フランス生まれのDS 3 クロスバックはオンリーワンの小型プレミアムSUV【試乗記】

フランス生まれのDS 3 クロスバックはオンリーワンの小型プレミアムSUV【試乗記】

DS 3 CROSSBACK

DS 3 クロスバック

艶めかしいフレンチ小型SUV

これはまた、好みがハッキリと分かれそうなデザインできたな!

DSオートモビルが放つ渾身のSUV第二弾。DS 3 クロスバックをひと目見て、筆者はちょっと圧倒された。

メッキトリムの「DSウイング」は、目尻から流れるLEDラインと共に強烈な個性を放ち、ボリューム感のあるボディをグッと引き締める。常識の枠にとらわれないデザイン手法はレクサスのようでもあるけれど、こちらの方がもっと艶めかしく、力強い(逆に言えばレクサスは耽美なのだろう)。

DS3クロスバック_試乗_置き_サイド

アバンギャルドな室内演出

インテリアも然り。シンプルながらも独特な面構成の、丸みを帯びたプレーンなダッシュボード。その中央には「クル・ド・パリ」(clou de paris)の印象的なトリムで、タッチパネルタイプのスイッチが並べられている。DS 7 クロスバックで用いられた手法だ。

レザーシートの座面や背面のステッチもクル・ド・パリ。センターコンソールのスイッチトリムも時計装飾ほどのきめの細かさではないが、ギザギザとアバンギャルドな「パリの爪あと」が残されている。

DS3クロスバック_試乗_コクピット

最新プラットフォーム「CMP」採用一番乗り

ただ前衛的であることだけが、DS 3 クロスバックの魅力ではない。フランス車を色濃く感じさせるしっとりとした乗り味。そして室内の広さと外観のコンパクトさを見事に両立したボディサイズ。このふたつをもってDS 3 クロスバックは、東京の街を軽やかに駆け抜けてくれたのである。

そのカギは、どうやら新規開発されたCMP(コンパクト・モジュラー・プラットフォーム)が握っているようだ。CPMはDS 3 クロスバックから投入された新世代プラットフォームであり、今後はPSAグループの中核としてプジョー208や2008に投入されるという。

とはいえ筆者は、これまでPSAグループがBセグメントに使ってきた「EMP2」プラットフォームに不足を感じていたわけではない。むしろ優れたボディ剛性を軸に、そのしなやかな足まわりをしっかり機能させていると評価していた。つまり彼らが新規プラットフォームを投入したのは電動化への扉を開くため。話題をさらったプジョー eー208から始まる「eCMP」への序章なのである。

DS3クロスバック_試乗_ヘッドライト_アップ

乗り味は新時代のフランステイスト

DS 3 クロスバックを走らせてまず感じるのは、フランスの伝統的な味付けだ。ハンドリングゲインは抑えながらもサスペンション、特にダンパー減衰力を初期から柔らかく立ち上げることで、操舵に対して実に素直な応答性を獲得している。

荷重移動を穏やかに受け止める足まわりはブレーキングGから旋回、アクセルオンといった一連の動きをスムーズにしてくれるから、直感的に運転しやすさを感じ取ることができるだろう。

こういう足まわりだから乗り心地は18インチタイヤを履いても至って快適だ。垂直方向の突き上げを上手に吸収しながらも、バウンスは抑えられているからフワフワしない。シートのホールド感もこのサスペンションに似ており、シッカリとしたサポート性の中にも包み込むような柔らかさが感じられる。

フランス車は庶民のクルマだけに、ボディ剛性の足りなさをソフトなサスペンションでごまかすという手法が一昔前は目立ったが、PSAグループは先代プラットフォームあたりからその点も大きく進歩させている。ドイツ車のような過剰品質的な剛性こそ感じないが、すべてがベストバランスに保たれた新時代のフランステイストになっていると言えるだろう。

DS3クロスバック_試乗_街中イメージ

粘り強さが自慢の1.2リッター3気筒ターボ

そんなDS 3 クロスバックに搭載されるパワーユニットは、1.2リッター直列3気筒ターボ(最高出力130ps・最大トルク230Nm)。これに8速のギヤを持つトルコン式ATが装着されている。

絶対的なパワーは130ps/5000rpmと控えめなため、先代ハッチバックで韋駄天を気取ったDS 3をイメージすると全開加速時の速さや面白みには欠ける。ただこの3気筒ターボは実用領域におけるトルク特性が素晴らしく、どこから踏んでも粘り強く加速してくれるのがなんとも微笑ましい。

ちなみに本国にはさらにパワフルな仕様もあるようだが、やや加速が眠たい印象としては8速ATのレスポンスが若干影響しているように思う。このEAT8は最新世代のトランスミッションで、薄型トルクコンバーターや別軸オイルポンプによるオイル容量確保、樹脂及びアルミ素材の使用による軽量化などが盛り込まれた意欲作。シフト・バイ・ワイヤなども取り入れてクイック&スムーズなレスポンスを実現したというが、制御的にはもう少し攻めても良いのではないか? と感じた。

DS3クロスバック_試乗_走り_サイド

最新世代へどんどん進化する運転アシスト機能

高速巡航ではACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を軸としたADAS(先進安全技術)の進歩を見た。ステアリング裏のスイッチ操作には慣れが必要だが、最新世代となった制御は片側のみの白線認識も可能となったようで、ステアリングアシストも作動率が高い。

そして何より加減速が滑らかになった。プジョー508で感じた制御の荒さを単眼式の限界かと考えていたが、制御やカメラ解像度のアップデートでその動きはまだまだ洗練できるようだ。また今回は都内での試乗だったためその効果を意識することはできなかったが、LEDヘッドライトはハイビーム時に対向車の幻惑を防ぐマトリクス式となった。

DS3クロスバック_試乗_ドアハンドル開

 

パリと東京に馴染む都会派クロスオーバー

総じてDS 3 クロスバックは、ラグジュアリー色が強い都会的なクロスオーバー5ドアハッチである。DS自身はこれをコンパクトSUVと表現している。その方が確かに市場ウケもよいとは思うが、ハッチバックの身軽さにSUVの利便性(アイポイントの高さや室内空間の伸びやかさ)を併せ持つ、良い意味でのクロスオーバーだと筆者は思う。

いつの間にかこの“クロスオーバー”という言葉のブームは去ってしまったが、意味合いとしてはコンパクトSUVと同じ。ただDS 3 クロスバックの場合はそのルックスに強い独自性を持ち、いたずらにSUVルックに寄せてこないから今は逆に新鮮なのだ。まさに狭いパリや東京を駆け抜けるのには最適な「クロスバック」である。

DS3クロスバック_試乗_街中イメージ_リア左

独自のギミックが楽しいオンリーワンのモデル

キーを携帯したまま近づけばドアノブがスーッと突き出てくるギミックも、この存在感の強さには相応しい。うねるようなボンネットと深海生物のようなLEDヘッドライト。ウェザーストリップを隠したドアパネルの処理。Bピラーまでドアパネルを張り出したのはさすがにやり過ぎのようにも思えるが(室内側にはスピーカーがある)、そこに躊躇がないからこそアバンギャルドたり得るのだ。

カテゴリー的にはBセグプレミアムSUV。強いて挙げればライバルはアウディ Q2やルノー・キャプチャーとも言えそうだが、もはやその存在はオンリーワンだと思う。この乗りやすさをして、美しい女性たちがDS 3 クロスバックを選んでくれれば、街中はさらに活気づき彩られることだろう。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

DS 3 クロスバック Grand Chic

ボディサイズ:全長4120 全幅1790 全高1550mm

ホイールベース:2560mm

トレッド:前1540 後1550mm

車両重量:1280kg

エンジン:直列3気筒“PureTech”DOHCターボ

総排気量:1199cc

最高出力:96kW(130ps)/5500rpm

最大トルク:230Nm/1750rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤサイズ:前後215/55R18

燃料消費率(WLTC):15.9km/L

【ラインナップ及び車両本体価格(消費税8%込)】

DS 3 クロスバック Be Chic:299万円

DS 3 クロスバック So Chic:357万円

DS 3 クロスバック Grand Chic:404万円

【問い合わせ】

DSコール

TEL 0120-92-6813