WRC:最上位クラス8戦に挑む勝田貴元、自身にかかる期待は実感も「必ず結果は出すので待っていてほしい」

 2020年は最終戦ラリー・ジャパンを含むWRC世界ラリー選手権の全8戦で最上位クラスを戦う勝田貴元は「今シーズンは経験値を積むことが一番大事なので焦らないこと」が大事だとコメント。また自身に大きな期待が寄せられていることは実感しながらも「必ず結果は出すので待っていてほしい」とも述べた。

 トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に参加している勝田。2018年はWRC2をメインに活動し、第6戦チリではクラス優勝を果たした。また、シーズン後半の第10戦ドイツではトヨタ・ヤリスWRCでWRC最上位クラスにも参戦、第12戦スペインでもヤリスWRCを操り、2戦とも完走を果たした。

 2020年シーズン、勝田の育成プログラムはさらに強化され、1月23~26日の第1戦モンテカルロを皮切りに11月19~21日の第14戦、ラリー・ジャパンを含む8戦でヤリスWRCをドライブする。

 1月10日、東京オートサロン2020のなかで行われたトヨタの2020年WRC参戦体制発表会に出席した勝田は、セバスチャン・オジエやエルフィン・エバンスなどワークスドライバーたちとスポンサーロゴなどは違うものの、同じデザインのレーシングスーツで登場。集まった多くのファンにその姿を印象づけた。

 真新しいレーシングスーツをまとった勝田は「ロゴは違いますが、同じデザインのレーシングスーツになって心機一転、より気持ちも引き締まります」と明かす。

こちらはワークスドライバーのオジエが着るレーシングスーツ
こちらはワークスドライバーのオジエが着るレーシングスーツ

「ただ、同じデザインだけに、いずれは(ワークスドライバーが着用するスーツと)同じロゴが入ったものを着ることが一番近い目標になるので、そこを目指して頑張りたいと思います」

 東京オートサロン2020のなかで体制発表会が行われたことについては「日本のファンにも見て頂けますし、日本でローンチイベントができたことは僕個人としてはうれしいです」とコメント。およそ2週間後に開幕する2020年シーズンに向けては、次のように抱負を語った。

「去年と方向性は変わらないですけど、今までよりも高いレベルでの経験値を積んでいけたらなと思います。今シーズンは経験値を積むことが一番大事なので焦らないこと。ただラリーによっては(攻めて)いけるもの、いけないものがあるので、そこはメリハリをつけた走りをしたいです」

「経験値を積むことが大事なので、本来集中するべきなのはそれだけなんですけど、トライしないと分からないこともあるので、大きすぎるリスクを負わない程度にトライするところではトライしていきたいなと思います」

「例えば(第9戦)フィンランドや(第2戦)スウェーデンですね。特にスウェーデンは雪があればトライしようかなと思っています。そういうメリハリをつけた走りをしたいですね」

 こう語った勝田だが、開幕戦モンテカルロについては「(最上位クラスデビュー戦となった2019年の)ドイツと同じくらいの気持ちでいかないと、来年、再来年に後悔することになると思う」として、なによりも完走を念頭に置くとしている。

 WRCを頂点とするラリー競技は、公道を舞台とするモータースポーツという性格上、事前に各ステージをレーシングスピードで走り込むことはできない。ラウンドによって路面などのキャラクターも大きく変わるため、サーキットレース以上に経験が重要と言える。

 なかでもWRC開幕戦の舞台であるラリー・モンテカルロは、基本的にはターマック(舗装路)中心の構成だが、ステージによっては雪が積もっている箇所や路面が凍結している箇所、それも凍結していることがわかりにくいブラックアイスバーンとして潜んでいることもある。

 WRCを戦うドライバーからも、ラリー・モンテカルロは「5回出ても足りない、7回出てもまだ分からない」という声が出るほど高難度のイベントで、スピードよりも適切な状況判断能力、そしてなによりも経験が物を言うイベントだ。

 勝田は「応援してくれている方、待ってくれている人には申し訳ないですけど、必ず結果は出すので待っていてほしい。今はそういう(優勝を争う)ときではないので」とコメントを残した。

 2年連続でシリーズタイトルを獲得しているヤリスWRCに乗り込むだけに、日本人として唯一最上位クラスへ参戦する勝田に大きな期待がかかるのは仕方ないことだ。

 しかし、勝田がWRC最上位クラスを戦ったのはまだ2戦だけで、ライバルドライバーに比べて絶対的な経験値が足りないことは事実。2021年以降にレギュラーシートを掴めるよう、2020年は勝田の戦いをじっくりと見守っていきたいところだ。