トヨタのバーチャル人体モデル「サムス」がバージョンアップ。自動運転時代の開発にも役立つ

人体の形状はもとより骨の強度、皮膚の柔軟性など人体の力学特性を再現したコンピューターモデルである“THUMS”が誕生したのは2000年のことでした。

衝突時の乗員保護研究といえば、衝突ダミーを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし衝突ダミーには限界があります。そこで、生まれたのがバーチャル人体モデルの“THUMS”です。

車両衝突シミュレーションと組み合わせることで、衝突時の人体の挙動や傷害の発生をコンピュータ上で予測・評価できることから、多くの安全設計に役立ってきました。ちなみに、THUMSとはTotal HUman Model for Safetyを省略した名前で「サムス」と読みます。

2019年2月、トヨタ自動車と豊田中央研究所は、クルマの衝突事故における人体の傷害発生メカニズムをコンピューター上で解析できるバーチャル人体モデル“THUMS”を「THUMS Version 6」へと進化させました。

詳細な内臓モデルを実現したサムスver.4と、身構え状態やリラックス状態など様々な筋力状態を模擬可能な筋肉モデルのサムスver.5それぞれの機能を一体化させることで精度を向上させたほか、開発における作業効率アップも期待できる進化です。

これまで事故を起こす直前、居眠りでなければ運転手は身構えることができると考えられていた面もありますが、今後自動運転が進んでいくと完全にリラックスした状態で衝突を迎えるというケースも増えてくると考えられます。そうした新しい時代の衝突安全性をシミュレーションすることも、サムスver.6を使えば高精度で行なえることが期待されます。

(山本晋也)