【自動車用語辞典:製造技術「概説」】製造技術の進化があってこそクルマは進化する!

■優れた技術やデザインも製造工程次第

●クルマの製造は6つに大別できる

クルマは多くの部品からできており、製造工程はプレス工程、溶接工程、塗装工程、エンジン製造工程、組立工程、完成検査の6つの工程から成ります。

クルマの製造工程とさまざまな製造技術について、順を追って解説していきます。

●製造工程の流れ

クルマの製造ラインは、基本的には6つの工程で完成します。

最初の3工程でボディの基本フレームを作ります。まず、プレス工程では1枚の鋼板を切断してプレス機で成型、2番目の溶接工程ではプレス成型された鋼板を溶接して基本フレームを成形、3番目の塗装工程では出来上がったホワイトボディを塗装します。

4番目のエンジン製造工程ではエンジンを作り、最終的に5番目の組立工程で塗装を終えたボディにエンジンやインパネ、シート、ドアなどを組み付けます。ここで製造は終了しますが、最後に検査工程で完成検査して、問題なければ出荷されます。

製造工程の流れ
製造工程はエンジンやインパネなどを組み立てるサブラインと、それらを組み付けるメインラインから成り立っている

●プレス工程

ボディなど車の主要構造には、主に厚さ1mm程度の鋼板(冷間圧延鋼板)が使用されます。ロール状の鋼板を、ドアやボンネット、サイドパネルなどの適切なサイズに切断します。

切断後、プレス機の金型で鋼板を挟み、プレスして部品を作り出します。通常プレスは1回でなく、何回かプレスして成型します。

●溶接工程

プレス成型された部品は、溶接ロボットを使ってつなぎ合わせます。溶接方法は、厚さや部位によって使い分けます。

接合する2枚の鋼板に電流を流して、発生する熱で接合するスポット溶接が主流です。そのほか、点溶接でなく線溶接ができるアーク溶接や、ロボットアームが鋼板を挟めない部位で使われるレーザー溶接なども適材適所で使い分けます。

●塗装工程

プレス工程と溶接工程を経て作られたボディは、ホワイトボディと呼びます。

ホワイトボディは、まず錆防止のために電着塗料の入ったプールに浸けて下塗りします。その後、中塗り塗装、ボディカラーの上塗り塗装を行い、最後に保護膜の役目を果たすクリアコートを施します。

●エンジン製造工程

エンジンの部品の多くは、外部の専門部品メーカーで作られ、それらの部品がサブラインに搬入されて組み立てられます。自動車メーカーによっては、エンジン専用工場で組み立てられから、搬入される場合もあります。

完成したエンジンは、台上試験によって出力性能や騒音を検査して、異常がないかを確認します。

●組立工程

塗装工程を終えたボディに、エンジンやインパネ、シート、ウィンドウ、ドアなどを組み付けます。組付けられる部品は、エンジン同様部品メーカーやサブラインで小組されて、メイン組立ラインに搬入されます。

●完成検査

具体的な検査項目は、数百項目にも及び、大別すると外装/内装検査、エンジンルーム検査、ヘッドライト光軸検査、水漏れ検査、灯火類点灯点滅検査、足回り検査、台上走行検査、完成車実走行などです。
複数の検査員によって、1台ごとに実施され、最終的にすべての検査を合格したクルマが出荷されます。

●完成検査の不正

自動車を市場に投入するためには、国が定める安全基準を満たす必要があります。しかし、1台1台を国が完成検査するわけにもいかないので、法令に基づき認定されたメーカーの検査員が完成検査するように規定されています。

2017年秋の日産とスバルによる無資格者による完成検査に始まり、その後も検査未実施や検査データの書き換えなど不正が相次ぎました。マツダやスズキでも不適切な検査が明らかになりました。

自動車メーカーの品質に対するルーズな姿勢が、露呈した大事件です。


優れた技術や魅力的なデザインでも、それを具現化する製造技術や製造品質が確保できないと、クルマには採用できません。クルマの構想から始まって、研究や開発を経て最終的にクルマを完成させるという流れの中で、最終段階の製造工程に注目してみました。

本章では、製造工程とさまざまな製造技術について、詳細に解説します。

(Mr.ソラン)