ハートレーやキャシディに並ぶと目された28歳のリッチー・スタナウェイ、2019年限りで現役引退

 VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに参戦する“Kiwi(キウィ)”ことニュージーランド出身者のうち、若手有望株としてキャリア初期から注目を集めてきたリッチー・スタナウェイが、2020年のレースシート獲得が難しい見通しであることも含め、自身のInstagramを通じて2019年限りでレーシングドライバーとして引退することを表明した。

 ブレンドン・ハートレーやアール・バンバー、そしてニック・キャシディといったニュージーランド出身ドライバーに並ぶ存在と目され、GP3やGP2でも優勝経験を持つ28歳のスタナウェイは、欧州での武者修行を終えた後にオーストラリア大陸へと渡り、世界的な人気を博すツーリングカー選手権、VASCへのチャレンジを開始した。

 フルシーズンデビューを果たす前年の2017年には、耐久カップ登録のコドライバーとしてティックフォード・レーシングのキャメロン・ウォーターズとタッグを組み、サンダウン500を制覇。翌年のレギュラーシート獲得につなげ、フォード・ファルコンFG-Xの参戦枠を勝ち獲った。

 しかし、フォードでの戦績が振るわず2019年は古豪GRM(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ)に移籍し、新たにホールデン・コモドアZBのステアリングを握ったものの、首の古傷が悪化してシーズン中盤から数戦を欠場する苦しい2年間を過ごしてきた。

 この症状は、フォーミュラ・ルノー3.5に参戦した2012年スパ・フランコルシャンでの大クラッシュにより負ったもので、残念ながらスタナウェイのキャリアを決定づける要因となってしまった。

 2019年限りで24年間参戦したシリーズから撤退することを決めているGRMとともに、シリーズ最終戦のレースに挑んだスタナウェイは、その直後に自身のSNSに「自らのキャリアにも終止符を打つときがきた」と投稿した

「僕もドライバーとして(レーシングカート時代を含め)23年間もヘルメットをかぶってきたが、ついにその日が来たんだと感じている」

「レーシングキャリアがこれほど短いものになるとは、まったく想像もしていなかったし、軽々しく決めたものでもないけれど、それがどんな意味を持つかはよく理解しているつもりだ」

「走り始めた当初からは想像もできないくらい成長することができたし、この“旅”に参加してくれた人々にはいくら感謝しても足りないくらいだ。でもここで、新たな章を始めるときがきた」

 スタナウェイは、このVASCシリーズのパドックでは“お騒がせ”的なキャラクターとしても認知され、鮮烈なドライビングでファンからの喝采を浴びた2018年のフォード時代を経て、その賛否両論を呼ぶ言動がたびたび物議の的になってきた。

 さらに、GRMに移籍した2019年のゴールドコースト600ではオートグラフ・セッション(ピットウォークでのサイン会)をボイコットし、ペナルティにより本戦欠場の処分も受けていた。

今季は欠場も響き、1146ポイント獲得でレギュラー勢でも最下位のランキング24位に終わっていた
2019年限りでVASCでの活動から撤退し、TCRオーストラリアと新生S5000に注力すると決めたGRMチーム
移籍市場の口火を切ったジェームス・コートニー(右)は、WAUを離れ新たにシドニーを拠点としたTekno Autosportでエースを務める
同じくKiwiである王者スコット・マクローリンは、シーズンエンドGARAでドライバー投票により決まるMVPを受賞。「まさかヒールの僕が」と、喜びを語った

「僕を個人的に知っている人は、その性格が内向的であることを知っていて、どうしても自分に執着して殻に閉じこもる傾向があるのを理解してくれている。僕は極度の恥ずかしがり屋で、多くの人にとって間違った(応対の)方法を選択してしまいがちなんだ」と、自己分析を続けたスタナウェイ。

「それは(自分自身の)大きな一部でもある。1日の終わりにはその個性が現実になり、人々は僕が何者であるかについて、それぞれの人物像を作り上げる。それはどのスポーツでも同じだし、インターネット全体に共通する傾向だ」

「勝負の世界は非常に不安定な場所であり、それはこのチャンピオンシップも例外ではないんだ。この性格が決断に大きな影響を与えたとは言いたくないが、間違いなく状況の改善には繋がっていない。人生に必要なものではなさそうだ」

 このアナウンスに前後して、最終戦を終えたシリーズは2020年に向けての移籍市場が活発化し、その主役となったのはスタナウェイの古巣でもあるティックフォード・レーシングと、元ホールデン・ワークスのWAUウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドだ。

 2019年も『Supercheap Auto(スーパーチープ・オート)』のカラーリングをまとったフォード・マスタングをドライブし、1勝を含む13回の表彰台を獲得し、ドライバーズランキング5位となったチャズ・モスタートは、長年在籍したチームを離れてWAUへの移籍を発表した。

 一方、モスタートの抜けた穴にはテクノ・オートスポーツで2年間を過ごしたジャック・ルブロークが加入し、下位クラスのSuper2でタイトルを獲得した古巣に“復帰”する形となった。

 また、最終戦ニューキャッスル500でチーム初表彰台を獲得したティム・スレードの離脱をアナウンスしたBJRブラッド・ジョーンズ・レーシングには、2017年Super2王者のトッド・ヘイゼルウッドが加入。長らく在籍したマット・ストーン・レーシングからニューサウスウェールズのチームに拠点を移し、ニック・パーカットのチームメイトを務めることが決まっている。

「キャリアのほとんどをフェンスの反対側(フォード陣営)で過ごしたが、今は新たな挑戦に興奮している」と語ったチャズ・モスタート
チャズ・モスタートは、元プロドライブ(現ティックフォード)のエースとして、さらにDJRのカウンター勢力としても活躍を演じた
そのモスタートの代役として白羽の矢が立ったのは、トップカテゴリー昇格の2018年にルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど躍進を遂げたジャック・ルブローク
BJRのFreightliner Racingに加入する24歳のトッド・ヘイゼルウッド。2017年Super2王者の実績を持つ