コロナウイルス関連の報道のほうが目立っていた印象だった。