「CE71VカローラバンにZC32Sスイスポのエンジンを搭載!」ダディーモーターワークスが放つエンジン換装の新定番【ManiaxCars】

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旧車に長く乗り続けるためのM16A+ジムニーシエラ用MT換装という選択

車重900キロ台のカロバンにスズキのM16A型はベストマッチ!

名車ハチロクのパワーユニットとしてはもちろん、コンパクトカーにも換装されるエンジンとして人気だった4A-G型。4バルブ仕様、5バルブ仕様ともにチューニングパーツが豊富だから、パワーアップも簡単にできる! と、メリット多数なのはよくわかるんだけど、困ったことに中古市場でのタマ数がモーレツに減りつつあって価格も絶賛高騰中。ローコストで大幅なパフォーマンスアップを図れるのがエンジンスワップの大きな魅力なのに、肝心の中古エンジンが数的にも価格的にも入手しづらくなってきたら、あえて4A-Gを選ぶ理由などなくなってしまう。

そんな状況に危機感を覚え、4A-Gに代わる次期スワップ用エンジンを探してたのがダディーモーターワークスの尾頭(おとう)さん。辿り着いたのはスズキのM16A型だ。いわく「ZC31S、32Sと2世代に渡ってスイフトスポーツに搭載されてたので、まず中古エンジンの数が多い。価格的にも非常にこなれてるので、ベースエンジンにピッタリなんですよ」とのこと。そんなM16A型をFR車のパワーユニットとして使いたい…というプランを尾頭さんは温め続け、今回70カローラバンでようやくカタチにしたわけだ。

もともとヨコ置きで設計されたエンジンをタテに搭載するってのは、AE101や111の4A-Gをハチロクに載せるのと同じ感覚。が、M16Aは横置き搭載=FF車にしか存在しないから、FR車に載せようとした場合、ミッションをどうするか?って問題が出てくる。

もちろん、ベルハウジングを製作してトヨタのミッションを組み合わせるってテもあるけど、お手軽感は半減するし、コストだって当然かさんでしまう。今後、M16Aスワップを積極的に展開していくにあたって重要なのは、「できるだけ安く仕上げられるエンジン換装メニュー」ということ。それが尾頭さんの強いこだわりであって、エンジン換装に伴うミッション問題の解決策もすでにアタマの中ではできあがってた。

「たしかにM16AはFF車用エンジンなんですけど、同じM型をタテ置きしてるFR車があるんですよ。それがM13Aを載せた先代ジムニーシエラ。実はそのミッションがM16Aにボルトオンで組み合わせられるんです」。

厳密に言えば、ジムニーシエラはFRベースのパートタイム式4WD。必要に応じて前輪にも駆動トルクを配分するトランスファーを備えてるんだけど、幸いなことにミッション本体とトランスファーは別体式となっている。つまり、トランスファーを外せばFR車用のミッションとして使えるってことだ。搭載にあたっては、シャシー側のマウントを加工してミッション側のマウントをドッキング。プロペラシャフトは1軸がアルテッツァ用改で長さを調整、2軸にはハチロク用を組み合わせている。

エンジン&ミッションマウントやプロペラシャフトなど、現車に合わせて製作しなくちゃならないパーツはあるけど、エンジンとミッションをセットで換装できるメリットは言うまでもなく大きい。今回はECUセッティングの途中だったため試乗はしなかったんだけど、もともと搭載されてた1.8L直4SOHCディーゼルの1C型が65ps/11.5kgmなのに対してZC32S用M16A型は136ps/16.3kgmと、カタログ値で比べるとパワーは2倍強、トルクも40%アップ(グロス表示の1C型とネット表示のM16A型だから、実際にはそれ以上の差)となる。

さらに、換装されたM16AはAE111用4連スロットルとワンオフφ42.7ステンレスエキマニが装着された吸排気チューン仕様。LINK G4モンスーンによるフルコン制御も行われるから、セッティングが決まれば実測140~150ps/18.0kgm前後のスペックを誇るに違いない。

ちなみに、70カローラバン1.8Lディーゼル(CE71V)の車重はたったの980kg。しかも、換装によってエンジンもミッションも軽くなるから、少なくとも900kg台前半にまでウエイトダウンするのは確実だったりする。これでパワーが150ps近くもあれば、速くないわけがない!

それに伴い、フロントサスはメンバーごとハチロク用を移植。ボルトオンで装着でき、ステアリングもラック&ピニオン式に変更される。エンジンの搭載位置と傾きはミッション位置によって決定。エンジン側ブラケットを製作して搭載される。オイルパンはM16Aのままだけど、メンバーをうまく回避。車高調はブリッツZZ-Rダンパーで5kg/mmのスプリングがセットされる。

フロント同様に、リヤサスもハチロク用ホーシングとリンク類が移植される。ただし、コイルスプリングを使うハチロクに対して、CE71Vはリーフスプリング仕様。そのため、ブラケットを一度カットして別の箇所に新規に制作するなどの手間がかけられる。また、本来リヤデフはKP61などと同じ6インチだけど、ハチロク用ホーシングに交換することで6.7インチにサイズアップ。耐久性を向上させている点にも注目だ。

さらに、内装のつくり込みも抜かりナシ。ステアリングホイールはクラシカルなデザインのモモプロトティーポに交換。ダッシュボードは基本ノーマルのままとされてるけど、メーターパネルには9000rpmフルスケールのアナログ式タコメーターとデジタル式メーターを備えたエースウェル製オールインワンタイプと、PLX製空燃比計をセット。機能的に車両情報を集中管理する。さらにノブにジムニー用、ブーツにハチロク用を組み合わせたシフトレバーにも注目。できるだけ純正風に見せることは、細かいところにも貫かれているのだ。

内装で言えば、前席にZC32Sスイフトスポーツ純正を40mmダウンして装着してる点も見逃せない。「ノーマルシートが傷んでたので、“じゃスイフトスポーツ用でも付けとく?”って軽く言ったんですけど、作業は大変でした」と尾頭さん。過去に何度も純正シート流用をやってきた中で「難しい部類に入る」と断言したほどだ。

尾頭さんいわく「エンジンを開けてオーバーホールやチューニングする前提なら4A-Gもアリですけど、手軽にポン載せしたいなら断然M16Aがオススメ。車重が軽い旧車なら、エンジンがノーマルでも十分なパフォーマンスを発揮してくれますよ」とのこと。

旧車をオリジナルのまま乗り続けるのもいいけど、パーツ供給の問題で維持しづらくなってくのが現実。だったら、思い切ってエンジン(とミッション)を載せ換えて不安を解消するのはひとつのテだ。さらに、日常ユースでも扱いやすく快適性もアップする。たしかにチューニングではあるけど、旧車を長く楽しむためのメニューとして、M16A型+ジムニーシエラ用ミッションの換装は注目なのだ。

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:ダディーモーターワークス 愛知県豊明市沓掛町神明13 TEL:0562-85-9911