ホンダ田辺TDロシアGP直前インタビュー:地元クビアトの最後尾スタートは、「後半6戦を考えたうえでの苦渋の決断」

 2019年F1第16戦ロシアGPでは、ホンダ製パワーユニット(PU/エンジン)を搭載するレッドブルとトロロッソの4台のマシンがスペック4のICE(内燃機関)を投入。またダニール・クビアトはICEだけでなく複数のパワーユニットエレメントを交換することで最後尾グリッドが決定している。今回、ペナルティを受け新しいエレメントを投入する意図をホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクターに聞いた。

————————-

2019年F1第16戦ロシアGP ホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクター
2019年F1第16戦ロシアGP ホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクター

――今回、新しいスペック4のICE(内燃機関)を4人のドライバーに投入した狙いを教えてください。
田辺豊治F1テクニカルディレクター(以下、田辺TD):狙いは、これ以降の後半戦に向けて、戦闘力の確実な確保を狙って、パワーユニット(PU/エンジン)のアロケーションを考慮したときに、オーバーテイクのしやすいサーキット、しにくいサーキットを含めて、両チームと話し合った結果、ここで入れるのがいいだろうという合意を得て、投入することにしました。

――その中で、ロシアGPが母国グランプリとなるクビアト選手だけが、ICEのほかに、ターボ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)、MGU-K(運動エネルギー回生システム)、CE(コントロールエレクトロニクス)も新しくする理由は?
田辺TD:それもチームとの話し合いで決めました。

――それよって、クビアト選手は最後尾からスタートとなってしまいます。苦渋の決断でしたか。
田辺TD:はい。ただ、それはこの一戦だけではなく、後半6戦を考えたうえでの苦渋の決断と理解してもらいたい。

――今回の決定は、予定していたものなのか、あるいはシンガポールGP後に突然、決定したものだったのか、どちらでしょう?
田辺TD:最終的に決定したのはシンガポールGPの後ですが、以前から話し合いは行っていました。今後、残りをレースを金曜日は旧スペックで走り、土日を最新スペックで走るという方法もありましたが、予選とレースにしっかりと照準を合わせてパワーユニットのセッティングやエネマネ(エネルギーマネージメント)などのキャリブレーション(調整)を行うには、やはり金曜日のフリー走行からホンダの最新仕様であるスペック4で固めておきたいというのが理由です。

――次は日本GPです。このタイミングでの投入は、日本GPを見据えていることも関係していますか。
田辺TD:昨年、ルノーPUを搭載したレッドブルが2台そろって、パワーユニットを新しくしましたよね。ペナルティを受けるなら、どこがいいのかという、ひとつの答えだと思います。

■今後のシーズン後半戦でスペック5投入の可能性は?

――今後、スペック5を入れる可能性はありますか。
田辺TD:もし、次、入れるようなことが起きれば、当然その(スペック5を入れた)ほうがいい。ただ、今回2基目のスペック4を入れるため、そうなった場合は、どちらかのスペック4で(最終戦まで)まかなえると思います。

――ロシアGPで新しいパワーユニットを入れることが決まったとき、その時点で少しでも性能が向上したスペックを入れるという計画はなかったのですか。
田辺TD:パワーユニットを使用する際には、性能、耐久性、キャリブレーションの3つがひとつのパッケージとなって考えなければなりません。まず、性能についてですが、スペック4は今シーズンわれわれが投入しようしていた開発が基本的にすべて入っています。そのうえで、優先順位と選択をした場合、異なるスペックをこのタイミングで入れるよりも、同じスペックで戦ったほうがいいと判断しました。

――今回のスペック4投入は、緊急対策というよりは、万全の体制を敷くためのものと考えていいですか。
田辺TD:緊急ではありません。決めたのはシンガポールGPの後ですが、入れるという可能性についてはチームと以前から話し合っていました。

――今回入れたスペック4を、ベルギーGPのようにレースで温存するという計画はありますか。
田辺TD:ありません、いまのところは。今回は“やりくり”はありません。

――ということは、金曜日に新しいスペック4を走らせて確認するわけですから、そのまま土日も同じスペックで走るということになります。ロシアGPの週末は基本的に同一スペック、同一PUで走るということですね。
田辺TD:そうですね。そういうことになります。