WRC:勝田貴元、初めてづくしのドイツ戦で総合10位入賞。マキネンも太鼓判

 トヨタの若手ラリードライバー育成プログラム『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』に参加している勝田貴元は、8月22~25日に行われたWRC世界ラリー選手権第10戦ドイツにトヨタ・ヤリスWRCで初参戦。初めて出場する大会かつ初の最上位クラス挑戦となったが、堅実な走りで全19ステージを走りきり、ポイント圏内の総合10位でフィニッシュした。

 これまでもWRCに参戦してきた勝田だが、参戦クラスは下位クラスのWRC2がメイン。またヤリスWRCでラリーを戦った経験もあるが、フィンランド国内選手権など地域選手権が主だった。

 そんな勝田は将来的なステップアップを目指し、ターマック(舗装路)ラリーのラリー・ドイチェランドでWRCトップカテゴリーに初挑戦。勝田にとってはターマックイベントでヤリスWRCをドライブすること、ラリー・ドイチェランドに参戦することも初と、初めてづくしの1戦となった。

 このラリー・ドイチェランドは、ドイツ・ボスタルジー湖畔を中心に争われる1戦で、道幅の狭い農道や速度の出やすい郊外の道路、路面コンディションが変化しやすい軍事演習場内の道路など、トリッキーなステージが待ち受ける難易度の高い1戦だ。

 勝田は全ステージで完走を果たし、ヤリスWRCと大会への理解度を深めることに重点を置いて走行。そのため序盤は下位クラスの選手よりも遅いタイムを刻む場面もあったが、走行を重ねるごとにマシンやステージへの理解度を深め、ペースも向上していく。

 その結果、競技3日目の24日(土)に行われたSS8で、勝田は順位をふたつ上げて総合9番手となったが、続くSS10走行中にタイヤがパンクするアクシデントがあり、総合10番手まで後退してしまう。

 しかし、このトラブルにも動揺することなく、勝田はペースを守って残りのステージを戦い抜くと、ポイント獲得圏内の総合10位で大会を走破。目標としていたラリー・ドイチェランド完走を果たすとともに、WRC最上位クラス初挑戦でポイント獲得を成し遂げた。

「自分にとってはすべてが新しい経験で、本当に難しい週末でした」と週末をふり返った勝田。

「そのため序盤はかなりナーバスになり、簡単ではありませんでした。しかし、今回の唯一の目標だった完走を果たすことができました」

「チームの戦略に従いハードに攻めることはしませんでしたが、それでも難しいコンディションの道でWRカーがどのような挙動を示し、ドイツのステージがどのようであるかを学ぶことができました」

「路面コンディションは頻繁に変わり、タイヤがどれくらいグリップするのか判断するのは非常に難しかったですが、それでもこの週末に多くを学び、自信を深めることができました。自分のドライビングとペースノートの進化には満足しています」

「サポートしてくれたチームと、グラベルクルーとして本当に素晴らしい仕事で助けてくれた、ヤルッコ・ニカラとミッコ・マルックラに心から感謝します」

 また育成プログラムを監修するトミ・マキネンは「この週末、タカのドライビングはとても賢明で、本当によくやったと思う」と勝田の走りを評価した。

「時々遅れが大きくなる時もあったが、より経験豊富なドライバーに対し、1kmあたり1秒以下の遅れに留まることもあった。最難関のターマックラリーであるドイチェランド初出場で、しかもWRカーでターマックのステージを走るのも初めてだったことを考えれば、上出来だ」

「タカは他のドライバーのことを気にせず、ただ自分のラリーに集中していた。ほんの少しミスをしたが、それはごく普通のことだよ。今回は、これまで出場した他のラリー以上に多くを学んだと思うから、WRカーによる次なるチャレンジ、ラリー・スペインではきっとその経験が活かされるはずだ」

 WRC最上位クラス参戦へ新たな一歩を踏み出した勝田が次に挑む戦いは、10月3~6日に開催されるWRC第12戦ラリーGB。こちらも勝田にとっては初参戦となるイベントで、使用マシンはフォード・フィエスタR5、参戦クラスはWRC2となる。

 勝田は続く第13戦スペインにも参戦を予定しており、こちらではふたたびヤリスWRCをドライブする計画となっている。

ラリー・ドイチェランドはシリーズ随一のトリッキーさを持つターマックイベント。ステージにはブドウ畑の間を走る農道も含まれる
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勝田貴元がWRC最上位クラスに参戦するのは、今回が初めて
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勝田貴元は大きなミスなくラリー・ドイチェランドを走りきった
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