「食中毒の心配はなかったの?」「車内の匂いはどうなった?」気になる質問に回答します!【ダッシュボードでローストビーフ・裏話】

●実は緻密に(?)計算と確認をしてました。ローストビーフ調理の裏話と検証です

8月4日にアップされた『【マジメに実験してみた】炎天下の車内に牛肉を置いたら、過去最高に美味しいローストビーフができた!?』は反響が大きかったようで、本当にありがとうございます。

で、編集長から「調理」のポイントや注意点などをもう少し詳しく書いてほしいといわれましたので、読者の方が気になったであろうところを少し補足したいと思います。

この記事に関する読者の方のツイートを見てみると、まず衛生面を気にされたかたが多いようです。僕も専門家ではないので断言はできないし、今回の記事もレシピ紹介記事ではないので他人におすすめできるものではないのですが、僕は今回のケースに関しては、たぶん大丈夫だと思っています。

牛肉の場合、中身がレアでも食べられることはごぞんじのかたも多いでしょう。東京都福祉保険局のウェブサイトのFAQで「生の牛肉を食べてはいけないと聞きましたが、牛ステーキをレアで食べても大丈夫ですか?」という質問のページを見てみても、「食中毒菌は、主に牛肉の表面に付着しているので、牛肉の表面と側面をしっかり焼けば、牛ステーキをレア(中が赤い状態)で食べても基本的には問題ありません。ただし、食中毒菌は、時間とともに牛肉の表面から内部に浸透していくので、子供や高齢者など食中毒に対する抵抗力の弱い方は、中までしっかり焼いて食べましょう。」と書いてあります。

今回のローストビーフでは、外側に関しては熱したフライパンで最後に全面を焼いています。もちろん生のときと焼けてからとで、トングは使い分けています。なので、牛肉の表面に付着した食中毒菌は殺菌できているはずです。まぁ、実際これでほぼ大丈夫だと思いました。ただし、牛肉といえども雑菌が繁殖しやすい温度下で長時間放置しておくと内部に食中毒菌が浸透していくようなので、あとはここがちょっと気になります。

じつは僕はこの実験の2日前の昼過ぎにダッシュボード上で直射日光を当てずに温度を測ってみました。温度は約60℃でした。今回、非接触温度計が用意できず、肉の表面温度が測れなかったのは残念ですが、直射日光が当たればもっと温度は上がるでしょう。低温殺菌牛乳などは63〜65℃で30分間加熱することで殺菌しているそうなので、ダッシュボード上は食中毒菌が繁殖しやすい環境ではなく、むしろ、ダッシュボード上で直射日光を当てている時点で、内部に食中毒菌が浸透していく前に殺菌はほぼできていたんじゃないかな、と思います。

そのあたりが、僕が大丈夫だろうと思った理由です。

まぁ、先に表面をフライパンでさっと焼いて、それからダッシュボードで中までゆっくり加熱して、最後にまた表面をフライパンで焼くという方法をとれば、もっと食中毒リスクは低かったかもしれません。

ただ、そもそもレアとかミディアムレアの牛肉というのは、刺身などと同様に、しっかり加熱した食品と比べればちょっと食中毒リスクは高い食品なのではないかと思います。だから東京都福祉保険局の回答にも「子供や高齢者など食中毒に対する抵抗力の弱い方は、中までしっかり焼いて食べましょう」と書いてあるのでしょう。そこは注意が必要ですね。

また、幸運なことに、今回ローストビーフを作っていた時間帯は、空はほとんど曇ることがなく、ダッシュボード上は高温に保たれていました。でも、もし空が曇ったりして庫内……じゃなかった車内の温度が上がらないと、食中毒リスクは高くなるかもしれませんね。その場合は、潔くダッシュボード調理はあきらめて、オーブンでしっかり中まで加熱するつもりでした。

ところで、記事には書かなかったのですが、僕は実験の際、肉の中心温度を測っています。重量が焼く前の93%以下になってからです。ここで中心温度が57℃近辺になっていれば完璧だったのですが、驚いたことに温度計は44℃くらいまでしか上がりませんでした。「えっ、生焼け?」

これは困惑しました。57℃に上がるまでダッシュボード上で再加熱するべきか(その場合、温度計を刺したことによって肉の内部に入った雑菌の繁殖が怖い)、それとも重量が93%以下になったのだから、もう切ってみるかと悩みました。けっきょく「肉はあと2つあるし、ひとつめは失敗でもいいから、とりあえず切ってみるか」と思って切ってみたら、写真のとおり中身は見事なロゼ色になっていました。これは見ればわかります。生ではなく適度に火が通っています。

ちなみに、前述のとおり、中心温度が57℃になっていなくても食中毒リスクとは関係ないので、そこは気にしませんでした。といっても中心温度が低かった理由は謎です。温度計がよくないのか、測りかたがよくないのか(そもそも、これまでもこの温度計をうまく活用できたことがなかった)。混乱をきたすとよくないので、前回の記事には入れませんでした、すみません。肉用の温度計を買い替えてみようかな……。

もうひとつ読者のかたが気になったと思われるのは、庫内……じゃなかった車内の匂いに関してでしょう。車内に匂いが残ってしまったのではないか? というものです。これは、実験前は僕も心配していました。「カーメイトのDr.DEOのスチームタイプを使えば消臭できるかなぁ」とまで具体的に考えていたくらいです。ところが、実際には、まったく匂いは残りませんでした。煙が出るような焼きかたをしなければ、そんなに匂いは残らないものなのかもしれません。

さて、ローストビーフが成功したので、ダッシュボード調理第2弾としてなにかできないか? と考えてみたのですが、思いつきません。そもそも70〜80℃で作れて、衛生面でも不安が少ない食材というと、知っているかぎり、ローストビーフか温泉玉子くらいしかないのです。温泉玉子はすでにやっているひとがいっぱいいるし。

そもそもダッシュボード調理は天候に大きく左右されるので、難しいんですよね。ローストビーフほどインパクトがあるものはもう作れないでしょうが、なにか思いついたら試してみます。

(まめ蔵)