美しいボディに宿る、確かな実用性

MAZDA3という新しい名前でデビューした美しいハッチバック&セダンは、ドライビングポジションをはじめとする運転環境から収納スペ—スの隅々まで新しい発想で設計。大幅に進化したインフォテイメントシステム「マツダコネクト」にも注目だ。

レポート●工藤貴宏(KUDO Takahiro)
アシスタント●大須賀あみ(OSUGA Ami)(身長163㎝)
フォト●中野幸次(NAKANO Koji)

前側方接近車両検知(FCTA)

MAZDA3から新たに採用された、丁字路などで出会い頭の接触を防ぐシステム。左右前方の死角から接近する車両を検知し、その接近状態を音と表示(画面内の矢印が点滅)で教えてくれる。1.5ℓモデルを除き標準装備するのがうれしい。

ドライバーモニタリング

ドライバーの顔の動きから疲労や眠気を検知し、休憩を促すシステム。脇見時には衝突被害軽減ブレーキの警告を早めに出す仕掛けになっている。センターディスプレイの脇には、検知用の赤外線カメラと赤外線LEDを内蔵。

〈運転席まわり〉クラスを超えた上質感の中に宿る操作性の最適解を求めたレイアウト

ダッシュボードは中央から助手席側を水平基調としつつ、運転席前はメーター中央を中心として左右対称にデザ イン。ヘッドアップディスプレイや8.8インチに大型化したセンターディスプレイを全車に装備。このセンターデ ィスプレイは従来よりも奥(車両前方)に配置し、視認性を高めた。その操作は、コンソールのコマンダーが担う。
ベーシックグレードにまで7インチTFT液晶を中央(速度計)に組み合わせるなど、 メーターもクラスレス。速度計の中央がマルチディスプレイとなる。一方で、旧世代のマツダ車とは異なりタコメーターは中央から左へレイアウトを変更している。
特徴はマニュアル操作の動き。操作の理想を求めて奥(前方)に倒してシフトダウン、手前(後方)に倒してアップと世間一般とは逆方向だ。

ステアリングスイッチでの注目は、レーンキープアシストシステムのスイッチが組み込まれたこと。従来はマツダコネクト内の車両設定でしかできなかったオン/オフが、手元で切り替え可能に。

ハンドル越しに表示が見やすいワイパー/ウインカーレバー。2020年からのオートライト法制化に対応し、操作後にAUTOへ自動で戻る設計が新しい。

スターターボタンは全車ともプッシュ式で、運転席の左側にインストール。左手でエンジンを掛ける。
1.5ℓエンジンを除くAT車はステアリングを握ったまま任意でシフトアップ/ダウンできるパドルを標準装備。
ヘッドアップディスプレイも全車に標準装備。フロントガラス下部に自車速度や制限速度情報などを投影。
運転席の右端にはスタビリティコントロールをはじめ運転をサポートする機能のキャンセルスイッチなどが並ぶ。
理想的な足の動きを実現するため、アクセルペダルは支点を下としたオルガン式。フットレストと左右対称だ。
シフトレバー後方は中央がナビなどを操作するコマンダー。右は電動式駐車ブレーキで左はオーディオだ。

各種インフォメーション

〈緻密でシンプルな表示〉最もベーシックな表示だと速度がアナログで表記される上に、指針が中央から伸びる。あくまでアナログ的だ。
〈メーター内に情報を表示〉液晶画面に情報を表示させると、指針は目盛り付近だけを示すようになる。また、表示内容は切り替えできる。
〈警告なども表示される〉エンジン始動案内やドアオープン情報など、車両の状況に応じてアドバイスや注意喚起が割り込み表示される。
〈運転補助機能の作動も〉クルーズコントロールやレーンキープアシストの作動状況もメーター内に表示。その際は速度計がデジタル表示に。

ガソリン車に備わるSPORTモード

「ドライブセレクション」と呼ぶ走行モード切り替えスイッチは、「標準」と「SPORT」の2パターン。アクセル操作の反応が良くなり、シフト制御が高回転寄りに。

〈ナビ・AV・空調〉システムが刷新されたマツダコネクトを搭載

8.8インチの横長ディスプレイを組み合わせた「マツダコネクト」と呼ぶインフォテイメントシステムを全車に標準搭載し、販売店オプションのSDカード(地図データ)を差すことでナビとして機能する。システムは刷新されて処理能力が大幅向上。1.5ℓモデルを除いて通信機能も内蔵する。
操作は画面タッチ(タッチパネルは廃止!)ではなく、センターコンソールのコマンダーで行なう。動きはより直感的になり、上面はタッチパッドを組み込むなど進化。
アイドリングストップの作動表示。アイドリングストップ非作動時に、作動条件を満たすのに必要な運転者の操作も示す。
取扱説明書の閲覧は想像以上に便利。イラストから探している項目に飛べるようになっているのが紙との大きな違いだ。
単にエコだけでなく爽快な走りの観点からもドライバーの運転スコアと「ブレーキ」「ステアリング」「アクセル」操作を評価。
過去60分間の燃費情報を確認できる。10分前までは1分ごと、それ以前は10分ごとで示し、過去5回リセット分の平均も表示。
「フリーワード検索」としてあいまいな言葉からも目的地を検索する機能も新たに採用。学習する予測変換も便利だ。
先進安全システムや車両の機能設定もマツダコネクトを通じて行なう。グラフィックの追加で機能を理解しやすい。
画面デザインもすべてマツダのデザイン部が監修。画面の構成とコントローラーの動きを合わせて操作をより直感的にした。
前進時は全方位モニターと車両前方の様子を組み合わせて表示。全方位モニターではハンドル切れ角や予測軌道も示す。
全方位モニターの機能として、前方側面だけを拡大する画面も用意。後輪の進路予測も示し、路肩への幅寄せなどをサポート。
後退時の全方位モニターは、車両周囲と後方の様子を拡大した画面の組み合わせ。ハンドル操作を反映する進路予測線も表示。
エアコンは「15S」の標準仕様を除き左右独立温度設定式で花粉除去フィルター付き。操作性を求めて温度調整はダイヤル式にこだわっているほか、電源のオン/オフボタンが備わるのも実は便利だ。運転環境の向上を狙い、中間グレード以上にはステアリングヒーターを備えるのもさすが。
センターコンソールボックス内にはふたつのUSB端子とDC12Vアクセサリーソケット、そしてナビ機能を使うためのSDカードスロットを用意。

Boseサウンドシステム

サテライトスピーカーやサブウーファーを加えた12スピーカー構成のBoseサウンドシステムは、1.5ℓ車を除き設定。ドア部分の本アルミパネルが美しい。

〈居住性&乗降性〉すべての調整機構を見直して調整幅を拡大したフロントシート

〈前席〉昨今のハッチバックは着座位置を高めにする傾向だが、MAZDA3は低くてスポーティなポジションにも調整可能。一方でハンドルの前後調整を10㎜増した70㎜とし、電動調整シートだけでなく全車ともシート前端の角度調整機能を備えるなど調整範囲の広さも自慢だ。

(シート高:5801〜620㎜ ステップ高:370㎜)着座位置が低めのため乗降時の身体の動きは大きめ。注目は足元で、スピーカーをドアから排除したことでドア下部の張り出しが抑えられ、足先の動きが楽だ。

〈後席〉後席の印象はセダンとファストバックで大きく異なる。後者は頭上(後方)のクリアランスが狭く、サイドウインドウも小さめなので空間自体に問題はないが若干の閉塞感がある。シートは人が座る部分を抉ることで、身体がブレないようにつくられる。中央席のベルトは背もたれに内蔵。

(シート高:550㎜ ステップ高:370㎜)前席同様に着座位置は低め。一見したところ実用性を割り切ったスポーティなスタイルに見える割にはライバルに比べて著しく乗降性が低いわけではない。
中級グレード以上(1.5ℓエンジン車とベーシックな「PROACTIVE」以外)には運転席と助手席のシートヒーターを標準装備と、乗員に優しい。温度は3段階に切り替えできる。

セダンの後席

セダンとファストバックではドアも別設計で開口部形状が異なる。セダンの方が幅も天地高もあり、寝ているCピラーを含めても乗降性は良好。
前後席間距離はファストバックと同じだが、後席天井が高い特徴やサイドウインドウが大きい視界的な違いもあり、セダンの方が居住性は高い。

注目装備

〈バニティミラー〉運転席にも助手席にも備わる。スライドリッドを開くと点灯する天井の光源がLEDというのも自慢だ。
〈マツダエマージェンシーコール〉エアバッグ作動時もしくは運転席頭上にあるSOSボタンを押した際は、通信機能でオペレーターが緊急車両を手配する。
〈シートベルトリマインダー〉ルームミラーの上にあるディスプレイに、シートベルトの非着用を表示。助手席と後席の乗員にシートベルト着用を促す。
〈ISO-FIXチャイルドシートバー〉後席のISO-FIXチャイルドシートバーは、カバー付き。カバーを外すとバーが目視できるので装着しやすい。

携帯するだけでエンジン始動までできるキーは、MAZDA3から新デザインに。楕円形から四角い形状になった。

〈室内の収納スペース〉細かい配慮とともに充実した収納

①保湿系の大型サイズと通常サイズのボックスティッシュがひとつずつ入る大容量のグローブボックス。内部は植毛処理が施されて上質。
②運転中にもサッと手が届く頭上に用意されたオーバーヘッドサングラスホルダー。サングラスや運転用のメガネを収めるのに最適だ。
③サンバイザーのカードホルダーは、ミラーの端にあるクリップで留めるシンプルなタイプ。見た目も洗練されたデザインになっている。
④前席のドリンクホルダーはリッド付き。その奥はトレーになっていて、置いたアイテムの滑りを防ぐためにラバーが敷いてある。
⑤アジャスター付きで細缶もしっかり固定する前席ドリンクホルダー。使いやすさを求めて、従来モデルよりも前方の位置とした。
⑥従来よりも大型化されたセンターコンソールボックスはCDケースも収まる深さ。取り外し式の“仕切り”も組み込まれている。
⑦センターコンソールのリッドは動かす時の軌跡を小さくするためにスラ イド+跳ね上げ式。前方にはボールペンを置ける。
⑧小銭を収納するのにちょうどいいインパネ右端のポケット。底に貼ってある布は、コインなどが走行中に動いて音を発するのを防ぐ配慮。
⑨シートバックポケットは助手席の後ろに用意。かつてと違い車内に地図を置くことがなくなった昨今でも、ポ ケットがあればやはり便利だ。
⑩後席のドリンクホルダーはセンターアームレストに内蔵。自然に手が届くので、座ったまま姿勢を変えずに飲み物を持てるのが美点。
⑪フロントドアポケットは前後に長く、ボトルホルダーも含めて約33㎝。前端は小物入れで、後方にはボックスティッシュも収納できる。
⑫ボトルホルダーも兼ねたリヤドアポケット。最前部は前席同様に小さな小物入れになっていて、スマートフォン程度まで収まる。
⑬リヤシートの頭上にはフックが備わり、ジャケットなどを吊って置ける。カーテンエアバッグ展開時に乗員に危害を加えないよう、ハンガー使用はNGだ。

〈大型ラゲッジルーム〉大型スーツケースは2個積める

通常時:高さ705㎜ 奥行き840㎜

容量は334ℓで、このクラスとしては気持ち狭め。後席を畳まないとゴルフバッグを積むことができないが、1週間程度の旅行用と言われる67ℓサイズのスーツケースは2個載る。

2列目格納時:最小幅1010㎜ 最大奥行き1650㎜

背もたれを倒すだけで後席を拡大可能。本来の荷室床と倒したシート部分の間には30㎜ほどの段差が生じる、背もたれは水平ではなく後方を下に傾斜が残る。

テールゲートは車体後方に張り出すことなく開放できる。開口部下端の天地高は760㎜と標準的だ。このアングルでみると、トノカバー付近の高さまではしっかりと容量が確保され、そこから上でDピラーが寝ているのがよくわかる。
電動テールゲートではないが、テールゲートに予約ドアロックスイッチがあるのは便利。ボタンを押してから閉じれば、全ドアがロックされる。
背もたれにある金具は、ISO-FIXチャイルドシートのフックを掛けるためのバー。頑丈にできているので、荷物の固定にも活用できる。
驚くのは、床だけでなく壁まで樹脂むき出しではなくカーペットで覆われていること。プレミアムブランドや上級車種ならともかくこのクラスでは立派。
床下にはジャッキやパンク修理キットが格納され、そのほかに三角表示板などを置くための収納スペースが設けられている。深さは20㎝ほど。
トノボードは車外から荷物を覆う役目のほかに車体後部下からの騒音をカットする役割も担う。中折れ式で、左上の写真のように、テールゲートを開くのに連動して後半部が跳ね上がる仕掛けになっている。床からの高さは約50㎝。
後席格納は左右6対4分割。背もたれ最上部にあるレバーでロックを倒してシートを前方に寝かせるシングルフォールディングだ。倒すのも起こすのも室内側から行なうのが基本。

セダンのラゲッジスペース

最小幅:1010㎜ 奥行き1110㎜

5ドアよりも大幅に広く、容量は450ℓ。奥行きは1mを超えるのだから見事だ。ゴルフバッグは2個を横積みできる。67ℓサイズのスーツケースは3個積載可能だ。

高さ:440㎜ 奥行き1910㎜

最大部分の左右幅も5ドアより広い1300㎜を確保。床面は右側のみ段差があり、わずかに高くなっている。トランクスルーも可能で、その際はクラスを超えた広さ。

後席格納は6対4分割。後席部分と床面の段差は5ドアよりも少し大きく約5㎝だ。荷室は左右の壁を抉った形状なのも5ドアとの違い。
トランク開口部の前端には後席を倒す際にロックを解除する遠隔操作ノブを用意。車両後方から後席を押して倒せる。
床下トレーのレイアウトも5ドアとは異なる。ジャッキが右端に収納されるのが大きな違いだが、トレーの深さは10㎝ほどでこれは5ドアと同じ水準だ。