インディカー第14戦:雨雲に翻弄されたポコノ戦をパワーが制す。琢磨は大クラッシュ

 ポコノ・レースウェイで開催されたインディカー・シリーズ第14戦。18日に行われた500マイルレースは、雷雲が近づき128周で終了。その時点でトップを走行していたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今シーズン初優勝を飾った。

 7番手からスタートした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、オープニングラップでクラッシュを喫しリタイアに終わった。

 ポコノ・レースウェイでのインディカー第14戦。濃霧のためにメディカル・ヘリコプターが到着できず、土曜日午前中のプラクティス1はキャンセルとなった。

 その後に短時間だが降った集中豪雨により、予選も行われないことが決定。シリーズ主催者はスターティンググリッドをエントラントポイントのランキング順として、全出場チームにレース用のマシンセッティングを仕上げさせるべく2時間のプラクティスを用意した。

 今年のレースに向けてはファイアストンタイヤの仕様が変更されているうえ、エアロパッケージも使用可能パーツのバリエーションが増えているため、レース用セッティングの完成度を少しでも高めさせることがレースを安全に行うこと、さらにはより激しい競争を実現することにも繋がると考えられたからだ。

スタートで前に出るシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)
スタートで前に出るシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)

 それでもレース1周回目にアクシデントは発生した。昨年ロバート・ウィケンスがクラッシュを喫し、瀕死の重傷を負ったターン2で、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン)、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ)がクラッシュしたのだ。

 幸いにも、誰ひとりとして大きな怪我を負うことはなかった。しかし、何台ものマシンと接触、壁にも複数回ヒットして裏返しに止まった琢磨と、宙を舞ってキャッチフェンスに跳ね返されたローゼンクヴィストはその場でリタイアとなった。ローゼンクビストは陸路で病院に搬送されて検査を受け、問題ないと診断されている。

 琢磨はレース後、「寄ってきたのはロッシの方」とツィートし、ロッシもTwitterで反論。テレビで放映されたロッシのオンボード映像だと琢磨が急激に寄っていったように見えるが、琢磨のオンボード・カメラの映像を見ると、彼はアウト側にラインを保持しており、ターン2側から撮影された連続写真からも、ラインをアウト側に寄せていっているのはロッシとライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)だった。

「自分はラインを保持していた。それは映像での路面のシーム(舗装の継ぎ目)とマシンの関係を見れば明らかです。それをインディカーに見てもらい、自分側の説明をしてきました」

「メディカルセンターに来たダリオ・フランキッティは、“オンボード映像を見てから冷静に判断を下すべきだ。マシンを寄せたのはロッシの方だった”と言ってくれました。インディカーにも、ファンの人々にも、様々なデータや情報をチェックした上で正しい判断を下して欲しいと思います」と琢磨は話した。

 コースの清掃、フェンスの修復が行われ、45分ほどでレースは再開された。

 そこからは快晴の下でハイスピードのレースが進んでいった。まずはシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)がトップを走り、次にスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がトップに立った。

スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)
スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)

 1周目のアクシデント直後にマシンの破片を踏んだウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はピットでタイヤ交換をしたために13番手まで後退しながら、次々とライバルたちをパスしてトップ争いへと復活。

 115周目にディクソンを抜いてトップを奪還すると、そこからはリードを広げていった。ディクソンはハンドリングが悪化していたのだ。

 200周のレースが折り返し点を越えた頃、コースの西側が暗くなり、雨が落ちて来たために127周目にイエローフラッグとなった。出場マシンはピットロードに招き入れられ、今日2度目の赤旗中断。

 その後にコースは雷雲に覆われ、激しい雨が降ったことから、午後5時55分、インディカーはレース成立を宣言。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がウイナーとなった。

 優勝したパワーは、13年連続の勝利を記録。今シーズンはずっと勝てずに苦しんできたが、17戦のシーズンの14戦目にして今シーズン初勝利をマークした。

 2位はディクソン。第11戦トロント、第12戦アイオワ、第13戦ミド・オハイオで2位、2位、優勝という素晴らしい成績を挙げてきた彼は、今回また2位でフィニッシュ。

 ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が5位だったことから、またしてもポイント差を縮めることに成功した。

「逆転タイトルは可能。今週末のゲイトウェイ、その次の週のポートランド、この2戦はとても面白い戦いになるだろう」と彼は話した。ニューガーデンとのポイント差は52点となっているのだ。

室内で行われた表彰式
室内で行われた表彰式

 ロッシはマシンを修復して18位フィニッシュ。ニューガーデンとのポイント差は16点から35点に広がった。しかし、まだまだタイトル圏内だ。

 今回3位フィニッシュしたパジェノーもそれは同様。パジェノーのニューガーデンとのポイント差は残り3戦で40点となっている。

 パワーは優勝したがランク5位をキープ。ニューガーデンとの差は128点と大きく、逆転タイトルは難しい状況と言える。チャンピオン争いはニューガーデン、ロッシ、パジェノー、ディクソンまでの4人に絞り込まれたと言っていいだろう。