電動SUVで争う新シリーズ『エクストリームE』構想発表。舞台は北極など5地域、2021年1月スタート

 2003年の第87回インディ500ウイナーで、現在はマクラーレンF1でスポーティングディレクターを務めるジル・ド・フェランと、フォーミュラEの発起人であるアレハンドロ・アガグは、電動SUVで争う新オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』構想を発表した。2021年1月のスタートを目指すという。

 市販車はもちろん、モータースポーツ界にも押し寄せているEV化の波が、ついにオフロード競技にも押し寄せる。今回発表されたエクストリームEは「電動SUVを極限の環境で競わせ、マシンの性能やドライバーの腕、新技術を鍛えていくと同時に、我々が直面している環境問題にも取り組む」ことがコンセプトだ。

 2021年1月にスタートが予定されているシリーズ初年度は全5戦で構成。北極やヒマラヤ、サハラ砂漠、アマゾンの熱帯雨林、インド洋に浮かぶ島々を舞台に争われる。

 これらの地域は地球温暖化による海氷の減少、永久凍土の融解進行、海面上昇や森林破壊など、自然破壊が進んでいる地域で、ここでエクストリームEを開催することで環境問題への意識を向上させたいという意図もあるしている。

 シリーズには12チームを参戦させる構想で、開催地区のすでに環境破壊が進んでいるエリアに6~10km前後のトラックを作成。ここを2チーム/2台が同時に走行しタイムを競いあうノックアウト形式で争われる。

 エクストリームEは放送形態も新たな形で行うとして生中継やライブ配信は行われず。代わりにドキュメントとスポーツを融合させた“docu-sport”形式のTVシリーズを後日放送する。

 このTVシリーズは2009年アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を制した映画『ザ・コーヴ』で製作を務めた、フィッシャー・スティーヴンスが“チャンピオンシップ・アーティスティック・ディレクター”として製作を担当。放送が行われるまで、参戦チームが結果を公にすることは禁じられるという。

 エクストリームEで使用される電動SUVについてはフォーミュラEと同様に共通シャシー、共通バッテリーを採用。搭載するモーターについては第2世代フォーミュラEマシンで使用されているものを2基搭載する方向で検討が進められている。

 電動SUVのプロトタイプについては2019年4月に初テストが行われ、参戦チームには2019年11月にはシャシーとバッテリーが供給される予定だ。

 そのほかシリーズの設立パートナーにコンチネンタルタイヤ、次世代リチウムイオン電池の製造に必要な“ニオブ”のサプライヤーとして、CBMM(ブラジレイア・メタルジア・イ・ミネラソン)が就任。また“チーフ・エクスプローラー”にイギリス出身の冒険家、デイビット・メイヤー・デ・ロスチャイルドを任命したことを明かしている。

 シリーズ発起人のひとりであるアガグは「私はつねに電気自動車技術に情熱を注いできたし、“クリーンモビリティ”が地球温暖化を和らげる手段であると信じている」と述べている。

「エクストリームEによって、世界はさらに持続可能社会へ向けて歩みを早めると確信しているし、この思いを現実にできるようなドリームチームを作ることができた」

「モータースポーツとしての側面をまとめるジル・ド・フェランに、デイビッド・デ・ロスチャイルド、フィッシャー・スティーヴンスというふたりが協力することで、モータースポーツと環境というふたつの世界を融合させることができる」

 ジル・ド・フェランは「エクストリームEは、これまで誰も見たことがなく、挑戦したこともない、まったく新しいスポーツ、アドベンチャー、エンターテイメントコンセプトだ」としている。

「視聴者はシリーズのTV放送を通じて、各レースの展開だけでなく、レースが開催される地域の現状を目にし、環境保全の意識を高めることになるだろう」