アメリカのZ33乗りが愛車を真なる「マイ・フェア・レディ」へと導くまでのストーリー

アメリカのZ33乗りが愛車を真なる「マイ・フェア・レディ」へと導くまでのストーリー

女系家族に生まれ育ち、常に周囲の女性から人生に対する多大な影響と刺激を受けてきた男。彼が新たな家族として迎えたのは、常に憧れの存在だった日産350Zだった。“サリー”と名付けた愛車を「マイ・フェア・レディ」へと成長させるZカーフリークの、努力と栄光の軌跡を追う。


My Fair Lady ー永遠なる淑女との蜜月ー

 

V8スワップで過激に生まれ変わったアメリカン・ビューティ

カリフォルニア州のベーカーズフィールドに住むスティーブン・サンパガ。まだ27歳と若いが、彼が自分の力で製作した日産350Z(Z33)は、西海岸のZコミュニティではかなり知られた存在となっている。

スティーブンが自ら“Sally(サリー)”と名付けた愛車との蜜月が始まったのは4年前のこと。看護師である母親の影響から、自分も看護師になることを志し、専門学校に通いつつバイトで購入資金を貯めていった。

クルマを購入した翌年の夏から本格的にモディファイに乗り出し、まずはサリーの美貌に磨きをかけるためローダウンやインチアップに着手。当初はボルトオン可能な部品を使ってトライ&エラーを繰り返し、カスタマイズの方法を体で覚えていったという。

晴れて看護師となってからも、毎日忙しく働き、手にしたお金と余暇はサリーに注ぎ込んでいった。ちなみにスティーブンには、ちゃんとガールフレンドもいるのだが、その彼女もまた三菱ランサーを所有するクルマ好きで、クルマいじりに理解があるという。とにかく女性運に恵まれた男なのだ。

だんだん目には見えない部分のおしゃれにも気を遣える余裕が出てくると、もともと搭載されていたVQ35DEエンジンの補機類やパネル類にポリッシュ加工を施したり、エアサスを組んで車高をベタベタにしたりと、手の込んだコスメティックもステップ・バイ・ステップで実現させていった。

そのようにしてサリーの美しさに磨きが掛かり、自身の腕にも自信を持てるようになるにつれ、「美しさの次は強さ」だとばかりに、エンジンスワップを夢見るようになったスティーブン。さすがに初めての経験なのでリサーチに時間を割き、350Zに向いているパワートレーンやECU、必要な工具やマウント類などを調べ上げていった。

そうしてサリーの新しい心臓として選ばれたのがGM製のLS3型6.2L V8エンジン。LSスワップはアメリカではポピュラーな手法であるため、ノウハウやパーツが充実しているからこその選択だった。

スティーブンは自宅ガレージにエンジンクレーンとTIG溶接機を新たに導入し、作業を手伝ってくれる親友のドナート・クルーズのため、冷蔵庫にはビールもしこたま用意した。ふたり掛かりで重作業を着実にこなしていき、最終的にはプライベーターの仕事とは思えないV8スワップを実現。吸排気系や燃料系など、LS用のパーツはそれこそ星の数ほど売られているため、パフォーマンスアップにも抜かりはない。

これまで多くのカーショーにサリーを出展しては、数々のアワードをゲットしてきたスティーブン。毎年ロサンゼルスで開催されているWekFest SoCalでは3年連続でZ・オブ・ザ・フェスティバルを獲得している。

「僕にとってサリーは家族であり、自分がカーエンスージアスとして成長していくきっかけになった、かけがえのない存在です。いつかはサリーと一緒にSEMAショーに参加して、サリーをもっと多くの人に知ってもらいたいですね。実はそのために、いまV8をツインターボにしちゃうプランを練っているところなんですよ!」と、嬉しそうに語るスティーブン。

フェアレディとは日本語で「淑女」を意味するが、サリーはまたずいぶんと刺激的な淑女に生まれ変わろうとしているようだ。

Photo:Akio HIRANO  Text:Hideo KOBAYASHI

アメリカンV8の代名詞ともいえるLS3型6.2LエンジンにTremecの6速MTを組み合わせ、ISRパフォーマンスのマウントで搭載。電子制御スロットル対応フルコンのモーテックGRP-M130で制御を行っている。LSはホットロッドでもよく使われるため、各種アフターパーツが充実。NOS(ナイトラス・オキサイド・システム)でのドーピングも行っており、タンクはフロントシートの間に装着している。

ホイールはスティーブンのパーソナル・スポンサーでもあるCosmis RacingのXT-006Rを装着。カラーはブルーの車体によく映えるハイパーゴールドを選んだ。サイズはフロントが9.5J×18、リヤが11.5J×18と前後ともに極太の設定となっている。

D2のコンポーネンツをAccuairのマネージメントで制御するエアサスペンションシステムを組み、Viairのポンプ2機をトランクルームにマウント。前後アームにはSPL Parts製のキャンバーキットを装着しており、着地スレスレのスラムドスタンスをキメている。それらの作業もすべてスティーブンが自ら行った。

フロントバンパーとサイドスカートはNISMO製で、サイドスカートにはPasswordJDMのウイングレッツを追加している。また、SEIBONのボンネットやフェンダー、Battle Aeroのリアウイング、VIS Racingのトンネルハッチ(ハッチバック)など、多くの外装パネルをカーボン製でコンプリート。フロントフェンダーはブルークリア化するカスタムも加え、ほかと違う個性をアピールする。

GripRoyalのステアリングは、NRGのショートハブとクイックリリースを使って装着。トランスミッションのメーカーであるTremecのシフトノブも採用している。純正の三連メーターが収まるクラスターにはアフターメーカーのメーター類をインストール。センターパネルに新たに設置したスイッチ類の中で、一番左にある青いスイッチはNOSのパージシステム用。配管内に溜まった酸素を強制的に排出することができる。シートはBRIDE、ロールケージはCUSCOと、JDMパーツも目白押しだ。

子供のころから典型的なクルマ好きとして育ったスティーブン・サンパガ。ある年、ホットインポートナイトというイベントで見たフルカーボン仕様の350Zに影響を受け、自分の350Zを作ると心に決めたと言う。自身の職業として看護師を選択したのは、いまなお現役で看護師を続けるお母さんからの影響。現在勤務している病院では役職にもつき、母親に対する感謝と尊敬の念は絶えない。

スペック

エンジン:LS3型6.2L V8エンジン/ISR エンジン&トランスミッションマウント/FAST・LSXRインテークマニホールド102mm、LSXハイフロービレットフューエルレール、イグニッションコイル/Nick Williams Performance スロットルボディ102mm/Edelblock フューエルインジェクター/Moroso バルブカバー、コイルパックマウンティングブラケット/Billet Specialties プレミアムトゥルートラックLSプーリーシステム/MOTEC GPR-M130 ECU、C125レースロギングキット/NOS ナイトラスボトル10lbs、パージキット、ゲージ/NISMO エキゾースト/Mishimoto ラジエター

ドライブトレイン:Tremec T-56マグナム6速マニュアルトランスミッション/EXEDY クラッチ/SIKKY プロペラシャフト

サスペンション:D2 エアサスペンション/Accuair エアサスマネージメント/SPL 前後キャンバーキット/CUSCO ストラットバー

ブレーキ:Hawk ブレーキパフォーマンスキット

ホイール:Cosmis Racing Wheels XT-006R(F9.5J×18 R11.5J×18)

タイヤ:VERCELLI STRADAⅡ(F225/40R18 R265/35R18)

エクステリア:NISMO V2フロントバンパー、サイドスカート/SEIBON ファイバーフード、フェンダー/Battle Aero カーボンファイバーウイング/VIS Racing トンネルハッチカーボンファイバー/APR フロントスプリッター/Password JDM ウイングレッツ/370Zサイドマーカー/Mastergrade カーボンファイバーリアディフューザー

インテリア:AutoMeter カーボンファイバーゲージ/BRIDE ViosIII/Tremec シフトノブ/NRG クイックリリース、ショートハブ/Enjuku Racing ハーネスバー/TAKATA レーシングハーネス