SBKフランス:レイが前人未到の5度目の戴冠。「シーズン序盤は苦しかった」なかでも揺るがなかった強さ

 ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がスーパーバイク世界選手権(SBK)第11戦フランスで、チャンピオンを獲得。SBK史上初の5連覇を成し遂げた。シーズン序盤には未勝利が続いた2019年。しかし5度目のタイトルは、やはりレイの手に収まった。

 第11戦フランスを迎えた時点で、チャンピオンシップのポイントランキングトップにつけるレイと、2番手のアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)の差は91ポイント。

 フランスラウンドのレース2を終えて、バウティスタに対し125ポイント(※1ラウンドあたり3レース、スーパーポール・レースは優勝者から12ポイントが付与されるため)の差を築くことができれば、レイのチャンピオンが確定するという状況だった。

 ウエットコンディションで行われたスーパーポールでは、レイがポールポジションを獲得したのに対し、バウティスタは14番手。2019年シーズンからSBKに参戦を開始したバウティスタには、これまで経験のないサーキットでのレースがいくつかあり、そのひとつが今大会のマニクール・サーキットだった。

 こうしたなか、ドライコンディションに回復したレース1と日曜日に行われたスーパーポール・レースでレイの前に立ちはだかったのは、バウティスタではなくトプラク・ラズガットリオグル(ターキッシュ・プセッティレーシング)だった。

レース1、スーパーポール・レースでバトルを演じたレイとラズガットリオグル
レース1、スーパーポール・レースでバトルを演じたレイとラズガットリオグル

 SBK参戦2年目のラズガットリオグルは2019年シーズン、ここまでに8度の表彰台を獲得しており、その速さは疑いようのないものだった。レース1ではラストラップにラズガットリオグルに交わされ、2位フィニッシュ。

 レイはレース1について「セクター2で小さなミスをした。残り数周、ピットボードに示されたギャップで、リズムを保っていれば大丈夫だと確信していたんだ。けれど、そのミスがトプラクにセクター3でのチャンスを与えてしまった」と、ミスがあったことを認めている。

 翌日のスーパーポール・レースでは終盤にラズガットリオグルにトップを奪われ、レイがラストラップで仕掛けるも、オーバーテイクには至らず2位。バウティスタはどちらのレースでも14番手から追い上げを見せてはいたが、それぞれ5位に終わっていた。スーパーポール・レースを終え、レイがレース2でチャンピオンを獲得するには、バウティスタに対し、21ポイント以上の差をつけるポジションでゴールする必要があった。条件としては、容易ではない。

「昨日のレース(レース1)はとても混沌としていて、今日は緊張したよ。ポイントの状況がわからなかったからね。今週通じての目標は、(チャンピオン獲得に)挑戦すること、──現実的には、アルゼンチンでタイトルを手にすることだった」と、レイ自身も現実的には次戦アルゼンチンでタイトルを決めたいと考えていたようだ。

 しかし迎えたレース2は、2周目にラズガットリオグルとバウティスタが接触転倒。そろってリタイアを喫する。バウティスタのノーポイントが確定し、レイがこのレースを制するだけとなった。

 先の2レースでもトップ争いを演じたマイケル・ファン・デル・マーク(パタ・ヤマハ・ワールドSBKチーム)を交わすと、レイはいつものように後続を引き離す力強い走りを見せ、そのままトップでチェッカーを受けた。レイの2019年シーズンチャンピオン獲得、同時にSBK史上初の5連覇が決まった瞬間だった。

「僕たちは今日、もうひとつの機会を手にした。昨日よりもバイクが少しよくなったと感じていたんだ。気温が上がったけれど、ペースはさほど速くなかったし、バイクをコントロールできた」

 さらに、レイは「シーズン序盤は本当に厳しかった」と、ここまでの戦いを振り返る。「しかし、精神的にこのチャレンジを受け入れ、チームとしても、また、サーキット以外でも、前進を続けたんだ」

「“スーパーハッピー”だ」と5度目の戴冠に歓喜したレイ。2019年のシーズン序盤には、MotoGPからSBKに戦いの場を移してきたバウティスタの快進撃があった。実は勝利数を比較すると、第11戦フランスまでを終えて、レイが12勝に対し、バウティスタが15勝。バウティスタの方が勝利数は多い。レイがバウティスタに対し大きなポイント差を築くことができたのは、優勝以外で稼いだポイント数だったということだ。

 レイは第11戦フランスまでの31レースで、わずかに3度しか表彰台を逃していない。12度の勝利と15度の2位という結果が、レイが5度のSBKチャンピオンに輝いた理由と、強さを物語っている。