【初試乗】「レクサスUX」に感じた、ちょうどいい乗り味とは。

LEXUS UX250h & UX200

SUVルックという選択は「売れるが勝ち!」の理論。

「レクサスUX」は、おそらくレクサスCTの後継車と目されるモデルである。5ドアハッチバックのボディ形状よりもSUVルックのほうがいまの時代は販売台数が見込めるという判断は何もレクサスに限ったことではない。中には歴史や伝統を顧みずあの手この手でSUVを市場に投入してくるメーカーもあって、その節操のない商品戦略に自分なんかはちょっとどうなんだろうと思ってしまうこともあるけれど、商品を開発して販売するというメーカー本来ビジネス形態からすれば、「売れるが勝ち」は至極真っ当な理論とも言える。ただ、百花繚乱のSUV市場で生き残るには、際立つ個性や性能がないと、満天の星の中に埋もれてしまいかねないから、それはそれで大変だなあと少し同情する。

機械式駐車場に収まるサイズ!

レクサスUXのボディスペックは、全長4495mm、全幅1840mm、全高1540mm、ホイールベース2640mm。この数値からとりあえず分かることはふたつあって、ひとつは機械式駐車場に収まる全高であること、もうひとつはトヨタCH-Rと同じホイールベースを有することである。

トヨタCH-Rと中身は一緒と思われがちだが・・・。

トヨタのTNGAプラットフォームのうち、レクサスUXは「GA-C」を共有している。GA-Cは現行プリウスと共にデビューを果たした横置きエンジン/前輪駆動をベースとする、主にコンパクトカーへの採用が見込まれたプラットフォームである。GA-Cを使うプリウス、カローラ・スポーツ、CH-Rのうち、CH-RはレクサスUXと同じSUVのボディを身にまとっているし、ホイールベースも同値だから「中身はCH-Rか」と短絡的結論を導き出してしまいがちだけれど、必ずしもそうとは言えない。

プラットフォームが同じでも乗り味は異なる。

プラットフォーム戦略はトヨタのみならず、いまではどこのメーカーやグループでも自動車開発の基本となっている。BMWは7シリーズから最新型の3シリーズまで、同じプラットフォームを共有しているし、ベントレー・ベンテイガもポルシェ・カイエンもランボルギーニ・ウルスも同じプラットフォームである。プラットフォームが同じだと乗り味も似たような範囲にとどまるというのは今や昔の話。現代のプラットフォームは設計の自由度が高く、ブランドやそのクルマのキャラクターに合わせたクルマ作りが可能となっている。カイエンとウルスが、乗ってみるとまったく異なるクルマになっていることからも、それは実証済みと言えるだろう。

メーカーの技量が試される味付け!?

ただし、プラットフォームを共有してまったく別のクルマに仕立てるには、そもそもそのプラットフォームに高いポテンシャルと設計の自由度が備わっていなくてはならず、さらにそれをオリジナリティのあるクルマに作り上げることができるメーカーの技術力が必須となる。用意された食材(=プラットフォーム)をなんとなくボヤッと調理すれば、誰が作っても似たようなひと皿になってしまうが、食材の潜在的魅力をうまく引き出して独自のスパイスや調理法を駆使すれば、オリジナルの一品が完成する。現代のプラットフォーム戦略とはそういう段階にあって、メーカーの技量がより試される時代となったのである。

全長が長い理由はFRのようなフォルムにするため。

参考までに、レクサスUXのボディサイズをライバルの2車種とと比べてみると、メルセデス・ベンツGLAよりは65mm長く35mm幅広く30mm背が高く、BMW X2よりも120mm長く15mm幅広く5mm背が高い。レクサスUXは全長の長さが際立つものの、ホイールベースはGLAよりも60mm、X2よりも30mm短い。全長が長いのにホイールベースは短く、じゃあその差額分はどこへ充当されたのか。真横から見るとわかるように、レクサスUXはフロントのオーバーハングが長い。これは横置きエンジンのFFでありながら(後輪にモーターを用いた電気式AWD「E-Four」を選べる)、エンジン縦置きのFRのようなフォルムを成立させるためだったという。

ラゲッジスペースは小さめ。

この割を食ったのは短くなってしまったリヤのオーバーハングの真上にあるラゲッジスペースで、GLAが421リットル、X2が470リットルの荷室容量を確保しているにもかかわらず、レクサスUXは220リットルしかない。もちろんリヤシートは分割可倒式で、フロア下にも若干のスペースがあるから、いざとなればそれなりの荷物は収納できるものの、「いざという時はほとんどこない」という割り切りともとれる潔いパッケージである。

それでも気になる「CH-R」との違い。

で、レクサスUXはCH-Rと比べて別物になっているのか。個人的にはきちんと差別化が図られているように思う。それがもっとも顕著に現れているのは操縦性だった。

CH-Rの操縦性も決して悪くなかったが、レクサスUXではLCやLSなどのテイストがかすかに香る味付けとなっている。ステアリング操作に対するクルマの動きに無駄が少なく、スッキリとした操縦性がとても印象的だ。ステアリング系の剛性感が高く、ロードインフォメーションもちゃんと伝わってきて、ダイレクト感のあるステアリングフィールも心地よい。実は、UXのフロントサスペンションには左右のストラット上部をつなぐパフォーマンスロッドとステアリングギアのブレースが付与されており、これはCH-Rには装備されないUX専用の施しである。

FFを操縦している感覚は薄い。

FFの場合、コーナーの手前で減速しステアリングを切ってターインを始めると、前輪のアウト側に荷重がかかりやすく、その時点でしっかり減速していないとアンダーステアに見舞われる。レクサスUXは、ターンインで前輪のアウト側に荷重が集中せず、後輪にも適度な荷重がまだ残っているので、ニュートラルステアに近い状態で旋回できる。ここまでの過渡特性は、FFを操縦しているという感覚が薄い。左右に切り返すような場面でも操舵応答遅れが少なく、ワインディングロードでも気持ちよくステアリングを切ることが出来た。

極端にボディが傾くことはない。

サスペンションはコンベンショナルなダンパーとスプリングが標準で、電子制御式ダンパーのAVSがオプションで選べるようになっている。通常のダンパーだとコーナリング時にはそれなりにロールはするものの、量と速度はしっかりとチェックされていて、ボディがグラッと極端に大きく傾くようなことはない。AVS付きで同じ条件で走ると、ばね上の動きがうまく抑えられていることが運転席からも窺える。当然のことながら、AVSは乗り心地の向上にも寄与しているので、路面からの入力には適正な減衰力で対応し、ばね上まで振動が伝わらないようにする。ただし、18インチのタイヤはランフラットなので、せっかくばね上の動きを抑制しているのにランフラットタイヤのサイドウォールの硬さが伝わってきた。

UX200に組み合わされる「ダイレクトCVT」とは。

パワートレインは2リッターの直列4気筒の自然吸気式「UX200」と、このエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド「UX250h」の2種類のみ。UX200のエンジンはCVTと組み合わされているが、このトランスミッションは「ダイレクトシフトCVT」と呼ばれ、発進用のギヤを備えている。これにより、発進時にはしっかりとギヤが噛み合うダイレクトな加速が実現した。また、発進用ギヤを使うことでベルトをハイギヤ側に設定、変速比幅7.5のワイドレンジ化を達成できただけでなく、発進時のCVTへの入力負荷が(ギヤを介すことで)軽減されたため、ベルトとプーリー部分の小型化にも成功できたという。UX200はCVTでありがちな発進時のスロットルペダルに対するもたつきを解消しただけでなく、いくつもの副産物までも手に入れというわけだ。

一方のUX250hは、2リッターエンジンと組み合わせたハイブリッドユニットとしてはレクサス初となるが、その乗り味はこれまでのレクサスの横置きハイブリッドと大差はない。ラバーバンドフィールは改善されて、エンジン回転数の上昇と速度の上昇がパラレルにリンクしている。

何の印象も残らないパワートレイン。

どちらのパワートレインでも、実用域での使い勝手はまったく申し分ない。発進時や追い越し加速時など、日常の想定される走行条件でパワー不足を感じることはほとんどなかった。「パワートレインは黒子的存在」という意図的な味付けでUX200もUX250hもこうなっているのであれば狙い通りだと思うけれど、正直に言えばクルマから降りた後に何の印象も残らないパワートレインでもある。操縦性に関しては独特の味と心地よさがドライブ後の余韻としてもまだ楽しめるのに、パワートレインにはそれがない。UX200にはダイレクトシフトCVTの効果が発進時に感じられるものの、動力性能自体はUX250hと同様に極めて平凡なところに収まっている。

カジュアルなインテリア。

整然としたデザインのインテリアは、他のレクサスと共通する雰囲気を持っている。いっぽうで、レクサスのラインナップの中では顧客の平均年齢がもっとも低くなることを考慮して、カジュアルな装いでまとめている。ダッシュボードにはウッドパネルや本革などの高級素材を一切使わず、それでも和紙のようなシボの樹脂をうまく配置しているので、チープな印象は皆無である。各種スイッチの使い勝手は(世界一使いにくいリモートタッチを除けば)いずれも悪くない。運転席からの見切りは前後左右方向に優れているし、ステアリング/ペダル/シートの位置関係もよく、ドライビングポジションをすぐに決めることができた。

これくらいでちょうどいい?

独自性がうまく表現されている内外装のデザインと操縦性に比べるとパワートレインがやや凡庸で、その点がちょっと残念だけれど、「エンジンなんか普通で燃費がよければいい」というのが大勢の世の中では、これくらいでちょうどいいのかもしれない。確かにこのクラスのSUVで、パワートレインが印象的なモデルがあるかと聞かれると困ってしまう。でもだからこそ、レクサスUXがパワートレインにも存在感を持っていたら、個性際立つ唯一無二のコンパクトSUVになっていたのに、とも思う。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

【SPECIFICATIONS】

レクサス UX250h

ボディサイズ:全長4495×全幅1840×全高1540mm

ホイールベース:2640mm

車両重量:1580 – 1640kg

エンジン:直列4気筒+ハイブリッドシステム

総排気量:1986cc

最高出力:107kW(146ps)/6000rpm

最大トルク:188Nm/4400rpm

フロントモーター(交流同期電動機)

最高出力:80kW(109ps)

最大トルク:202Nm

リヤモーター(交流誘導電動機)※AWD仕様

最高出力:5kW(7ps)

最大トルク:55Nm

トランスミッション:CVT(無段階変速機)

駆動方式:FWD/AWD

サスペンション形式:前マクファーレンストラット 後ダブルウイッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

燃料消費率(JC08):27.0 – 25.2km/リットル

車両本体価格:425 – 535万円(税込)

レクサス UX200

ボディサイズ:全長4495×全幅1840×全高1540mm

ホイールベース:2640mm

車両重量:1550 – 1560kg

エンジン:直列4気筒

総排気量:1986cc

最高出力:128kW(174ps)/6600rpm

最大トルク:209Nm/4000 – 5200rpm

トランスミッション:CVT(無段階変速機)

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーレンストラット 後ダブルウイッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

燃料消費率(JC08):17.2km/リットル

車両本体価格:390 – 474万円(税込)

【問い合わせ】

レクサスインフォメーションディスク

TEL  0800-500-5577

http://www.lexus.jp

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