日産スカイラインGT-R専門店に聞いてみた! 第二世代GT-Rを買うなら今? それとも待ち?【気になる中古スポーツカー・バイヤーズガイド】

■欲しいときが買い時! 狙い目は相場と程度のバランスが良いR33・GT-R

●一時の中古GT-Rブームは去り、本当に乗りたい人が探しているのが現状

前回、新型が発売されたばかりだというのに、古い80系スープラの中古車相場が上がっていることを紹介しました。値上がりの理由は、アメリカへの輸出が急増したからです。アメリカでは新車販売されなかった国外の車両は原則的に登録できません。ところが、25年以上経過した中古車であれば例外的に登録が可能になるのです。このことに目をつけたマニアや業者が、日本製スポーツカーをアメリカへ輸出し始めます。これが原因でスープラを始めとする国産スポーツカーの中古車相場が上がってしまったのです。

第二世代GT-Rの中古車
現行モデルR35ニッサンGT-Rの中古車相場は400万円台から狙える状況ですが、それより前の第2世代GT-Rたちは相場をジリジリと上げ続けています。

国産スポーツカーの代名詞といえば、スカイラインGT-Rが大本命でしょう。直列6気筒DOHCのS20型エンジンを搭載する第1世代、同じ直6DOHCをツインターボで武装したRB26DETT型エンジンを搭載する第2世代のいずれも、日本を代表するスポーツカーでした。そしてアメリカで人気に火がつくキッカケがが第2世代のR32型スカイラインGT-Rだったのです。数年前には「沖縄の米軍基地にR32GT-Rがズラリと並んでいる」という都市伝説のような噂が飛び交うほど、アメリカへ輸出されるR32GT-Rが急増しました。同時に中古車相場が高騰して、5年前なら100万円以内から存在したR32GT-Rの中古車相場が、現在最も低いものでも200万円台後半になってしまったのです。

R32_SKYLINE_GT-R
1989年に発売されたR32型スカイラインGT-R。

それでは第2世代GT-Rの中古車相場はまだ上がるから、今が買い時なのか気になるところです。そこで第2世代以降のGT-Rを専門に取り扱って創業20年を迎えた老舗、神奈川県川崎市の中古車販売店「ベストR」さんにお話を聞いてきました。すると意外なことに「アメリカのお話は関係ありません」と切り出されてしまいました。

お話を聞いたのはベストRの小西一徳さん。創業20年の老舗ですが当時から在籍していたわけではなく、数年前にライバル店から転職された経歴の持ち主です。それだけに第2世代GT-Rに関しては長年の経験があるのと同時に、客観的に中古車市場を見る目を備えている人です。

小西さんいわく「アメリカで人気が盛り上がった時期もありました。当店にも、毎日のように海外からお客さんがいらっしゃる状況でしたから。でも、今はそういった時期を過ぎて、本当に好きな人だけが市場に残っていると実感してます」というのです。この「本当に好きな人」とはGT-Rしか欲しくない、いつかはGT-Rに乗ると決意した人たちのことです。

ブームになると、「GT-Rにも乗ってみようかな」という軽い気持ちで中古車を購入する人が増えます。数年前の中古車相場高騰時には、このような考えでGT-Rを買う海外の人が大勢いたそうです。ところがブームが過ぎてしまうと、そうした人は少なくなり、本当にGT-Rに乗りたいと考えている人だけが残ったというのです。これは海外だけでなく国内にも当てはまることです。

だからといって、中古車相場が下がることはありません。今後高騰するとは考えずらいのですが、逆に下がることもないと予想されます。なぜかといえば、すでにスカイラインGT-Rという名前が世界中で定着してしまったからです。小西さんによると、ブーム時から現在まで、海外からのお客さんが全員アメリカ人というわけではなく、ヨーロッパやオーストラリアなど幅広い国の人が来店していたそうです。つまり、アメリカのブームが世界中に飛び火していたのです。これは世界中でGT-Rの中古車ビジネスが成立するということであり、国内相場が下がれば海外から買いに来る人が増える、ということになります。

もうしばらくすると、生産されてから25年が過ぎるR33型スカイラインGT-Rもアメリカで登録可能になります。これによりR32だけでなくR33の中古車相場が高騰すると一般的には考えられています。ですが、「すでに落ち着いた状況」と判断している小西さんは、そう思っていません。「一過性のように相場が上がるかもしれませんが、それが続くとは思えません」というのです。では今後、第2世代GT-Rの中古車相場はどうなるのしょう?

BCNR33型スカイラインGT-R
1995年に発売されたR33型スカイラインGT-R。

答えとしては「おそらく、劇的には変わらないと思います」ということです。逆にいえば、欲しい時が買い時であり、今買っても来年買っても大きく相場が変わることはないだろうと考えられます。だからと言って数年先でもいいというわけではありません。なぜなら今後、中古車市場に出回るGT-Rの数が増えるわけはないからです。現在は、スポーツカーにとっては冬の時代であり、活発な売買が成立しているわけではありません。つまり、今後はタマ数は減ることはあっても増えることはないと考えられるのです。

創業20年のGT-R専門店であっても、在庫車を簡単に仕入れられるわけではありません。「当店ではお客様から直接買い取ることを心がけてます。業者オークションにも参加しますが、程度の良いGT-Rはほぼ見つかりません。得体の知れないモノを仕入れて売り物にならないことは珍しくないのです。それよりも、過去の履歴がしっかりした個体をお客様から直接買い取るほうが確実です」というくらい、GT-Rの仕入れは難しいのです。だから、今は良質な中古車が豊富にあったとしても、同じ状況が3年先4年先も続くかといえばかなり微妙だと考えられます。

●3台の第二世代GT-R。それぞれの相場はどれくらい?

気になる相場ですが、R32・GT-Rは下が200万円台から、上は700万円台まで。中には法外な値段の売り物もありますが、それらは1オーナー・低走行距離・ガレージ保管・フルオリジナルなど条件が揃った場合だけです。またVスペックⅡなどの最終限定車で上記の条件が揃うと1000万円を超えるケースもあります。

R33・GT-Rになると、だいぶ相場は落ち着きます。新車当時からR32に比べて人気が低かったので、今でも中古車人気が高いわけではありません。下は200万円台から上は500万円台とR32と似た状況ですが、同じ価格帯にあるR32と比べ割安感があります。例えば同じ価格のR32とR33を比べたら、圧倒的にR33は程度が良いのです。同じ価格で買えるGT-Rとして比べたら、好き嫌いは別として、R33を選ぶのが正解です。

ところが、R34になると話は違います。

BNR34型スカイラインGT-R
1999年に発売されたR34型スカイラインGT-R。

今回は店舗に在庫がなく撮影できませんでしたが、相場としては下限で500万円前後からになっています。600万円台でも走行10万キロ超えが当たり前で、上を目指すと1000万円を超えてしまいます。数年前までは1000万円を超えるR34はVスペックIIだけでした。ところがGT-Rの相場全体が底上げされた結果、ベースグレードでも走行距離が短くて修復歴のなければ800万円を超えて1000万円に近くなっているのです。

第2世代GT-Rには、それぞれ限定車や特別なグレードがあります。R32のVスペックIIやN1、NISMO、R33では400RやLM、そしてR34のVスペックIIは、前述した相場が当てはまりません。いずれも程度によって1000万円を軽く超えてしまいます。

また、R32にはマイナートラブルが多く報告されています。エアフローメーターやパワーステアリング、エアコンやABSなどに不具合が高い確率で発生します。現在市場に出回っている個体は対策済みと思われますが、低価格のものや低走行距離の場合、購入後にトラブルが発生する可能性があることも考慮に入れておきましょう。

エアフロメーター
赤いステッカーが貼られている四角いボックスがエアフローメーター。ここが故障してアイドリング不良や吹け上がらなくなる症状が発生します。R33以降は改善されましたが、R32の場合トラブルになる可能性が高いです。
ABS
ブレーキのABSも故障することが多いようです。すでに純正部品は製廃になっていますので修理が難しい場所でもあります。純正でABSレスだったN1用の部品でABSをキャンセルする修理法が一般的です。
パワステ
パワーステアリングからオイル漏れが頻発するのもR32定番のトラブルです。ハイキャス警告灯が点灯したら、ほぼこのトラブルと考えられます。ポンプとホースを交換するのが理想的です。

R32に比べてR33やR34では部品の精度や設計が見直されているため、マイナートラブルは少ないといえます。これらを総合して考えると、今はR33GT-Rが買い時で、R32やR34には買い時という言葉自体が当てはまらない特殊なクルマと言えそうです。

●取材協力:ベストR 神奈川県川崎市麻生区上麻生7-43-20 TEL044-980-4545

ベストR
創業から20年目を迎える老舗中古車販売店のベストRさんに今回お邪魔しました。R32以降の歴代GT-Rを専門に扱っているので、固有のトラブルや中古車事情に精通されています。

創業から20年目を迎える老舗中古車販売店のベストRさんに今回お邪魔しました。R32以降の歴代GT-Rを専門に扱っているので、固有のトラブルや中古車事情に精通されています。

小西さん
お話を聞いたのはベストRの小西一徳さん。長くR32以降のGT-Rに関わってきた経験から、一目でクルマの状態を見抜く眼力を備えています。個人的に今ならR33をお勧めするそうです。

●ベストRさんで見つけた第2世代GT-Rをチェック!

【1台目】フルノーマル&車庫保管の極上コンディション

平成4年式スカイラインGT-R
658万円/平成4年式スカイラインGT-R(R32型)

ホームページや中古車サイトでは価格応談になっている平成4年式の1オーナー・走行距離1万キロ台のR32GT-Rには658万円のプライスが掲げられています。フルノーマルで車庫保管されていた、ほぼ完璧と言える1台です。

R32型GT-Rのタイヤ
さすがにタイヤは新車時のものから交換されていますが、純正の16インチアルミホイールがしっかり残っています。新車登録から27年が経過しているのに、ブレーキキャリパーまでピカピカです。
R32GT-Rのインテリア
インテリアは新車のままのように清潔なコンディションです。ステアリングホイールは社外品に変更されがちですが、ここもしっかり純正のままです。R32ではダッシュボードが浮いてくることが多いので要チェックです。
ウインカーレバーのタグ
なんと! ウインカーレバーに「ターボチャージャー付車両使用上のご注意」と書かれた注意書きが残っていました。コレクターズアイテム間違いなしです。
R32GT-Rの距離計
メーターパネル内の速度計にオドメーターがあります。その走行距離数は驚きの1万7397キロです。低走行車で気になるのは放置期間の有無ですが、この車両はしっかりと継続車検を続けています。
R32GT-Rの三連メーター
純正で3連メーターが配置されたセンターコンソールも全くのオリジナルです。エアコンが可動するのは当然としても、新車時に装着されていたステレオまでしっかり機能します。
R32GT-Rのシート
純正でバケット形状が採用されたフロントシートです。運転席の右サイドが疲れているケースが多いものですが、このクルマはほぼ気になりません。走行距離を反映しています。
R32GT-Rのエンジンルーム
1万7千キロしか走っていないので、エンジンの塗装が剥がれていることもなく極上のエンジンルームです。赤いストラットタワーバーは販売店オプションだったもので、フルオリジナルと言えます。

【2台目】オリジナル状態をキープする1オーナー車

R32GT-Rの中古車
538万円/平成2年式スカイラインGT-R(R32型)

こちらも1オーナー・走行1万キロ台に負けない程度の平成2年式R32GT-Rです。それもそのはず、走行距離が4万キロの1オーナー車でした。こちらもHPでは価格応談になっていますが、538万円です。

R32GT-Rのホイール
やはり純正アルミホイールが残されています。タイヤは新車時のものではなく交換されていますが、ポテンザを選ぶあたり通なオーナーだったのでしょう。
R32GT-Rのインテリア
フルオリジナルを保つインテリアです。やはりウインカーレバーには注意書きが残っています。4万キロ走行しているということですが、1万キロ台のクルマと遜色ない状態と言えるでしょう。
R32GT-Rのメーター
走行距離が4万キロをなっていますが、正確には3万9983キロです。3万キロ台なのに4万キロとして販売するところに、ベストRさんの良心を感じますね。
R32GT-Rのシート
純正シートがそのまま残っています。表皮の状態などを見ても最良と言えるコンディションでしょう。運転席右サイドにも痛みは感じられません。
R32GT-Rのエンジンルーム
1万キロ台のクルマと比べると若干塗装の剥がれが見受けられるエンジンルームです。とは言っても、登録から29年が経ったクルマとは思えないほど良い状態であることは間違いありません。

【3台目】超貴重! 未登録のGT-R N1

スカイラインGT-R N1(R32型)
スカイラインGT-R N1(R32型)

こちらは売り物ではなく、なんと未登録のまま保管されてきたR32GT-RのN1です。このバンパーに変更するカスタムが流行ったものですね。イベントに出展されたこともあるため、マニアの間では知られた存在です。

GT-R N1のメーター
新車未登録という奇跡の存在らしく、オドメーターの数字は実に10キロです。N1ではなく普通のGT-Rでもこんなクルマ滅多に見られるものではありません。販売車両ではないので悪しからず。
GT-R N1のエンジンルーム
未使用なので痛んでいるはずもなく、まさに新車のコンディションです。N1はベースグレードに採用されたブレーキのABSが外され、エンジンブロックの肉厚が厚くなっています。

【4台目】お買い得感が漂うライチューン仕様

388万円/平成8年式スカイラインGT-R(R33型)
388万円/平成8年式スカイラインGT-R(R33型)

今一番お買い得な第2世代GT-RがR33です。こちらもHPでは価格応談になっていますが、平成8年式の中期型で走行距離が7万キロ台が388万円です。若干チューニングされていますが、修復歴もなく安心できます。

R33GT-Rのホイール
アルミホイールをレイズ製に変更してあります。ローダウンした車高はNISMO製車高調サスペンションによるもので、純正クオリティです。
R33GT-Rのインパネ
とても7万キロ走行しているとは思えないほど程度良好なインテリアです。R32のように注意書きなどは残っていませんが、ステアリングホイールやシフトノブなどは純正のままです。
R33GT-Rのメーター
カーボン調メーターパネルのタコメーターにはGT-Rのエンブレムが描かれ、レッドゾーンは8千回転からになっています。オドメーターには7万7075キロと表示されています。
R33GT-Rのセンターコンソール
ほぼノーマルのインテリアですが、ステレオだけ社外品に変更されています。ブリッツのブーストコントローラーが装着されTOMEI製コンピューターで制御するように変更されています。
R33GT-Rのシート
ライトチューンされている個体ですがフロントシートは純正が残されています。運転席右サイドの痛み具合は7万キロオーバーのクルマには思えないほどです。
R33GT-Rのエンジンルーム
若干塗装が剥がれていますが、7万キロ走行のエンジンルームとしては良い状態でしょう。タービンや吸排気系はノーマルですが、カムシャフトをTOMEI製ポンCAMタイプRに変更されています。

【5台目】400psを誇るNISMO謹製コンプリートカー

NISMO 400R
NISMO 400R

ショールームで異様なオーラを放っていたのが、このNISMO400Rです。R33GT-Rをベースにしながら、排気量を2.8リッターに拡大して400psを発生するRB-X GT2を搭載しています。こちらは販売車両ではないので、悪しからず。

400Rのリヤビュー
400Rには専用開発されたエアロパーツが採用されました。前後バンパーやオーバーフェンダー、それにサイドスカートが装着され、99台の台数限定で発売されましたが、実際には50台前後しか生産されなかったようです。
400Rのホイール
400RのホイールはR33純正の9J×17インチから10J×18インチへ変更されています。nismoと書かれた専用のホイールナットまで採用されました。痛みは見受けられません。
400Rのリヤウイング
ボディサイドに400Rと描かれたデカールが貼られ、リヤウイングのサイドにも400Rと描かれています。一目でノーマルのR33ではないことがわかります。
400Rのインテリア
400RはNISMOのコンプリートカーですので、レースエンジニアが開発したことを示す装備が満載されています。インテリアにも専用のステアリングホイールやシフトノブ、サイドブレーキレバーなどが採用されました。
400Rのメーター
スピードメーターは320km/hまで表示があります。400Rというだけでマニア垂涎の的ですが、このクルマは走行距離が1万2千キロ台でしかありません。
400Rのシート
チューニング内容からフルバケットシートを想像してしまいますが、400RにはNISMO製のリクライニング式シートが採用されました。こちらにも痛みはほぼ見受けられません。
400Rのエンジン
車名の由来でもある400psを発生するRB-X GT2エンジンは2771ccに排気量を拡大してN1用メタルタービンや専用吸排気系を採用しています。ツインプレートクラッチやカーボンプロペラシャフトなど駆動系も強化されています。

※このページで紹介している中古車は、取材時点での情報です。

(写真・文/増田 満)