塚本奈々美の世界モータースポーツ紀行~中国編~

●賽車界首屈一指的美女・塚本奈々美が見た中国のモータースポーツ事情

レース、ドリフト、ラリーと3つのカテゴリーに三刀流ドライバーとして参戦中の塚本奈々美です。2017年に中国のドリフトシリーズ、2018年からはドイツ・ニュルブルクリンクの耐久レースに出場と、海外を駆け回ることが多くなりました。

そこで、私が海外で見聞きし、体験したことを「世界モータースポーツ紀行」としてレポートさせて頂きます。その1回目は「中国編」です。

私自身は2017年に広東省・珠海の「ZIC Circuit Hero Drift Battle」にシリーズ参戦、その後はD1GPチャイナシリーズで日比野哲也選手のスポッターとして中国各地を転戦、またイベントやメディアのお仕事でも頻繁に中国に行っております。

中国のメディアで私は 「日本混血賽車皇后塚本奈奈美」と紹介されてます。これ、 「ハーフのレーシング・クイーン」という意味らしく、「奈々美」 はどうやら「々」という表現 は中国にはないことから「奈奈美」と表現されています。

何故私の知名度が高いかという と、中国でも「頭文字D」の 人気が根強く、「新劇場版頭 文字D」でプロモーションアンバサダーを務めた私を「リアル真子」(真人真子)として現地のメデ ィアが広く報道したことがきっかけのようです。日本アニ メの影響力、凄いですね。

出場した大会は広東省のロ ーカルTV局でライブ中継され、最初は「なんだ、 ローカル局か ! 」と思った私も、広東省の人口が1億人と知り、中国のスケールの大きさを改めて感じた次第です(笑)。ま た、中国に「判官びいき」という感情があるのかどうか判りませんが、屈強な男性の中の唯一のか弱い(?)女性ドライバーが、コミックから再現した非力なシルエイティで 奮闘する「奈奈美」を「加油」 (がんばれ)と応援したいと思ってもらえたのかも。

その後は「賽車界首屈一指的美女」(モータースポーツの最高峰の美しさ)となんとももったいないほどのお褒めを頂き、 たくさんのファンサイトが立 ち上がっています。

こうした中で感じたのは、中国のモータースポーツの「勢い」です。D1チャイナ2018では日比野哲也選手が優勝してD1ジャパン代表としての面目を保ちましたが、中国勢のチーム体制は、日本国内のどの大会にも見られないほど立派!マシンのカラーリングを揃えることはもとより、タイヤも大量に用意され、立派なテントにはエアコンを完備、ゲストやスポンサーへのホスピタリティはスーパーGTのワークスチーム並みの豪華さ。

日本人選手を雇とってマンツーマンでドリフトを教わり、日本のチューニング技術を勉強し、日本からエンジニアを雇いマシンをセッティングする。日本に比べてドリフト歴はまだ浅いのですが、成長の可能性、勢いを目の当たりにして、日本勢もうかうかしていられないと脅威さえも感じました。

もちろん、ローカルのスターが誕生することで、ドリフト人気が高まることは歓迎すべきであり、中国での盛り上がりはいずれアジア、世界に伝搬されるはずです。

「中国に行って来ました」と帰国報告すると、決まって聞かれることのが「スモッグ、大変だったでしょ?」。

折しもトランプ大統領の中国訪問日程とバ ッティングした際には、空港でエアフ ォースワンを尻目に機内で2 時間近く待たされることにな って辟易しましたが、大統領 滞在中は、なぜか悪名高い北 京のスモッグが消え、天安門 と紫禁城を訪れた際も空が青 々と澄み渡たって、夜には星も輝いて見えました。

もちろん、トランプ氏が去ったあと、北京は本来のスモ ッグの街と化し、中国政府が 大統領滞在中だけ「政治的」に特別なスモッグ対策や規制 など行った? なんて勘ぐっ てしまいました。

中国政府はEV導入に大変な力を注いでいますが、温暖化や大都市のスモッグ対策という大義はあるものの、そこにはやっぱり「政治色」が強く打ち出されています。

ガソリン車の分野では、日 本や欧米のこれまでの技術の 蓄積に自力で追いつき追い越 すことは困難ななか、まだ横一線のEVなら、中国メーカーもこれから自力で競争できると考えていて、政府が外国 企業のM&Aも含めEV車の 開発、普及を大々的に支援し ている状況です。

公共のバスは、近々ガソリン車がなくな るなど、急速にEVへの転換 も進んでいて、恐らくあと数年で世界一EV化が進んだ国になるはずです。北京では、 電子マネーが驚くほど普及し ていますが、これと同じく、 ごく近い将来、世界一のEV大国とな った中国の姿が容易に想像で きますね。

いっぽう、日本では 製造をコモディティ化でき るEV生産に対し、既存の垂直統合的な産業構造を守ろう とする抵抗勢力も根強いでの はないでしょうか。

中国だけでなく、欧州も含めた世界的なEVシフトが進 行してきましたが、 世界ではすでに ガラパゴス化しているハイブ リッド技術と同様、次世代カ ーでも、日本がガラパゴス化 する可能性は極めて高い気が してなりません。繰り返しての中国訪問を通じて、日本の基幹産業の将来が少し心配になりました。

今年も2月から中国を訪問しますので、また中国モタスポ事情を仕入れてレポートします。次回は「欧州編」を書きますので、お楽しみに。

(レーシングドライバー・塚本奈々美)