BMW Z4 上陸! 切れ味鋭い走りが復活。スープラとの違いは?【動画】

BMW Z4 M40i

ピュアスポーツカー「Z4」

BMW自らがスポーツカーを造り上げたと言い放つ「Z4」の初試乗だから朝から少々ハイな気持ちで集合場所に向かった。実は昨年末にも同じような思いになったのはZ4の義兄弟「トヨタ・スープラ」のプロトタイプ試乗である。すでに試乗したスープラ・プロトの印象はまずは置いといて、まっさらな気持ちでBMW Z4はどうなのかを探る。

まず、見た目でワイドな印象なのは幅広で薄口のキドニーグリル形状によるものと、ノーズを絞り込んでいない車幅の関係もある。サイドビューは前後のオーバーハングも丁度いい長さのバランス感だが、先代のE89型とサイズを比較すると、全長は80mm伸びた4335mm、全幅は75mm広い1865mm、全高は20mm高い1305mm。それでいてホイールベースは25mmマイナスの2470mmと、コンパクトクラス並みだ。

直列6気筒ターボは340ps&500Nmを発揮!

そのボディにエンジンキャラクターが際立つ3リッター直6DOHCツインパワーターボを搭載。340ps/500Nmの出力を8速ATを介してリアを駆動する。

ショートホイールベースがいやでも運動性を高め、ワイドトレッドがハンドリングとスタビリティの操縦安定性を確かにする。ちなみに0-100km/hは4.5秒。最高速度は紳士協定の250km/hだが、重要なのはそこに到達する時間がどうかであり、瞬発力がスポーツカーの魅力のひとつだとしたら、この「Z4 M40i」は、アクセルを踏んだ瞬間にヒップポイントの辺りで“ドカン”とトラクションを伝え、異様な速さで車速を盛り上げるから、これは間違いなくピュアスポーツカーである。

インテリアはドライバー重視のレイアウトがBMWらしい。ダッシュボードはセンターディスプレイまでがドライバーに向いた立体的な造形。ステアリングを含むスイッチ類、シフトレバーやダイヤルノブは、BMWの共通項。小径でグリップ部が異様に太いステアリングは、手の小さな方には握力トレーニングさながらの、まさにドイツサイズである。

ソフトトップとは見た目の話し。室内からトップ内側を眺めると構造材がしっかり入ったほぼハードトップである。どうりで遮音性の高さや静粛性も高いワケで、クローズド状態はクーペそのものの印象だ。トップの開閉は50km/hまでは走行中でも片道10秒で操作可能。つまり1速ギア(最高速度50km/h!)の範囲内で操作すれば良い。

4000rpmを超えれば官能的な6気筒サウンドに!

スイッチひとつで点火した直6エンジンはシルキーシックスらしい滑らかな回転フィール。と思うのは低速、中回転域までで、4000rpmを境に高回転は軽く、しかも官能的な6気筒サウンドに変わり、6800rpmまでフケ切る。それでも走行モードはCOMFORTのままだ。

SPORTを飛ばしてSPORT+に走行モードに切り替えると、アクセルに対するレスポンスはよりクイックに、回転はさらにオーバーシュート感覚で引き上げられ、ギアは一段ローに落とされる。アクセルオフでは“パラパラ”とアフターファイア音が響き、ドライバー自身の気持ちも盛り上がり、さらに走れ走れと急かされているかのよう。

ホイールベースの関係から走行中、凹凸の通過で前後に揺れるピッチングは起る。だが、ドライバーの着座位置はホイールベースのほぼ中心点に位置するせいか、ピッチングや突き上げのハーシュネスに揺すられる不快感はない。これは、やはりバネ/ダンパー各部ブッシュ類の使い方の妙技である。

路面に喰らいつくコーナリング!

ツイスティなコーナーが増えるとZ4は俄然活き活きとする。もちろん操るドライバーのやる気が反映されるもので、ステアリングの中立から拳ひとつ程度までの操舵に対しては、ほぼ直進状態で高速巡航を楽にさせる領域。

拳ひとつから先、舵角が増えると同時に、エンジンマスがある直6が載っているなど全く感じさせず、フロントタイヤが路面に喰いつく感触とともにコーナーにノーズから吸込まれて行く。この超鋭い感覚こそBMWらしい。コーナーをトレースして行く操作の何と楽なことか!

驚きは旋回中の横G。そう易々とはスライドしないリアタイヤの接地安定性をみせる。フロントが逃げない、つまりアンダーステアにならない素のハンドリング特性と、知らず知らずに制御しているブレーキ制御「CBC」も加えた上での旋回性能の高さである。

ステア操作に対してリアタイヤは影響を及ぼさない。つまりターンインしやすいようにリアのデファレンシャルを左右の回転差が出やすいようフリーにする。タイトコーナーでも無抵抗で切り込めるのはこの威力だ。

旋回加速Gの強烈さは、最高の部類!

一方、コーナー立ち上がりに向けてアクセルを早く深く踏み込むと500Nmの大トルクが一気に加わりホイールスピンを誘発する。だが、そこは電子制御LSDのMスポーツデフファレンシャル(通称Eデフ)が空転する瞬間を捉え、抑えて最適なロック率のLSD効果を発揮して駆動力を伝達する。

もうドライバー自身の身が捩れるほどの旋回加速Gの強烈さは、FRオープンスポーツカーとして最高の部類に入る。軽快感ではなく、重厚に粘るようにリアのミシュラン・パイロットスーパースポーツ、275/35ZR19のグリップ力をフルに引き出すため、こうした限界の高いコーナリングが実現する。

オープンとクローズド時では違う旋回性

興味深いのはオープンとクローズドの違いが見られた点。舵角で90度程切り込む2速コーナーの立ち上がりでフルパワーを与えると、オープン時は瞬間的にパワーオーバーステアになり、ほんの一瞬だがリアがスライドする。

同じコーナーをクローズド状態で通過すると、明らかにリアのトラクションは高く、何事も起らない。こうした現象は、例えばサーキットの中速コーナーで比較すると判りやすい現象だが、タイヤのグリップ力が高く、ハンドリングとトラクション能力に優れたZ4は、ボディ剛性の変化を示すのだった。

本来、こうした違いはサーキットで旋回が長く続くコーナーで確認できることだが、Z4のグリップ力は一般道でもその違いを示した。

BMWテイスト、復活!

BMWは一時期、ドイツのライバルを意識して乗り味に滑らかさを加えたハンドリングとしたことで、不自然な操縦特性を生んでいた。その時、BMWの魅力が半減した、と個人的には思った。明らかにこれは中途半端だった。ユーザーの声もあったに違いない。で、さすがにこれはマズいと気付いたと思う。

近年のモデルは、切れ味鋭いBMWらしいハンドリングを重視した上で、角の尖っていない乗り味にまとめた。結果、BMWらしい硬さの上にバランスされた乗り味に戻ったことが素晴らしい。

BMW自らがスポーツカーを造り上げた!と宣言しなくてはならないほど、BMWは方向性がぶれていた証し。それをZ4は見事にBMWらしいテイストとして復活させた。

スープラとは似ているような・・・

気になるスープラとの違いだが、筆者はウエットの袖ケ浦フォレストレースウエイでしかスープラ・プロトを試乗しておらず、その感触とドライで試乗したZ4を比較すると、似ているような気もするが、ステアリング中立付近の安定領域と切り始めの変化量はスープラ・プロトのほうがより広い気もする。まぁ、これは同一条件で比較して正確な答えを引き出す必要があるが・・・。

いずれにしても「Z4 M40i」、オープンとクローズドクーペの両方を味わえるという意味では、先代と同じだが、キレ味鋭い挙動変化は、BMW最新の味である。

REPORT/桂 伸一(Shinichi KATSURA)

PHOTO & MOVIE/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

BMW Z4 M40i

ボディサイズ:全長4335 全幅1865 全高1305mm

ホイールベース:2470mm

車両重量:1535kg

エンジン:直列6気筒DOHCターボ

総排気量:2997cc

最高出力:250kW(340ps)/5000rpm

最大トルク:500Nm/1600 – 4500rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:RWD

ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン(電動式)

サスペンション形式:前ダブルジョイントストラット 後5リンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ(リム幅):前255/35ZR19(9J) 後275/35ZR19(10J)

最高速度:250km/h

0 – 100km/h加速:4.5秒

燃料消費率(JC08):13.2km/L