【マジメに実験してみた】炎天下の車内に牛肉を置いたら、過去最高に美味しいローストビーフができた!?

●真夏の直射日光に晒された車内は便利に使えるほど危険

朝9:30。直射日光が当たらないようにダッシュボードに置いておいた温度計は、すでに50℃を超えていました。「よし、決行だ!」。

今日の予想最高気温は36度。天気予報は晴れ時々曇り。午前中のほうが雲が少なそうな予報でした。早めにスタートしておきたいところです。

「ダッシュボードでローストビーフを作る」。なぜそんなことを思いついたか? 昨今「低温調理」って流行ってますよね。特に塊肉を焼く場合は、肉の中まで火が通るのに時間がかかります。強火で焼くと中までほどよく火が通る前にまわりが焦げてしまいます。それを避けるには、比較的低温で、時間をかけてじっくり火を通すのがいいわけです。

ローストビーフをミディアムレアで作るには中心温度が57℃くらいというのが目安だそうです。それよりは高い温度で、でも高すぎない温度で時間をかけて焼けば、全体が均一にロゼ色になるような、憧れのローストビーフが作れるはず。

そして、ある暑い日に炎天下に置いておいたクルマに乗り込んだときに僕は気づいたのです。「真夏のダッシュボード上って、その条件にぴったりじゃね?」

直射日光を避けても50℃を超えているなら、直射日光を当てればもっと温度は上がるはずです。しかも昼過ぎにかけてもっと気温は上がるでしょう。西友で買った輸入モノの牛塊肉にサラダ油を薄く塗り、バットに並べます。

そして、南に向けて駐めてあるマイカーのダッシュボード上に置きました。焼き始めたのは9:50頃でした。

だいたい30分ごとに表裏をひっくり返すことにしました。30分後、ダッシュボード上に置いておいたアルミ製のバットはもう熱くなっていて素手では持てません。

火の通りはどうやって判断するか。僕はふだん水島シェフのレシピ本を参考にして、肉が焼く前の重さの93%以下になったらオーブンから取り出しています。オーブンでは120℃で焼いているのですが、ダッシュボード上はそれより低い温度のはずなので1時間くらいでは焼けないでしょう。いちおう11:15ごろに1回目の計測をしてみました。

焼く前の96%。なかなかいいセンです。このあとは10分おきくらいに重さを量ることにしました。クルマはすっかり温まっているので、少々ドアを開閉しても庫内……じゃなかった車内の温度があまり下がらなそうなので安心です。いや、普段だったらすぐに下がってほしいんですけど。

そして11:45頃、もっとも小さい塊肉の重量が焼く前の93%以下になりました。さあ、どうでしょう? まぁ、生焼けだったら、オーブンで再加熱したっていいし、なんとでもなります。とりあえず切ってみます。

じゃーん! なんと! 完璧! これこそ目指していた「全体が均一にロゼ色」の状態ではありませんか! そして、残りのふたつの肉も順次93%を切ったため、引き上げてきました。

この上の写真の時点では、正真正銘ダッシュボードで加熱しただけの状態です。あとはいつも通り、フライパンで表面だけ焼きます。

やっぱり表面はメイラード反応を起こさせたほうがおいしいですからね。それに表面を高温で焼いておけば食中毒防止の面でも安心でしょう。フライパンは煙が出るくらい熱しておいて、一面あたり10秒程度焼いただけです。

焼いたらアルミホイルに包んで15分ほど寝かせ、粗熱がとれたら冷蔵庫に入れておきました。食べるのは夕食です。

さて夕食。美味しそうにできたので、妻がクレソンを買ってきてくれました。肉の切り口がいまいちキレイじゃないのはカンベンしてください。こういうところで詰めが甘いのが残念ではありますが。

そして、食べてみた感想は……これは、自分史上最高に美味い! 絶妙なミディアムレアではありませんか! こんなにほどよい火加減でローストビーフを作れたのは初めてです。

じつはね、焼く前の93%の重量ってあんがい難しいんです。ふだんは「もう少しだな」と思って、もう5分焼いてから量ってみると、もう一気に軽くなっちゃってたりして「焼きすぎたー」なんてことも多いんですね。ところが、ダッシュボード上はオーブンよりも温度が低くて熱の入りもマイルドだったのか、肉はみっつとも93%をちょい切るくらいのタイミングで引き上げることができました。それがうまくいったんだと思います。

いっぽうで炎天下のクルマの中というのは、ローストビーフが作れてしまうほど高温になるということがわかりました。たとえ短い時間でも暑い車内にお子さんを放置したりしないようにしてくださいね。

(まめ蔵)