シトロエンC3試乗…古き良きフランス車の味を今に伝える、柔らかくもコシの強いコンパクトカー

ポップな内外装をまとう現行3代目が2017年7月に日本上陸を果たした、シトロエンのベストセラーBセグメントカー「C3」。その上級モデル「シャイン」に、JAIA輸入車試乗会が開催された大磯プリンスホテル周辺で試乗した。

PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)

ボディ側面に装着された「エアバンプ」

 シトロエンといえば独創的なデザインとメカニズム、そして昔ながらのフランス車らしいソフトかつ弾力のあるシートとサスペンションを併せ持つブランドとして知られており、日本にも根強いファンが数多く存在する。

 C4カクタス譲りの、エアを封入した強化ポリウレタン製の衝撃吸収材「エアバンプ」をボディ側面に備える現行C3は、そんなシトロエンらしさをこれまで以上に強調したモデルと言えるだろう。

 その内外装を実車で見ると写真以上に個性的で、全長×全幅×全高=3995×1750×1495mmという小柄なボディサイズを遥かに凌ぐ、強烈な存在感を周囲に放っていた。

水平基調の機能的なデザインでまとめられた運転席まわり

 インテリアに目を移すと、ダッシュパネルは水平基調の機能的なデザインで、エクステリアよりもむしろ落ち着いた印象。

一見デザイン優先で感触もソフトだがホールド性に優れるフロントシート

 一方でシートは1980年代にタイムスリップしたかのようにデザインコンシャスで、率直に言って「この形状でサポート性は大丈夫なのだろうか?」と心配になったのだが、実際にフロントシートに座ってみるとさにあらず。柔らかなクッションが沈み込むとサイドサポートが脇腹や太股を確かに支えてくれるとともに、座面・背もたれとも身体全体にぴったりフィットし、極めて安楽な掛け心地をもたらしてくれた。

後席も前席同様にソフトだがサイズ・空間が不足気味

 後席も、掛け心地そのものは概ね同様の傾向。ただし、身長176cmの筆者では後頭部がルーフに当たるなど、絶対的なヘッド・ニークリアランスとシートサイズは不足気味で、大柄な男性には不向きだ。

205/55R16 91Vのミシュラン・プライマシー3を装着

 そして肝心の走りはシートと同様に、当たりは柔らかいがコシがあり、路面の凹凸をしなやかにいなし、旋回時は適度にロールを許容しつつも粘るようにゆっくりと外輪側沈み込ませていく。ただし最小回転半径は5.5mと大きく、切り返しなどではやや苦労する場面も。幅205mmという、Bセグメントカーにしてはファットなタイヤを履く弊害が顕在化してしまっていた。

110ps&205Nmを発揮する1.2ℓ直3直噴ガソリンターボエンジンと6速AT

 パワートレインはガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)を装着しPM排出量を低減した最新の「ピュアテック」1.2ℓ直3直噴ガソリンターボエンジンと、これにアイシンAW製6速AT「EAT6」を組み合わせたもの。

 最大トルク205Nmを1500rpmというごく低回転で発生する直3ターボと6速のトルコンATがもたらすそのスムーズさは、かつての1.2ℓ直3NAエンジンと5速シングルクラッチ式ロボットMTを知る身としては隔世の感がある。

 しかしながら、リバースギヤに入れるとアイドリング時に振動がハッキリ伝わってくるのは、要改善点として挙げておきたい。

 同じグループのプジョーが極めて前衛的なデザインとシャープな乗り味、DSが悪趣味ギリギリ一歩手前の高級感で攻めている中、古き良きフランス車の味を今に伝えるシトロエンC3は、今や貴重な存在になったと言えよう。昔からのフランス車好きはもちろん、真に安楽なクルマを求める普通のユーザーにも強くオススメしたい。

【Specifications】
<シトロエンC3シャイン(FF・6AT)>
全長×全幅×全高:3995×1750×1495mm ホイールベース:2535mm 車両重量:1160kg エンジン形式:直列3気筒DOHC直噴ターボ 排気量:1199cc ボア×ストローク:75.0×90.5mm 圧縮比:10.5 エンジン最高出力:81kW(110ps)/5500rpm エンジン最大トルク:205Nm(20.9kgm)/1500rpm JC08モード燃費:18.7km/L 価格:248万円

シトロエンC3シャイン