【自動車用語辞典:燃料「ガソリンの劣化」】タンクの中で長期間放置されたガソリンはどうなる?

■エンジンが不調になり最悪の場合は破損を招く

●劣悪条件では3か月で劣化が始まる

長期間クルマを放置して久しぶりに運転する時、燃料タンクのガソリンが劣化してないか心配になるのではないでしょうか。ガソリンの劣化は、エンジンの不調やエンスト、最悪の場合はエンジンの破損などユーザにとっては大きなリスクになります。

ガソリンはどのようなメカニズムで劣化するのか、またエンジンにどのような悪影響を与えるのか、解説していきます。

クルマの燃料口
長期間クルマを放置するときはガソリンの劣化に気を付けよう

●ガソリンの劣化メカニズム

ガソリンは、炭素と水素の化合物である炭化水素CnHmのn=4~10までの混合物です。様々な性状(揮発性、粘度、引火点など)を持つ炭化水素の集合体です。

長期間ガソリンを放置すると、本来の着色処理したオレンジ色から褐色に変色して、強烈な刺激臭が発生します。また粘度が上昇して流動性が悪化し、ドロドロ状態になります。これは、主として2つの原因で起こります。

・ガソリンに含まれるアルケンが、空気中の酸素によって酸化されて蟻酸や酢酸に変化します。この酸性化によって、変色が起こり強烈な刺激臭が発生します。

・時間経過とともにガソリンの中の高揮発性成分が消失して、揮発しにくい高粘度成分だけが残留し、流動性が悪化します。

●劣化はどれくらいから始まるのか

劣化の原因となる高揮発成分の消失や酸化は、周辺温度や湿度、空気への晒され状況といった放置条件に大きく依存します。高温で常時空気に晒されるような劣悪条件では、3ヶ月程度の早期に劣化が始まります。

クルマの燃料タンクは密閉されていますが、1年も経つと劣化が始まり、変色と刺激臭が目立つようになります。さらに2、3年後には流動性が悪化してドロドロ状態になります。

燃料タンク内のガソリンの劣化具合を、その色や臭いの変化でチェックするのは難しく、現実的ではありません。安全サイドで考えれば、半年以上放置したガソリンは入れ替えるべきです。

●ガソリンの劣化がエンジンに与える影響

ガソリンが劣化すると、どんな問題が起こるのでしょうか。

・酸性化によるガソリンタンクや配管部など金属部の腐食の促進

・揮発性悪化によるエンジンの始動不良や不安定化

・流動性悪化によって、燃料配管通路や燃料フィルタ、噴射弁が詰まり、エンジン作動不良や最悪の場合はエンジンの破損

クルマを半年以上放置するとエンジンが正常にかからない可能性が高いです。例えエンジンがかかったとしても、走行は控えるべきです。燃料系の詰まりは時間とともに進行し、走行中に突然エンジンが停止する、エンジンが壊れるという重大事故につながります。

●PHEV(プラグインハイブリッド)搭載エンジンのガソリン劣化対策

三菱アウトランダーPHEVでは、燃料タンクの長期滞留によるガソリンの劣化による不具合を防止する制御が組み込まれています。

3ヶ月間エンジンを起動せず外部充電だけでEV走行を続けると、勝手(自動的)にエンジンが起動します。長期間に使用していないタンク内のガソリンを劣化する前に消費するためです。この時点で、最低でも15Lのガソリンを補給しない限り、エンジンの強制起動は解除されません。

エンジン起動の頻度が低いプラグインハイブリッドでは、ガソリンの劣化に留意する必要があります。


燃料タンク内のガソリンは、長期滞留によって劣化します。劣化による不具合は、エンジン停止やエンジン破損など大きなリスクを伴います。

半年以上放置してクルマを動かす場合は、必ず新しいガソリンに交換することを推奨します。ただしガソリンは危険物ですので、ガソリン交換を自分では行うのは禁物です。

(Mr.ソラン)