【新車試乗 HONDA INSIGHT】ハイブリッド専用ホンダ・インサイトは3代目になって「普通にいいクルマ」に進化した

●ハイブリッド専用車3代目ホンダ・インサイト試乗レビュー

・ハイブリッドのネガを感じさせないパッケージング

ホンダのハイブリッド専用車「インサイト」が復活。初代はアルミボディの2シーター、2代目は5ドアの5ナンバーボディで、いずれも「IMA」と名付けられたモーターアシスト型のマイルドハイブリッドを採用していました。2018年12月にフルモデルチェンジ、3代目となったインサイトは、そうした過去のモデルに対して、ハイブリッド専用車であることは共通ですが、車格はぐっと上がりました。

従来はホンダのラインナップにおいてコンパクト寄りのポジションでしたが、新型インサイトはシビックとアコードの中間的なキャラクターを与えられています。日本刀をモチーフとしたフロントグリルも存在感バツグン、車幅は1820mmと立派な3ナンバーボディとなりました。

ハイブリッドシステムも大きく進化しています。発電用と駆動用という2つのモーターを電気式CVTとしてレイアウトする「スポーツハイブリッドi-MMD」は、アコードやステップワゴン、CR-Vでおなじみですが、非プラグインのハイブリッドとしては初めて1.5リッターエンジンと組み合わせています。ある意味では、588万円以上もするクラリティPHEVと同等のエンジン・モーターを搭載しているといえます。2モーターのフルハイブリッドのため、シリーズモードで動く「ハイブリッドドライブ」、バッテリーの電力で走る「EVドライブ」を可能としています。さらに、高速巡航などではエンジンを駆動輪に直結する「エンジンドライブ」モードも持っているのも、i-MMDに共通した特徴です。

ただし、駆動用バッテリーはクラリティはもちろん、CR-Vなどと比べても小さくなっています。そのかわり、車重は1370~1390kgと、このクラスのセダンとしては標準的な範囲に収まっています。ハイブリッドだから重いというわけではありません。また、小型化されたバッテリーは後席の下に収められているため、ラゲッジスペースへの影響はほとんどなく、その荷室容積は519リッターとなっています。後席を折り畳んだトランクスルーも可能、パッケージングではハイブリッドのネガを感じさせません。

ちなみに、エンジンルームに鉛バッテリーが見当たりませんが、システムの起動などに用いる鉛バッテリーは運転席と助手席の間、センターコンソール下に配置しています。

●試乗車の車両価格は約350万円、乗ってみると価格以上の価値を感じる

さて、試乗したのは中間グレードである「EX」。車両価格は消費税込み3,499,200円となっています。1.5リッターのCセグメント・セダンと考えるとちょっと高めの価格と感じますが、Gathersの8インチ・インターナビや先進安全装備「ホンダセンシング」などが標準装備されていることを考えると、じつは妥当であることに気付きます。17インチのアルミホイールやトランクスポイラーがスポーティさを演出しているのも、EXグレードの特徴です。

ハイブリッドとしてではなく、市販車全体を見渡した中で「純粋にいいクルマと感じてもらえる」ことが開発の基本テーマだったといいますが、そうした狙いは市街地を走っていると実感できます。ステアリング、アクセル、ブレーキの各操作に対する反応がリニアかつ素直で、クルマとしての普遍的な価値が高いと感じさせられるのです。市街地ではモーター駆動だけで走る電動車両ですからリニアリティにおいてエンジン車より有利なメカニズムですが、ことさらにレスポンスを強調するわけではなく、パワートレインのキャラを感じさせない仕上がり。アクセル開度や踏み込む速度に応じて、狙い通りの加速を実現してくれます。

EV走行で加速中にエンジンが始動する際に、おそらく少しばかりの電圧変化があるのでしょう、わずかに駆動トルクの変動を感じることもありましたが、その瞬間以外は雑味のない走りを味わうことができました。モーター駆動ならではのスムースさは誰もが体感できるはずです。

さらに驚くのはブレーキの自然な仕上がりです。ハイブリッドカーですから減速エネルギーによって発電する回生ブレーキとメカブレーキのハイブリッド仕様となっているのですが、よく言われるカックン感やブレーキの反応遅れなどは皆無。2つのブレーキシステムがミックスしているとは思えないほど自然に減速できます。パドルセレクターにより回生ブレーキを3段階に調整できる機能も備えています。

そうした加減速のリニア感をハンドリングの良さが引き立てるのも新型インサイトの美点です。こちらも過度に機敏ということはなく、ステアリングを切っただけクルマが反応するといった仕上がり。フロントの剛性感もあるため応答遅れも感じられません。そこにフルハイブリッドとしての燃費性能、ホンダセンシングによる先進安全性能が加わるわけです。

ハイブリッドというエクスキューズ抜きにして、クルマとして350万円以上の価値を感じるのが、新型インサイトです。

●ホンダ・インサイトEX 主要スペック
車両型式:6AA-ZE4
全長:4675mm
全幅:1820mm
全高:1410mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1390kg
乗車定員:5名
エンジン型式:LEB
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1496cc
最高出力:80kW(109PS)/6000rpm
最大トルク:134Nm(13.7kg-m)/5000rpm
モーター型式:H4
モーター形式:交流同期電動機
最高出力:96kW(131PS)/4000-8000rpm
最大トルク:267Nm(27.2kg-m)/0-3000rpm
燃料消費率:25.6km/L (WLTCモード)
燃料消費率:22.8km/L (WLT市街地Cモード)
燃料消費率:27.1km/L (WLTC郊外モード)
燃料消費率:27.2km/L (WLTC高速道路モード)
燃料消費率:31.4km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:215/50R17 91V
メーカー希望小売価格(税込):349万9200円

(山本晋也)